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〜似ている二人は親友〜
作:星野 揺光



第三十五話「自殺」 4


「まね……」

 ――……、誰かが、私を呼んでいる…。

「雨音…、雨音……」

 ――なんだろう? この聞き覚えのある声…。誰……??

「雨音、起きなさい」

 ――あれ、男の人の声…。さっきまで女の人の声だったのに……。

「おきなさい」

「起きて、雨音」

 ――ん…、うるさいよ……。私寝るんだから……。
 って、あれ? 私どうなったんだっけ……。
 ああ、そうか。
 自殺、したんだ。声はきっと天使の声…。

「雨音、雨音」

「雨音ちゃん、雨音ちゃん」

 ――やめて、急かさないで。もうちょっと待ってよ。

「雨音、起きなさい」

「雨音ちゃん、起きてよ」

「雨音」

「雨音」

「雨音」

「雨音――」



 ビリリリリリリ!!!

「!!! ゆ……ゆめ…?」

水音 雨音。十六歳。
たった今、目が覚め、目覚ましをとめた。

「いたっ…!!」

痛みを感じた雨音は左手首を見てみる。

「!」

血が大量に流れていた。
驚いたが、雨音はすぐに昨日のことを思い出し、

『ああ、そうか。私自殺しようとしたんだ……』。

と、ぼやいた。
更に『でも死ななかったんだ』ともぼやく。

「……死にたかった…のにな……」

左手首を右手で押さえながら雨音はぼやく。

「あれ、なんだったのかな?」

不思議そうに雨音は言った。そう。「あれ」とはあの夢のこと。
それは、

女性と男性が交互に雨音じぶんの名を呼び続ける。

まさにホラー的な夢だった。

「なんだったのかな、本当に」

疑問に思った雨音だが『まあいっか…』。
ぼやきながら左手首に消毒をつけたティッシュを付け、血が止まるまで消毒を押し続けた。
止まったところでガーゼを傷口に当て、剥がれない様、絆創膏ばんそうこうでとめる。
痛みはまだ響くが雨音はどうもしなかった。ただぼーっとしているだけ。
雨音は台所へ向い、

『何かないかな』

とぼやきながら食料を探す。が、ずっと買い物になんて行ってなかった。
食べれるものなんてなかった。残っているものは水だけ。
と思っていた雨音だが棚の奥から保存食が数個。

「あ!」

嬉しそうに笑顔になる雨音。
『まだ食料あったんだぁ』と言いながら一つの保存食を食べ始めた。

「私……、これからどうしようかなぁ…?」

雨音は食べながらぼやいた。
いつもなら学校へ向かうが、それはいじめに慣れていたから。
でも今じゃ、

『揺を怪我させた』。
『桜花を傷つけた』。
『硝子を割ってしまった』。
『その挙句聖華の右目が怪我してしまう』。
『皆にあることがばれてしまった』。

その所為で……。
その所為で雨音はもう学校へは行けない。

行く権利もないし、皆に合わせる顔もない。

そもそも、雨音は好きで高校に行ったわけではない。自分の意思で言ったわけではない。

ただ、物凄い厳しく恐ろしい雨音の親戚の両親が、

『生活費とか払ってほしかったら学校にお行き!! 邪魔なんだよ!!』。

『お前は邪魔だ。何処かへ行ってしまえ』。

と言った。それに並び

『やーいやーい汚い女ーー!!』。

『うぜー。出てけよ』。

とその親戚に言われてしまう。

実は雨音は、この家に住むまでは、親戚の家や施設をたらいまわしで。
行くところを失くした雨音の行き場は、ここしかなった。
が、親戚は厳しく容赦なんてしない。雨音はここに来たことを後悔していた。

「………どうしよう…」


両親に会いたい。
キョウダイが居るなら会いたい。

揺に謝りたい。
揺と仲直りしたい。
揺に会いたい。

桜花に謝りたい。
桜花と仲直りしたい。
桜花に会いたい。

揺雨に謝りたい。
揺雨と仲直りしたい。
揺雨に会いたい。

いじめられたくない。
いじめをやめてほしい。

居場所を与えてほしい。
居場所がほしい。

私を、許してほしい。


雨音の苦しみや悲しみの気持ちはいっきにあふれてしまった。
涙がボロボロとまた出てしまった。

両親に会いたいとはいえ……。
もう、雨音の両親はここには居ないといわれている。

連絡をしたいものの…。
連絡先どころか親すら知らない雨音が、親に会える筈がなかった。

雨音はそう思う。

「……これから…どうしよう……。携帯…、倉本さんの携帯、繋がらない……」

実は雨音は携帯を持っていた。
知っている連絡先は学校、揺くらいの連絡先だけ。桜花には教えてもらってないらしい。
親戚の両親は

『何かあったら電話しろ』

ではなく、

『何があっても電話するんじゃないよ』

だった。

雨音はわずかな居場所を、いじめによって消されてしまった。
大事な、居場所が…――。







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