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〜似ている二人は親友〜
作:星野 揺光



第三十二話「自殺」 1


「!!」

突然雨音の口から出た

『死にたい』。

と言う言葉。
揺は吃驚した。更に怒りが出てしまって……。

 パァン……!

雨音の頬を思い切り叩く。叩かれた雨音の頬は赤くはれ上がってしまう。
痛みはだんだんとじわ…という感じに広がって来る。そしてしびれるかの様な痛み。
叩かれたことに驚いた雨音は『な…何…? 倉本さん……』とぼやくような声で恐る恐る聞いて見る。
揺の答えはこうだった。

「死にたいなんて……、死にたいなんて……死にたいなんて言葉、死んでも言うなッ!!」

「!」

 ビク!!

怒鳴られた雨音は更に驚いて出る言葉もなかった。

「そりゃあいじめられてる日々は辛いかもしれないよ!? 死にたくなるなんて時くらいあるよ!?
 でも……でも…でもなぁ! アンタさえよければいいってもんじゃないんだよ!!
 アンタが…、水音が死ねば……悲しむ奴、沢山居る……」

涙を流しそうな声で言った揺のその言葉。

「かな…しむ……? 悲しむって…誰が……? 私が死んで誰が悲しむっていうの…!?」

「……アタシ…、そして桜花……」

「それ、だけ? 他は? 他は誰が悲しむっていうの?」

堂々とした声。
雨音は反抗するかの態度で言う。

「アンタの家族だってなくんだよ!」

「私に家族居ないもん!」

「居るんだよ! アンタはただ知らないだけ。でも居ることにかわりはないんだ!
 なのに死にたいとか言うな!! アタシは、そんなこと言う水音、嫌いだ!」

「……。倉本さんなんて嫌い!!!」

大きな声でそう言うと、雨音は病室を飛び出してしまった。凄い勢いで。その二人の大声に気付いた看護士たちが…。

「何事ですか!?」

「! あ…なんでも、ないです」

揺は説明をして、その後ベッドで眠った。


 ――その頃、雨音は

「はぁはぁ……(何さ…私が死のうがかってじゃない…)」

泣きながら、この雨の中走っていた。傘もささずに。かなりの大雨だった所為か、雨音はもう髪も何もかもびちょぬれ。
びちょぬれの服が肌にくっついてしまう。それが何かと気持ち悪い。
だが雨音はそれを無視して家まで走り続けるだけだった。

走り続けて少しあと。

 ドン!!

「きゃぁ!」「うわ!!」

誰かとぶつかってしまった。
ぶつかったのは声からして男の人。

「ごめんなさ…。あ……あなたは!」

「? あ、お前はあの時の!」

偶然。
ぶつかった人は、あの時病院でぶつかった人だった。本当に本人。雨音はなんとなく運命を感じた。
が、今それどころじゃなかった。

「これで…失礼します……」

「待てよ」

「?(何、この人…)」

「傘、ないんだろ? 俺の傘これ使えよ」

「! いいです、そんな」

てれてれしながら雨音は断った。
しかし、男の人は無理矢理傘を渡した。

「俺、もう一本あるから。その傘、明日にでも返してくれ」

「え、でもどうやって…」

「大丈夫だ。俺とお前は同じ学校だから。そうだろ? 虹ノ空色学園高等部女子部、水音 雨音…――」

一言だけ言うと、男の人は去っていってしまった。
ザー! と鳴り響く雨の音。
雨音は慌てて傘を差す。そしてそのまま家へと向かう。

「あ、でも私…死ぬ、んだっけ……。もうこれいらないかも…。でも……貸してもらっておこう…一応……」

続けて雨音は

『あの人、ひょっとして男子部の人かな? そうだったら、明日にでも返そう……。
 その後、桜花ちゃんと話して、仲直りして…。あ、倉本さんともね。
 うん、明日のスケジュールはこれ』

等色々独り言をぶつぶつ言いながら帰っていった。


 そして家。

『やあ、雨音』

「! 揺雨!」

『今日は、やけにるんるんだね?』

「うんっ!」

話し相手は揺雨。
揺雨と話していると、雨音はなんだか揺雨を身近に感じてしまう。
それは何故だろうか、と思うがあえて気にせずに居た。

「実はね、今日話しかけられて」

『ふーん、誰に?』

「誰かわかんない」

『それって、金髪緑目の人?』

「うんっ。揺雨、知ってるの?」

『知ってるも何も、あの人は虹ノ空色学園高等部男子部二年。更には生徒会長なんだよ』

「……嘘っ!」

驚いた雨音に『嘘じゃないよ』、と言い返す揺雨。
二人は楽しく仲良さそうに会話し続けた。

『それより雨音。服、ぬれてるね?』

「あ、雨だったから…。着替えてくるね」

『わかった』

姉弟みたいに楽しそうに話している二人。
いつも暗い顔をしている雨音は、揺雨と会話してる時、揺と話してる時、桜花と話してる時はあかるい。
それはきっと、雨音には『友達』と感じているから。もしかしたら友達以上の親友なのかもしれなかった。

「おまたせ揺雨っ!」

『うん。ところで…雨音……』

「ん? 何?」

『なんか…無理、してない?』

「無理? してないよ? なんで?」

『いや…。なんか、その笑顔の裏腹に偉く落ち込みを感じてるような…』

遠慮ぶってる表情で言う揺雨。

「感じてないよ…」

『嘘』

「うそじゃないよ!」

『嘘だ』

「うそじゃない!」

『嘘』『嘘じゃない』。その言いあいが始まった。
揺雨が『嘘』と言い、雨音が『嘘じゃない』と反対。
しばらく言いあってるうちに…。

『僕、嘘言う雨音嫌いだな』

「……――!!!」







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