第五十七話「“これは私の意志なんかじゃない”」 4
「あはははは!! あー楽しかった! ねー、水音さん?」
「……え!? うんっ」
雨音、都子。そして都子と仲がよく、一緒に雨音をいじめていた四人。
計六人は、わいわいと聖華をいじめてることを楽しんでいた。
「そうだ!! 水音さんっ。貴方地味よね」
突然実依が言ってきた。
「え?」
「もっと派手に決めちゃわない?」
と付け足す。
雨音は『あ……私なんかがそんなことっ……』と言い返す。
「なに話してんのー?」
「都子。水音さんってちょっと地味すぎなーい?」
わざとらしい口調で亜木はクスクスと言う感じで呟く。
亜木と実依が雨音は地味だ。
そう言った瞬間、都子は黙りだし、雨音をじーっと言うより、じろじろと言う感じで見つめる。
確かに――雨音は少しどころか、かなり地味だった。
それに比べ、都子、亜木、麻子、実依、由利はかなりチャラチャラと派手なシルバーアクセを大量につけている。
「あ〜っ。そういえば水音さんこの間星のアクセ買ってたじゃない。それつけたらどう?」
「え……? でもあれは…」
「知ってるわ。キーホルダーでしょ。それを鞄につけるのよ」
「そういえばあたし星のピアス持ってるわよ!!!」
突然麻子が言い出す。『え〜じゃあそれ水音さんに貸したげなよ』、と都子。
雨音は『いいです……ピアスなんて』と言い出す。
いいですと断ると、都子の目が急にギロン!!と睨むかの様に早変わりした。
「いいじゃんいいじゃん♪ ほらほら。ピアス穴あけましょうよ!!」
「やっ……」
雨音はピアス穴をあけるのを嫌がっている。
なのに都子は、何処から出したのか謎のピアス穴をあけるものを取り出し、それを雨音に近づける。
雨音は……。やったことはないが知っていた。
“ピアス穴をあけるのは痛い”と言うことを。
怖くて涙が出てきそうだった。
そして、これは確実にいじめに入る。とも思っていた。過去の経験でも分かっていること。
「さーさー♪ いやがらないで♪ はやく!! みんな押さえて!!」
「っっ!!」
――ヤダ。ヤダ!! みんななんでこんなことするの!?
私たち友達なんじゃないの!?
なのになんで|無理矢理ピアス穴あける(こんなこと)なんて………。
信じてたのに――!!
「言い忘れてたけれども、もしも派手にしなきゃあんたのこと友達じゃないから」
「!!」
「また……あの地獄の日々に逆戻りだから」
ニヤリ、と不気味な顔で言った。雨音は顔が真っ青になる。
――なんでぇ……なんでぇ……!! なんで……。
嘘だよ――
「じゃ、あけるよ〜♪」
カチン……。
「い…っ………」
カチン……。
両耳たぶに、ピアス穴をあっさりと簡単に開けられてしまった。
血が流れる感覚がした。
つー…と赤い“何か”が流れるこの感覚。
確実に血が出た感覚だった。
「これでよし!! 麻子、ピアス!」
「はい」
麻子は都子に星のピアスを渡した。
「そうそう水音さーん」
んー。と言う感じで背伸びをすると、麻子は雨音の耳元に近付きこういった。
「それ、無くしたり壊したり、汚したりすんじゃねーぞ。もしもやったらぶっ殺す」
と。雨音は体中に寒気が走った。
そのあと皆がクスクスと笑い始めた。
「はーいかんりょっ♪ あ、これ似合わないことないんじゃない?w」
と都子。
「あ、本当。そうだ!! みんな今日放課後アクセショップいかなーい?」
と亜木。
「「「「さんせー!!!」」」」
雨音以外の者はOKした。
勿論、雨音は強制的に行くことになってしまった。
だがしかし……行かなければまたあの地獄の日々に逆戻り。
行くしかなかった。
“学生が。特に高校生がチャラチャラしてると不良やギャルなどの証”と分かりながらも。
それを知っているのか、雨音はまたまた『これは私の意志なんかじゃない』と言い聞かせていた。 |