〜似ている二人は親友〜(63/65)縦書き表示RDF


〜似ている二人は親友〜
作:星野 揺光



第六十三話「桜花の過去 〜“全て”〜」 5


「え……?」

次から、揺がいじめられることになった。
そんなことを聞いた雨音。
出る言葉は……、疑問を持ったような言葉だけだった。

「そうなの…。揺ちゃんはいじめられることになったの。
 “なんでいじめて、いじめられていたのに友達になったのか”。それは今から話すわね…」




あの子は…桜花は――。とりまきは居たけど、友達は1人も居なかったのよ。
勿論本人はそんなこと気にしてなかった。
夫の転勤が多くてね、

友達そんなもん、作ったってどうしようもないやろ」

なんてこと言ってた。
でも……それは今までのこと。石火山小学校にはしばらく居たの。卒業するくらいまでね…。
だけどそれは…。
このときこそ、転勤が必要だった時だったの。

「……(靴がない)」

「よォ倉本。靴見つけたいんならおとなしくせぇや」

「…」

そんな脅しの言葉をも無視して、揺ちゃんは理科室まで向かった。理科室になくなった揺ちゃんの靴、あったの。
そのことには……桜花は吃驚したみたいだけど、今思えば『凄い』らしいの。

揺ちゃんに対してのいじめは一週間続いた。
一週間も続いたと言うのに、揺ちゃんはなんとも思ってもなかった。無感情で、いじめなんて大したことないって顔をしていたようでね……。
だけどとある日…。

「たぁっ!! 何すんねんっ!!」

「お前もう二度と学校来るなよ!」

「そうだそうだ!!」

何があったか知らないけれども……突然桜花がいじめられることになってしまった。
そのいじめをしていたいじめっ子たちは…

「倉本。アンタ香咲にいじめられてて腹たってない?」

「あたしたちと一緒に仕返ししよーよ!」

揺ちゃんを、『桜花をいじめないか』って、誘ったみたいなの。だけど揺ちゃんは…

「別に…」

って、断ったのよ。
その時いじめっ子はなんで、って聞いた。揺ちゃんの答えは…小四とは思えないくらい大人な答えだった。

「“今までいじめられてたから”って、いじめをやり返すのはどうかと思うけど? 大体、いじめでいじめられてたことをやり返すなんて、“仕返し”になんてならない」

って……。
その言葉には私も感動したわ。
揺ちゃんは本当に大人だった。今も昔も変わらない大人――。

それでね。揺ちゃんは、いじめをすると言うか、桜花を助けてあげていた。

「……っ…うっ……うぅ…」

1人、裏庭で桜花は泣いていた。そんな時…。

「大丈夫か?」

「……っ…倉本…っ……。最悪なとこ見られてもうたな…。アンタには関係ないねん…」

「………」

「っ………うぅっ…ふっ……」

「…関係、あるよ。分かるよ、その気持ち」

「……なんなん。今まで一緒じゃなかった奴にいじめられるのと、一緒だった奴にいじめられるのとじゃ…違うんや。アンタには関係ない。この場から消えてくれへんか…」

桜花にそういわれても、揺ちゃんはその場から消えようとはしなかった。
消えると言うどころか、消えようとはしなかったわ。

「…アンタと、アタシ。友達になろう」

「……嫌や」

「なんで」

「どうせまたいじめられるんや。今までもそうやったから」

「………」

そんな会話が、雨の中数十分続いた。

「………」

「………」

「「いい加減にしろっ!! ……」

途中、そうハモったみたいでね。二人とも大笑いしてたわ。

「「ぷっ……アハハハハ!!!」」

こんな感じに……。
これを話してくれた時の桜花は本当楽しそうだったわ。
本当に…。

「お前、結構面白いんやね」

「アンタもな」

「ウチら。心開きあえるんとちゃう?」

「だから。さっきから言ってるじゃん」

「ハハッ。そやね。これから宜しゅうしたってな」

「おう」

これがきっかけで桜花と揺ちゃんふたりは、友達になったの。
本当楽しそうでしょう??
桜花は通うのが嫌だった学校に、楽しそうにいくようになった。
私はこのことは揺ちゃんに感謝しなきゃね、って、思ったわ。

三年後、桜花と揺ちゃんは同じ中学に入れた。そして同じクラスになった。
一部のいじめ集団は別のクラスへ。一部のいじめは別の学校へ。
お陰で桜花と揺ちゃんはいじめに会わずに済んだの。

そして………三年後、丁度十ヶ月前のことね。中学を卒業し、高校へ入学した。
最悪のこと、揺ちゃんは別の高校だった。
桜花は、雨音ちゃんが通ってる“虹ノ空色学園 高等部”に入学はいった。

「あたし……揺のこと忘れないからね!!」

「アタシだって…桜花のこと忘れないから」

桜花は、この頃関西弁ではなかった。中三三学期、あることがきっかけで、やめたらしいの。
そのあることって、『新しい自分になる為』なのよ。

「また、会える時が来るんだからね…揺」




「以上が……桜花の過去。ごめんなさいね、昔話に付き合ってもらえて」

桜花のことを思い出したのか、桜花の母、桜羅はから流れている雫をハンカチで吹きながら言った。

「いえ…いいんです……(知らなかった。そんなことがあったなんて)あ、あのっ」

まだ聞きたいことがあったのか、雨音は勇気を出して声を出してみた。
『何かしら』。優しく桜羅は言った。

「その…“いじめられていた子”って、誰…なんですか?」

「ああ……。そうね、雨音ちゃん。貴方に言っておいたほうがいいわね。『いじめられていた子』のこと…」

雨音はゴクリ…と生唾を飲み込む。

「いじめられていた子は……――雨音ちゃん。貴方よ」

「――…………え…――………?」

一瞬、雨音の中の時間が止まった。桜羅はそんなことには気付かず、話しをそのまま勧めて言った。

「“いじめられてる気持ちは分かるから”。それが理由で、桜花は雨音ちゃんと友達になるって、決心したんですって。
 そして桜花は言っていたわ。“揺ちゃんにあえてよかった。雨音ちゃんに会えてよかった”って……。最後の力を…振絞って言った……」

「……最後の…力を…振絞……った…?」

「そうよ。そう言って、桜花は息を引き取ってしまったの」

「………っっ!!!!」

「ごめんなさいね。暗い話しちゃって。しかも長々と…。聞いてくれてありがとう。じゃあ雨音ちゃん、また会いましょう」

「……はい…。あり…がとうござい…ました…」







小説を気に入ってくれたらランキングに投票していただけると嬉しいです。

ネット小説ランキング>現代シリアス部門>「〜似ている二人は親友〜」に投票





ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう