第九話「霊は突然やってきた」
「れっ……霊……!?」
雨音は揺雨が“霊”だ、と言う事を聞き、驚いてしまって大声で叫んでしまう。
少しだけビクビクおびえながら雨音は「魂取られる……」と悪い方向に考えてしまっていた。
そんなビクビク震えてる雨音を見ている揺雨は
『失礼な事思わないでくれる!? ボクはたしかに“霊”だけれども……』
「だけれども……??」
『――魂とか取ったりしないよ!! だからおびえないでよ』
揺雨は雨音にそう言った。それを聞くと雨音は「なぁんだ」、と言う安心した顔に戻る。
安心した雨音の顔を見た揺雨も安心している顔に。お互い安心し始めた。
『ところで雨音』
「何?」
『キミは何におびえているんだい? さっきから泣いているけど……』
心配そうに揺雨は雨音に尋ねる。
少しだけ雨音は喋らなくなり、そのまま時間が経って行った。
――二十分程経過した。
『何におびえている?』と聞かれ、素直に『揺を石段から突き落としました』、とは言えない。
いや、言うのが怖いのだ。
大切な“友達”にあんな事してしまって、普通に学校へ居ても居られないし立っても居られない。ただ悪い視線でジロジロ見られるだけ。
「………私は……」
『“雨音は”?』
真剣な目で互いを見つめ合う。
雨音の目は怖がっている目。揺雨の目は雨音を心配する目。
お互い、ちゃんとした“真剣な目”でない。
二人は少々恐怖心を持っているかの目だった。
『(雨音、少しおびえてるな…。きっと揺と何かあったのだろう……)』
「揺雨はどうしてココに来たの?」
おびえた声で雨音は恐る怒る、揺雨に訊ねてみる。
すると、揺雨は腕組をしてこう言う。
『うん、雨音が訊くまでもないかもね』
――と。
「雨音が知るまでもないの??」
揺雨の不思議な言葉に雨音は又訊いて来る。すると揺雨はクス、と笑う。
そして「ま、あまりキミはそういう事気にしないほうがいいかもね」、と言った。
そう捨て台詞を言うと、揺雨の声はもう聞こえなくなり、雨音は混乱し始める。
――またね……。
何処からか揺雨の声が聞こえた。
それからしばらく、揺雨の声は聞こえなくなった――。 |