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〜似ている二人は親友〜
作:星野 揺光



第四十七話「激しい現実が」 3


雨音めがけて水が入ったバケツを放り投げた女子たち。『人殺し』『最低』『学校来んな』、等の暴言を吐き捨てると、その場を去って行った。
『人殺し』とは、桜花についての事だった。
あの事故は、数人もの死人が出た。新聞にも載り、ニュースもあった。だからいじめも知っている事。勿論、雨音は桜花が死んだことそんなこと、知らない。
知らない理由はもう一つあった。

一つ。雨音の家には新聞は来ない。
二つ。テレビなんてものは置いて居ない。

この二つ。
桜花の突然の死を知る以前に、ニュースを見る事すら不可だった。

「……あ…あ…」

かなり焦っている雨音。そんな雨音を見る、周りの達の目線……。

「ぷっ。何あのコ。こんなとこで泣いちゃってるよ」

「あれ? あのコ一年一組の水音 雨音じゃない??」

「あ、あのいじめられてるって言うコ?」

「そうそう。なんかこの前は硝子割った挙句に水綺羅さんを怪我させたみたいなのよ」

「嘘! 何ソレ。ちょー怖いんですけど」

「目立ちたかったんじゃないの? あのコ友達一度も出来たことも目立ったこともないから、目立つ方法知らないのよ」

以前まえは自分の靴箱に押しピン入れて、落ちた時に目立つかを装ったらしいわよ?」

「やだ、怖い。あたし達、あのコに近づかないことにしましょ」

「そうね」

「私も同感だわ」

「私も同感。この前硝子の破片少し飛んできたし」

結構酷い目線だった。
わざと雨音に聞こえるかのトーンで言っている。雨音は聞いてしまった。その話を。
暴言・悪口を吐いていたのは二年女子の集団だった。

「くすくす。始まったわね、いじめが。あんたに居場所なんてないのよ」

都子の声。都子は雨音が座ったまま泣いているところを見付けたらしい。
勿論、後ろにはいつも一緒に居る亜来と麻子もいる。

「都子、アイツどうする? 香咲の奴が事故ったトコを鈴城や菜種が見てたみたいだけど」

「いいのよ、麻子。アイツには苦しい思いになってもらうわ。あたし達にとって、あんなのクズでしかないもの」

「そう」

やはり、都子達も雨音をゴミとしてみていた。
雨音はこんなこと慣れていた。
しかし、今回ばかりは何かがおかしかった。
今まで言われた事のなかった『人殺し』と言う言葉。雨音のこころには酷く突き刺さった言葉だ。

自分が何時人を殺した?

思うことはたった一つ。雨音は恐怖心なのか、身体が震える一方だ。
まわりを気付かないで居たその瞬間。

「あ、水綺羅さんよ」

「聖華様」

「聖華サマ」

「聖華さん」

「水綺羅様」

“水綺羅 聖華”と言う名前が、次々と人々の口から出て来た。

「皆さんごきげんよう」

「お早う御座います、聖華様」

実は聖華。お嬢様でもあった。
だからこうやってみなに慕われ、都子たちと仲がよかった。都子たちとの仲は普通の関係。
聖華は挨拶をしながら、道を進んで行った。

「ちょっと、邪魔よ、貴方」

聖華は黙ったままの、無言な雨音にそう言った。

「聖華お嬢様? どうかなさいました?」

「ああ、可南子。このコが邪魔なの。どかしていただけないかしら?」

「はっ」

黒いスーツを着た、“可南子”と言う女使用人。
本名は阪坂 可南子さかざか かなこ。聖華の一番の使用人でもあった。
可南子は、聖華だけでなく、聖華の友である都子たちにも礼儀正しかった。

「そこの者。この道はお嬢様の通る道だ。道を開けなさい」

怖く目を輝かせ、可南子は言った。
しかし、その可南子の声は雨音には届いてない。

「どきなさい!! 聞こえないのか!?」

怒鳴り声で言っても無駄だった。

「ちょっと。アレ、阪坂さんじゃない?」

「水音のヤツ、今度は阪坂 可南子さんに怒られてやんの」

「いい気味じゃぁない?」

「可南子さんは怒ると怖いかんね」

「サングラスもかっこいいけど、素顔見てみたいわ」

そう。可南子はサングラスをかけていて、素顔が分からなかった。知っているのは聖華だけ。
ちなみに髪の色は黒。綺麗に輝く黒。
その長い黒い髪を、後ろあたりで一本に結んでいた。
この姿も、虹ノ空色町ではちょっとした有名人でもあった。

「どきなさい!!! そこをどかなければどうなるか分かっているのか!?」

「……」

そういわれても無言なままの雨音。流石に聖華は切れた。

「可南子、そこどいて」

「! お嬢様」

「ちょっと、どいてくださる? 水音さん? そこ、あたしが通る道なんですけれども?」

流石お嬢様、と言ってもいいところだ。
使用人を目の前にして、あんな口調使うことは不可能だ。だから敬語で通り抜ける聖華。
そんな聖華の声も、雨音には聞こえないどころか、届いてない。

「っ……! この不届き者めが! お嬢様を無視するとは何事っ!」

勢いあまって可南子は手を上にあげ、雨音の頬めがけ、その手を下げる。

 パァン……!

その手は、とうとう雨音に直撃した。

「! いた……っ」

ようやく気がついた雨音。
目の前にいる可南子と聖華に驚くもままならない。

「あ……あ…!」

聖華と可南子を目の前にし、雨音はかなり動揺した。

「お嬢様の通る道をあけろ! さもなくばもう一度叩くぞ!」

「待って、可南子。暴力はいけませんわ。もういいです、水音さん。
 貴方がなかなかどいてくれないんですもの。あたし、貴方を避けて歩きますわ。
 あと……。どけと言ったのにどいてくれなかった罪は思いですわよ。
 最低限のマナーなどは守ってくださいね? 今度、処置させて頂きます」

厳しくそう言うと、聖華は校内へと入った。
その場に、可南子だけ残り、可南子は車に向かう前に、雨音に近づいた。
そしてしゃがむ。

「水音さん? 罰は思いわよ!? お嬢様の前をどけるのが常識でしょう。
 聖華お嬢様がご希望なさっている為、わたくし共は貴方の処置をします。
 それでは失礼……」

可南子は車に乗ると、エンジンを入れ、そのまま去っていた。
今日から……。
雨音は最悪な日になってしまう。
そんな予想をも、してない雨音は、とりあえず校舎の中に入って行った。


ここ最近更新が遅くて申し訳ありません。三月入って、他の場所の小説を更新するだけで大変苦労しております。

待っていてくれる皆様には本当申し訳ありませんが、これからも「〜似ている二人は親友〜」を宜しくお願いします。






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