第四十一話「誕生日と誕生祝い」 1
桜花の家で夜を過ごした次の日。
何時も通り雨音は普通に。今日は学校が休みなのか、雨音はやたらとるんるんになっていた。
そして今日は割とおしゃれになっている雨音。
普段なら地味で柄もない、ただの色があるTシャツと楽なズボンを履いている。
しかし、今日は違う。
何が違うかといえば、やはりスカートだというところ。いつもはズボンだから。
それだけじゃなく、今日は可愛いバッグもあった。それも大きめ。
雨音が持つバッグはたった一つ。とても地味なバッグ。丁度、財布、ハンカチ、ティッシュ等の必需品が入る程度のサイズ。
「桜花ちゃん、この服、貰っちゃってもいいの!?」
嬉しそうに聞く雨音。
そう。実はこの服、桜花が雨音にプレゼントしたもの。
雨音は過去にプレゼントを貰ったことがない。誕生日の時もだった。
だから凄く凄く嬉しく、じっとしていられなかった。
「いいよ。今日は水音さんの誕生日だもの」
今日は、どうやら雨音の誕生日だったらしい。
こんな可愛く凄いプレゼントは初めて。
しかもくれたのが一番仲のいい桜花だったのだから。
雨音は、こんな嬉しさは初めてだった。
「水音さん、知ってた?」
桜花はニコニコしながら言う。その裏に秘密を隠しているかの顔。雨音は少々緊張。
だがそれは、脅す等そういう理由ではなかった。
ということ。雨音はちゃんと理解している。それでもワクワクする雨音。
「今日は、揺の誕生日でも、あるんだよ」
「!」
桜花の口から出た言葉。
『今日は揺の誕生日でもある』。
その言葉が、雨音にとってかなりの驚きだった。
『まさか、初めての友達と誕生日が同じだなんて、思ってもなかった』
と心の中。
嬉しいのか、それとも嫌なのか。
分からない感情で心臓が緊張した時の様にドキドキとなる。
きっと、嬉しいに違いない。
「そ…そうなの!?」
驚いた雨音。当然聞く。
「そうよ。知らなかった? まあ知らないで無理もないか。これから、水音さんと揺の誕生祝の為に、揺と待ち合わせしてるの」
「! く、倉本さん外でて大丈夫?」
「大丈夫だって。退院はまだまだ、らしいけど外出は出来るって」
『揺と会える』。
『揺は外出できる程に回復した』。
『一緒に誕生パーティ』。
『仲直りできそうな瞬間が出来た』。
『大好きな友達と一緒に楽しめる』。
と言う雨音の喜びはいっきに表情に表れた。
その感情を押えきれない雨音は喜んで喜んで笑顔になる。
雨音のその笑顔を見た桜花は、嬉しそうにくす…と鼻で笑った。
笑ったことは雨音には気付いてなかった。
「水音さん……。楽しもう、ね…?」
「………? う、ん(なんだろう? 気のせい…)」
笑顔で言った『楽しもうね』と言う桜花の言葉。
雨音には、気のせいだと思うが切なそうな、寂しそうな。そんな感じに見えた。
でも気にせず、明るく笑顔で待ち合わせ場所まで向かった雨音と桜花。 |