第三十七話「さよならの手紙」
雨音は波が立っている川へと身を捨てた。
飛び込んだところには、三通の手紙があった。
一通目にはこう書かれていた。
何処かに居る私の家族と居るかもしれないきょうだいへ
貴方たちには会ったことはない。
だけど、なんとなく、分かります。
会ったことはないけれども、“優しい”ってことが。
私は、お父さんお母さんが亡くなってから親戚や施設をたらいまわしにされ続けました。
特に、最後に世話になったおばさんとおじさんは物凄い酷かったです。
私を単なる道具とみていました。
そんなつらい日々から逃げられると思い、私はあの有名な学校へと行きました。
『虹ノ空色学園』。
だけど……。
だけどそこは、私が居るべきところではありませんでした。
みんな私をいじめる。汚いものを見るかのような目で見るのです。
だから私はここへ居るべき者じゃないんだろう。
けど諦めなかった。
それは、諦めようとする前に友達が二人できたからです。
一人めは倉本さん……。
倉本 揺(クラモト ヨウ)さん。
その人とは、物凄く仲良くなれました。
初めて会った私と、親友かの様に居てくれました。
とっても嬉しかったです。
だけど、その倉本さんは、私の所為で怪我してしまいました。
それは本当に私の所為。
その一件があり、私は今度こそ諦めようとしました。
その時は桜花ちゃんが……。
香咲 桜花(カオリザキ オウカ)ちゃんが友達になってくれました。
それもとても嬉しかったです。
初めての友達なのに、相談に乗ってくれた。
だけど、また傷つけてしまいました。
あるいじめっ子の一人が、私と桜花ちゃんが居たところを見て、過去がどうだの言っていました。
私は力になりたくて
『相談にのるよ』。
と言いました。
けどそれは……、逆効果でした。むしろ迷惑なことでした。
傷つけてしまいました。
『倉本さんを怪我させてしまったこと』。
『桜花ちゃんを傷つけてしまったこと』。
謝りたかったけど、謝れなかった。
これは私が弱いからです。
最初、いじめられていた頃は
『お父さんとお母さんは何故私を生んだの? おいてけぼりにするくらいなら、生まないでよ』。
そう恨んでました。
だけど、二人が居なかったら……、二人が結婚しなかったら。二人が私を生んでくれなかったら。
『私は倉本さんと桜花ちゃん』に会って居ないだろう。って。
お父さんとお母さんには大変感謝しております。
居るかもしれないきょうだい。居たらあってみたかったです。
こんなことしてしまって、本当にごめんなさい。ごめんなさい。
さようなら。
―水音 雨音―
が、一通目の内容だった。
そしてこれが二通目の内容。
倉本さんと桜花ちゃんへ
二人とも、友達になってくれて本当にありがとう。
そして、ごめんなさい。ごめんなさい、ごめんなさい…――。
私の所為で倉本さんが怪我をして、桜花ちゃんが傷ついた。
このこと、本当にごめんなさい。
許してくれないかもだけど、ごめんなさい。ごめんなさい。
倉本さんと桜花ちゃんが話しかけてくれたときは物凄い嬉しかった。
楽しかった。嬉しくて涙が出そうになった。
初めての友達だと言うのに仲良く、沢山会話してくれた倉本さん。
初めての友達だと言うのに仲良く、相談にのってくれた桜花ちゃん。
二人には、物凄い感謝しています。
そして、私から、ですが物凄い友達だと思っています。
友達をこえる親友。更にそれをこえる大親友。
って、私は思っています。
私に話しかけてくれて、助けてくれて……。
友達になってくれて。
本当にありがとう。
―水音 雨音―
三通目にはこう書かれている。
揺雨へ
貴方に会えて、とても幸せでした。
揺雨は、怒ったり喜んだり。そんな表情をみたことは、ありませんでした。
だけど……。あえて幸せだった。
貴方が居なかったら、私はもうあの時に死んでいたのかもしれない。
本当に、本当にありがとう。
―水音 雨音―
ほとんどの手紙が『ありがとう』だった。
「うぐぁ……! ごぼふぉ………!!」
水に飛び込んだ雨音。そろそろ苦しくなる。
その頃の桜花。
「今日御飯は何にしようかな……。……? ……!!! 水音さん!!」 |