第二十四話「真実を告げる」
揺が後ろから追いかけてくる事を知った雨音。
『もう息を切らしてるから体力はない。だから追いかけてこない筈』と思いながら雨音は走り出す。
だがしかし、揺はまだ追いかけてくる。
「み……おと……! 待て……」
ゼェハァ息を切らしながらも追いかけてくる揺。
流石に雨音もそんな苦しそうになっている揺を友達として見捨てる、というわけにもいかなかった。
ここは助けるしかないが、雨音はただそんな揺を見つめるだけだった。
助けても意味がないと感じたからだ。
どうせ怒られるだけと思ってる雨音には見つめることだけしか出来ない。何も出来ない。
このまま見つめてたら何か言われる。そう思い、また走り出す。
「待て……! 待てって言ってるのが分からないのか!! 水音!!」
「……っ!」
胸元で両手にぐっと力を入れる。
後ろを振り向かないようにと必死だった。
――何、言われても絶対に振り向かない! 何があっても絶対ふりむかない……!
私は倉本さんに顔合わせれる状況じゃない……。絶対振り向かない――!!
「水音! 待てってば!」
「嫌! 絶対に待たないんだから!! 追いかけてこないでよ!」
と言っても追いかけてくる揺。走り続けて息苦しくなってきた雨音。
しかしついさっき止まらない、振り向かないと誓ったばかり。
「……うぅ…(なんで…。倉本さんまで私を攻めるつもりなの?? 本当は古河さん達やクラスの皆、他に私をいじめてくる人たちと組んでるんだ……!!
倉本さん、最低だよ。そこまで私を攻めるだなんて……。絶対に組んでるんだ!! いじめっ子達と!!)」
とうとう悪い方に考えてしまった。
来ないでと言ってるのに待てと言いながらしつこく追いかけてくる揺を、敵としてみてしまう。
こうなるはずじゃなかったのになってしまったこの時。雨音も揺も動きがどんどん遅くなり、もう動きが止まりかけていた。
そして、雨音はついに走りを止める。
「はぁ……はぁ…。やっと…とまったか……。み…」
バンッ!!
雨音の手に触れようとした揺の手。雨音は勢いよく叩く。
この感覚、桜花に叩かれた時と同じ感覚だった。
「水音…?」
「来ないで!! それ以上来たら……私…わた……し…」
「……。水音、もしかして桜花と何かあったのか?」
「っ!!」
『桜花と何かあったのか?』。
そう言われると何故だか知らず知らずに涙が出てきてしまう。ボロボロといっぱい出てくる涙。
その涙は地面へと落ちて行く。体もガクガク震えてきた。
「水音……??」
揺が声をかけても返事はない。
「……でよ……? なんでよ……。どうしてなの……。なんで……なんで…?」
「やっぱり…何か、あったのか……?」
「うぐ……」
涙を流しながら必死に声を出す。その声はなんとか出た、という声。
「……ったよ……。あったんだよぉ!」
「…何があった…? 話してみろ…」
「………。あの日…病院へ来た時に……ぐうぜ……ん…桜花ちゃんに会って……」
そこまで言うと言うのをとめる。
『それで?』と揺は聞いて見る。雨音は再び話し始める。
「…それ……から…うぐっ……。古河さんにあって……。その後…桜花ちゃんの過去……が…どうとか……で……。
古河さんが帰った後に…わ……たし……が…、うう…そのことを……き……たら……」
苦しそうに涙声で必死に言おうとする。雨音の声は既に出るのが限界になっている。それでも声を出す。
揺は「もう言わなくていい」。そういおうとしたが雨音は話を続けようと必死になっていた。
その所為か、言いづらくなり、とりあえず話しを聞く。
「……おう…か……ちゃん………ね…。怒っちゃって……。怒った…のは……私の……所為で……。学校でもなかなか謝れなく……って……。でも…ね…、今日学校では会わなかった…んだ……」
「なんで?」
「教室……に…ね……、入ろうと……したら…中から皆が私の悪口言ってるのが聞こえて……。もう……たし…どうしたら……はぁはぁ……。いいか……わかんなくて……うう……うぐ……っ」
『それで病院へ来たのか?』と揺が聞くと『そう…』と雨音は答える。
話を聞いた後、揺は『そっか…』と優しく言う。雨音は少々ほっとなった。嬉しくもなった。
「水音――。ごめんな…」
「…んで…倉本さん……が…謝る…の??」
「アタシの所為なんだから。水音が苦しんでるの。真実を教えてくれてありがとうな」
「……私…のほうこそ……ありが……と……う…」
「とりあえず病室へ戻ろう? 風邪引く」
「うん…」
二人はゆっくりと歩いて病室まで戻った。
二人、仲良く……――。 |