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〜似ている二人は親友〜
作:星野 揺光



第五十話「再会」 1


揺は家に着き、家の鍵を開けると中に入る。
ただいま、と言っても、返事もない、誰も居ない。一人暮らしの家。揺の家。
隣にあるのは雨音の家だ。
挨拶しようとは思ったが、やはり、顔向けは出来なかった。理由は、よくわからなかった。

リビングへと向かうと、綺麗なブラウンの机。
一人暮らしにしては大きめのテレビ。
そのテレビを置いている、テレビ台と、テレビ台の中に入っているDVDプレイヤー。
漫画ではない、難しい本が沢山入っている本棚。
本棚の上には写真が入った写真縦複数。

等、家具が、元のままあった。
誰も入っていないこと(泥棒など)を確認した揺は、持っていた荷物を床に置き、椅子に座った。
座った揺は、身体の力が抜けたかの様にはぁ……と溜息をついた。
きっと、安心したのだろう。
もうこれ以上、雨音や桜花。いろんな人に迷惑をかけなくて済むのだから。

「やっと、開放された。自由になった。桜花、アタシ退院したよ」

独り言が言い終わると、揺は机に突っ伏して寝てしまった。
どんどん時間が過ぎてゆく。
そんなこと、一切気にせずに、ただただすやすやと眠っていた。
いい夢を見る為に――。


その頃、雨音は揺の退院祝いの為、揺の好きな“星”のアクセを探していた。そして今は学校帰り。
勿論、雨音自身も星が大好きだった。
どうせなんなら、おそろいがいいだろうと思い、色違いのアクセを買うことにした。

確か、前にもこんなことがあった気がする。
誕生日祝いの日に。

いいや、これは違う。
あの時、アクセは“揺が持っていたから”を理由に買った。それは今もまだつけている。
そうすれば友達が出来るだろうと思いながら。

だがしかし、それは失敗だった。
持っていてもなんの効果もない。それ以前に、そんなことには、誰も気付いてすらいなかった。

「……前のアクセと、このアクセ。二つも同じものあったらきっと私も……」

別の思い。本来してはいけないこと。
無意識に口に出してしまった雨音は『違う違う。そんな目的なんかじゃないっ』と小声で言った。
声に出しても、このにぎやかなところで、自分の声なんて聞こえないだろうと、悪く考えてしまう雨音。
しかし、実際そうなのだから仕方ない。きっと雨音の声でなくとも、小声は聞こえないのだ。

「あ、これなんか可愛い…! 絶対喜びそう」

と呟きながら、雨音はそのアクセに手を伸ばした。その時。

「あっれー? 水音さんじゃんっ!」

聞き覚えのある声。思い出したくも無い声。
その声は、自分をいじめている、“古河 都子”だった。都子が居ると言うことは、あの二人もいるのだろう。
雨音は恐怖がだんだんとよみがえった。
都子は、それを知っている。知っている、いじめっ子であるからなのか、

「っれー。もしかしてあれ? アクセ買ってるんだ??」

お構いもなしにずんずんと雨音に近寄り、雨音の目の前にあるアクセを見つめながら言う。
雨音は顔中汗だらけ、真っ青にしていた。理由は、こいつらが怖いからだ。

「つーか、この鞄につけてる星のアクセ!! これ、倉本さんも持ってるやつじゃん」

ニヤニヤと不気味な笑いをしながら、都子は雨音の鞄についてる星のアクセを鷲掴わしづかみする。

「ヤダ、まさかパクリ??」

クスクス、と笑いながら都子は『正直に言えよ』と言う顔で、雨音に訪ねる。
勿論雨音は何も口に出そうとはしない。
今、ここで口に出せば、いじめが更に酷くなるに加え、揺にも嫌われてしまうかもだからだ。

怖くて、一言も喋れなかった。雨音はそんな自分が悔しくてたまらない。

「ねぇ、どう思う? 実依、由利」

この時雨音は驚いた。
今都子の後ろに居るとりまきは亜来と麻子いつものふたりではなく、実依と由利ようがけがしたときにやってきたあらてだったからだ。
同じ名前ではない。間違いなくあの二人。間違いなく二人は一年三組の鈴城 由利と、奈種 実依だった。

「これ、完璧にパクリだよ。ハハッ」

と、実依が言った。続けて由利が

「まさか、これで友達出来るとか思ったわけ?」

その星のアクセをグイッと引っ張りながらそう言う。
雅にこれはいじめ開始の時だった。
雨音は恐怖で涙が出そうだったが、ここで流せば今この店に居る者たちに大笑いされるも当たり前。
雨音は出来るだけ涙をグッとこらえたが、何時か流れる。そう覚悟していた。
長くは、持ちそうになかった。

「アラアラ、倉本さんが転校してきた二日後くらいの生意気なあなたは何処に行ったのかしら」

今、都子の言った
『倉本さんが転校してきた二日後くらいの生意気なあなたは何処に行ったのか』
と言う言葉。

あれは学園祭の時。中止になってしまった学園祭だが、雨音と揺が文化祭の一年一組の主役になった時だ。
都子と、亜来と麻子。三人はいつも通り、雨音を廊下に呼び出した。
だが雨音は

『あの、用事ないんなら私、教室に帰りますから』

そう言い、なんとかその場から逃げれた。
が、今はそんな勇気もない。それどころか、怖くて言えない。言おうとも思えなかった。

そのことを、都子は言っている。

「生意気もたいがいにしなさいよ!! あんたなんかこうよッッ!!」

怒鳴るかの様な声で、都子は手を上に上げ、その手を勢いよく振り下ろそうとした。
都子の怒鳴り声に反応した者は誰一人居なかった。
何故なら、今雨音と都子たちが居るところは、あまり人気のないところだから(星のアクセがあるところにくる人はあまり居ない)。
雨音は、叩かれそうになった。その時……。

「お前ら! やめろ!」

「(……あ…)」


「〜似ている二人は親友〜」。とうとう五十話行きました!
有難う御座います! 目指すは百話!

これからも「〜似ている二人は親友〜」を宜しくお願いします。






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