第六十四話「信じたくない現実」
――嘘だ。嘘だ。嘘だ嘘だ!!!! 桜花ちゃんが昔私をいじめていただなんて……っ――
私は、気付けば走り出していた。
また、雨が降っている。この前のように。
雨は私が辛い想いをしていると何故か振るんだ。
ショックだった。
桜花ちゃんが小学生の頃私と同じ学校で同じクラス。そしていじめていたことが…。
そういえば…私は石火山小学校に居る頃、関西弁を使うと
「マネせぇへんで」
そういう子がいた――。
――もう一つショックだったんだ。
桜花ちゃんは…数週間前、事故死した。あれは突然過ぎて……別れを言う暇なんて、なかったらしい。
“数週間前”――それは二週間程前……。
私と桜花ちゃん。そして倉本さんの三人で喫茶店に行った日だ。あの日、私と倉本さんは誕生日だったから……。
そしてあの日、私は最悪なことに逃げてしまった。
話になじめなくて。馴染もうと努力もしないでその場から無言で去って行った。
桜花ちゃんのお母さんが言うには……
桜花ちゃんは喫茶店を出て倉本さんと別れた後……信号を無視したトラックに轢かれ、打ち所が悪く亡くなった。
と、言うことらしい。
――……私が悪いんだっ!!
私が……私がっ………あの日逃げ出さなければ……っ。
どうしよう…どうしよう…――!!!
私の所為で…桜花ちゃんが死んじゃったんだ…っっっ!!!
「っ……ぅっ………ひぐっ…」
家にこもり、毛布で身体を包み、私はずっと泣いていた。
ずっと。ずっと。夜が明けるまで――。
「…」
鏡を見ていると、眼と眼の周りが物凄く腫れている。
見た瞬間
「いやだなぁ。こんな顔」
と思った。
昨日は厄日だった。万引きをして、あんなに辛い過去を知った。
もしかして桜花ちゃんのお母さんのさしがねなのだろうか? 私を苦しめたあの言葉……。
そうとしか思えなかったけど、想いたくなかった。
「早く準備しなきゃ…」
準備の為私は携帯を取り開く。
「新着メール…」
“古河さん”
携帯の画面にはそんな文字がある。
私は恐る恐るメールを開く。
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from:古河さん
title:水音さんへ
今日夕方公園集合!
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公園に……。なんのつもりだろう…。
学校が休みな今日は暇だったので、私は行った。
家にいたって、辛いだけだし。
――虹ノ空色町“虹色公園”
「古河さん」
「あー来た来た。こっちー」
「?」
全員揃っていた。
私の左手側から
奈種さん。秋背さん。古河さん。鈴城さん。風樹さん。
の五人が並んでいる。
こんな群れを成して何する気なんだろう…。
すると古河さんの口からこんな言葉が出た。
「今日は万引きパーティよ」
「……。え!?」
――あ……。どうしよ。私、したくない…。
“でもしなきゃまた独りぼっち”。
そんな不安で、雨音は逆らえずまた、万引きすることになってしまった…。 |