第二十三話「揺に出逢う」 2
「……え……。知ってた…って……。それ…どういう……」
手に持っていたものを床に落とし、がたがた震えた声で言う。
『ごめんな』と揺は謝るが、雨音はあまり反応しない。
「そんな……。じゃあ、私悩む必要なかったっていうの…?」
「ああ…」
「苦しむ必要もなかったの?」
「ああ…」
「……いじめられる意味も…?」
「………」
最後の質問の返事だけはしない揺。
雨音は唇をぐっと噛んだ。
「知ってたのになんで話してくれなかったの!? 私がどれだけ苦しんだと思ってるの………!!」
「仕方ないだろ! 言う機会がなかったんだから。それにアタシの所為だっていうのか!?」
『アタシの所為だって言うのか』。そういわれると雨音は返す気力が無くなった。
何時もみたいに目から涙がボロボロと流れてきた。
流れると同時に手に力を思いっきり入れる。さっきまで苦しかったのがさらに苦しくなってくる。
「……………。倉本さんなんて大嫌い!!」
バン!!
そう言いつけると雨音は勢いよく病室を飛び出し、走り出した。
「“嫌い”か……。まあ…言われるのも当たり前か…。そうだよな……。
……ごめんな…雨音…。お前が苦しむことになったのは全部全部アタシが悪いんだから……。
こんな筈じゃなかったのに…。雨音に会いに来た理由は、苦しめる為じゃなかったのに………。本当に……ごめん……」
悲しそうで切ない声で揺はぼやいた。
そして、何かが落ちていることに気付く揺。
落ちていたのは中くらいの紙袋だった。それを拾うと揺は紙袋をあける。中からはいい匂いが。
「なんだ……? これ…。水音の落し物…、だよな。クッキー……?」
中身がクッキーだという事に気付いた揺。
クッキーは可愛いお菓子を入れる袋に入っていて、中身が出ない様に綺麗な細いリボンでとめてあった。
白い紙も入っている。これは手紙だ。
「手紙…」
呟きながら揺は白い紙をそっとひらげる。紙にはこう描いてあった。
「……『倉本さんへ。早く元気になってね』…」
その一言だけが描いてあった。揺は嬉しくなり、暗い顔から笑顔へと変わってゆく。嬉しくて涙も出そうだった。
「………雨音……、まさかこれを届ける為にここへ…?」
揺は病室を飛び出した。そして外へ向かう。
「く……倉本さん!? 外に出ちゃダ…」
「うるさい!」
看護士の言葉も聞かず、ただただ外へと走り続ける。
走り続けてようやく病院の外へ出た。揺の視界の先には雨音の姿がある。
「はぁはぁ……雨音!!!」
「……! くら……もとさん……?」 |