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〜似ている二人は親友〜
作:星野 揺光



第三十一話「最悪な事態」


「…どうして……、なんで強く、ないの……」

グスグスと涙をぽろぽろ流しながら、雨音はぼやいた。
ぼやいても、声をかけてくれる人は居ない。

揺は、自分の所為で怪我させてしまった。
桜花を、傷つけてしまった。

この二つのことは、雨音にとってとてもつらいことだった。
二人は『気にしなくてもいい』。そう言っているので気にしないで居たが、いじめによってよみがえる恐怖。
それが辛かったのだ。

「ちょっと水音、邪魔なんだけど」

「!」

背中を押し、雨音をドンと突き飛ばした女子。
それは、以前雨音の悪口を言った水綺羅 聖華だった。この学校で最も悪口が上手い水綺羅 聖華。
多くのいじめっ子たちから友達になろうと誘われている、かなりの最低な奴。
そして、聖華は後ろに二、三人程の女子を連れている。それもいじめっ子。
そんなことも知らず知らず、雨音はごめんなさいと誤り、廊下のすみまで移動した。

「邪魔よっ!」

「っ!」

もう一人の女子は、すみに居るのに雨音を更に突き飛ばした。
その時だった。

 バリーン!!!!

「(――え…?)」

凄い音がした。雨音の近くで。
それは、硝子が割れる音。その音は学校中に響いたらしく、その硝子が割れたところまで、みなすぐにかけつけてきた。桜花もかけつけてきた。

「な……なんなの!?」

叫んだのは涼先生。

「いたっ…!」

「きゃあ! 涼先生! 大変です! 聖華さんが…聖華さんがぁ……!!」

「いったぁ……」

どうやらその割れた硝子の破片が、聖華の右目下あたりにすっ飛んできた。
その速さを避け切れなかった聖華。それでこの結果。
聖華の右目下からは、大量の血はぼたぼた沢山流れている。その血は床、聖華の膝・聖華のスカートに零れ、ついてしまった。
切れてしまった右目下。聖華は右目を閉じて、その上から右目を右手で押さえていた。
すると聖華のとりまきとなっていた一人の女子が雨音を睨んだ。

「ちょっと水音さん! どういうこと!!?? 聖華さんに怪我させるなんて!」

「え、ちが……」

「もう! いい加減にしてよ!! ついこの前倉本さんを怪我させたばかりなんでしょう!? 次は聖華さんを怪我させるなんて……。貴方最低!」

それを聞いたまわりの者たちは、生徒教師、知ってる知らない関わらずシーンとなってしまった。
雨音は涙を流しながら口をぱくぱくさせる。

「……今のはなし…本当、なのか? 水音」

悲しそうな顔で涼先生は言う。

「! ちが……」

「もし、そうだったら、先生は悲しいな」

「だからちが…」

『違う』と言いたいのに、誰も最後まで聞いてくれず、話を進めた。

「…水音さん……、なんでこんな…」

桜花はぼやいた。

「ちが……う…。違うんです!!!!」

そう言うと雨音は学校の外まで走っていった。
いつものパターンだと分かっていた者はくすくす笑っていた。
おまけにこんなことまで。

「ぷぷっ。水音さんってへタレなのね」

「怪我させれる勇気あるのに謝る勇気はないんだ?」

仲良さそうな二人での会話。次は五人くらいの仲良さそうな人たちの会話。

「倉本さん怪我させたって本当?」

「本当だよ」

「へえ。倉本さん大丈夫かな? 水綺羅さんもカワイソー」

「でもさぁ…今回ばかりはまずいんじゃない?」

「え? 何が?」

「だってさ、怪我させたあげく硝子まで割っちゃったんだよ? 流石にまずいでしょ?」

「たしかに……」

他色々な会話が聞こえてきた雨音。でもそんなことに、耳を貸さない雨音は、ひたすら走るだけ。
しかし走る方向は家があるところじゃなかった。
病院だった。揺の居る虹ノ空色病院。そこへ雨音は向かった。

病院内へ入ると、雨音は揺の居る部屋がある三階へと、階段で登った。
その歩き方は早く、そしてスタスタ素早く走るかの様。

そして、揺の部屋。

 バン!

「くら…もと……さんっ!!」

「! 水音!?」

突然扉がノックもなしに開いたので、揺は驚いた。
しかも入ってきた人が雨音。それも制服姿。流石の揺も驚いた。

「うぐっ……ひぐ………うぅ…」

「どう…した……? そんな涙ボロボロないて(ナトドみたいだ…)」

「わ……たし…、もうどうしたらいいか…わか……なくて…」

「? 話してみなよ。また、なんかあったんだろう?」

雨音はコクン、とうなずく。椅子に座り、揺と話し始めた。
最初の話は雨音がいじめられてること。それからの話はまだ決まってない。
雨音は、すぅ…と息を吸い、まず涙を拭いた。
そして会話が始まった。

「…硝子、割っちゃ……った…」

涙声で雨音は言った。

「“硝子ガラス”?」

揺は不思議そうに返事をする。

「うん……、学校の…。水綺羅さんに突き飛ばされて…その後、水綺羅さんの友達に突き飛ばされちゃった……。
 それで硝子が割れちゃって……。ははっ…、私、どんくさいよね………」

「……」

「私もう……どうせこんななら……」

「?」

「…死にたい……」







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