第八話「揺を怪我させてしまった自分」
………ガラララ!!
転んだ雨音に背中を押されて揺はそのまま石段を転げ落ちてしまう。
雨音はかなり焦っていた。
「……………――もと……さ……」
「ちょっと水音さん!!」
後ろに都子、空来、麻子、のいじめ三人組が立っているではないか。言ったのは都子。
元々焦っている雨音は更に焦り、混乱する。
「どうしてくれんの!? あんたの所為で倉本さんが石段からおち……――」
「倉……本……さ………」
「ちょっと聞いてんの!?」
もう都子達の声は雨音には届いてない。雨音は意識を少々失っている者の様子をしている。
だが都子達はそんなのにも構わずに
「倉本さんが落ちたのはあんたの所為なのよ!? 全部全部っ……!!」
雨音を慰める所か、三人は雨音を攻め続けるだけ。
石段の下では頭から大量の血を出して気絶している揺が居た。雨音の視界にその揺の姿が入る。
「――っ……!!」
雨音はおびえているではないか。
同級生を――初めての友達を己の手で怪我させてしまったのだから。
混乱する雨音を見ている都子達は三人で、くすくす笑っている。そのクセに雨音の所為にする。最低な奴らだ。
しかも廻りに居た生徒達もザワザワしていて、水音がやったのか、と言う目線で雨音を睨む。
「何事ッ!?」
涼先生や他の教師達がかけつけてきた。
だがしかし、雨音は反応は無い。もう気を失ったかのように、座っている。
かなりショックを受けた様子。
「……(……わた……しが………………、倉本さんを……)」
――しばらくして、揺は救急車で病院に運ばれる。
頭からはかなりの血が。その他両手両足に軽い傷、かすり傷等があるようだ。
「まったく……。あんたが虹ノ空色学園にいなけりゃ、倉本さんはあんな怪我、しなかったわ!!」
都子はきつく雨音を攻め続ける。後の二人もだ。
さっきもそうしていたのだが、今度はかなりの暴言を発言する。
だが、それだけじゃない。
「やだっ……水音さん、同級生にあんな事する人だったの」
「えーやだー、あたしこの学園好きだけどあんな人居ると怖いんですけど!」
「わたしもー」
廻りからも暴言が。
その暴言の中に居るのが耐えられなくなった雨音は、とっさに逃げ出した。
逃げ出す雨音の姿を見た者からは、
「ぷぷっ、逃げ出しちゃってる」
「誰の所為なのよ! 誰の!」
「反抗できないくらい弱虫なのね」
「同感」
色々悪口を言われている。
これもなんとか耐えて、雨音は自分の家まで走り出している。帰ろうとしているのだ。
「………(何よ……。私だって、別に好きに転んで好きに倉本さん落としたわけじゃない……。なんで……!? なんで皆私だけいじめるの!!)」
色んな事を考えながら、雨音は全力疾走で走り続ける。
もう学校へ戻ろうとはしてない。そんな気も無い。
走ってる中、雨音は、
どうせ私の所為……皆そう思ってるのだから……――
沢山考えていた。
――しばらく、考え込みながら走り続けていると、自分の家が見えた。
雨音は鞄から家の鍵を出し、玄関の鍵を開ける。そして中に入る。
家の中に入り、雨音は自分の部屋へと向かい、鞄をその辺に置いて制服のままベッドに寝転び、布団の中へ潜り、何も喋らずに固まる。
「…………(なんでだろう……、どうして皆私だけいじめるのだろう…。いっその事、死んでしまいたい……!!)」
『君は本当にそれでいいのかい?』
「!!」
何処からか声がした。雨音の少しだけ聞き覚えのある声。
その“声”は、雨音の心に響く様に聞こえた。
突然聞こえたので、雨音は焦って「誰!?」と大声を出す。
『まぁまぁ、そう焦らずに。ボクは水音 揺雨。“水の音”でみおと。“揺れる雨”でゆう』
“声”は自分から自己紹介してきた。
どうやら、“声”の持ち主の名は、水音 揺雨、と言うようだ。
偶然、苗字が雨音の苗字と同じ。しかし雨音はそんな事には全く驚いてない。
それより、この“揺雨”と言う少年らしき“声”が来ている方が驚いている。
「貴方誰!? どうしてこんな所に居るの!?」
『さっきも言っただろ? “そう焦らずに”って。ボクはただの“霊”さ』 |