第二十一話「やっぱり“友達”なんて出来ない」
「はぁ……」
雨音は学校の廊下で溜息をついた。立っている廊下は一年一組、雨音のクラスの教室前の廊下だった。
昨日のこと、桜花の事情、都子が言っていたこと。
色々悩む雨音だが相談相手等居ない。親に頼ろうと思っても大間違いだった。雨音にはもう親が居ないのだから。
入りたくない教室。行きたくもない教室。
そんなところの目の前に居る雨音は少し嫌になってきた。
すると、教室の中から声が聞こえた。
「ねー知ってる? 倉本さんって凄いスポーツ上手いんだってw」
「あー知ってるw」
「勉強も凄い得意んだってね……?w」
「うんwそうそう。あたしファンになりそう……」
「あー私も私も!」
女子たちが揺の話をザワザワとしている。
その会話には雨音以外の一組生徒が参加していた。都子たちも参加していた。
桜花は参加していない。というか桜花は別のクラスなのだ。
あとの二人組……。都子がいつもバックにつけていた二人組……。
それは、空来・麻子の二人だった。昨日は「捨てた」と言っていたのに。雨音は少し驚いた。由利と実依は三組だから今この教室には居ない。
「……(何よ、皆倉本さん倉本さんって……。そんなに倉本さん好きなら私いじめるのやめて倉本さんと一緒に遊べばいいのに…。馬鹿じゃないの……?)」
ググ……。
雨音はいつも言えないことを心の中で言った。そして鞄の取手を強く握った。
「でも…さ……? 倉本さん可愛そうだよねー。水音だっけ? あんなのに怪我させられちゃってねー」
「ホント。水音の奴、どう責任とってくれるわけー? みたいな」
「アハハ!! それちょっと最高じゃない……!!」
「聖華最高〜〜〜!」
聖華……。それは水綺羅聖華のこと。かなりお金持ちの家の令嬢だ。
普段おとなしいのに学校では“自”が出てしまう。そのほうが聖華は嬉しい。
「ていうかさあ……大声では言えないんだけど……」
「「何なに……?」」
「アイツ、この学校から消えてくれるといいのにねー」
「あー!! それ最ッ高!! 聖華、あんたやっぱり最高だよ〜〜ww」
「ついでにこの世からも消え去ってほしいよねーw」
続けて他の女子が言った。
「「「キャハハハハ!! たしかに!!」」」
女子全員はその言葉で爆笑していた。
その声は雨音に聞こえていたが、『この学校から消えて』と『ついでにこの世から消えてほしい』の言葉は聞こえてなかった。
なんの話で盛り上がっているのか少し気になった。
「消えるっていうかー、死んでしまえばいいのにいねー」
聖華は言った。その声はわざと雨音に聞こえるような声だった。
「っ!」
教室の外で聞こえてしまったその言葉。雨音は酷く傷ついた。
涙がボロボロと出てしまう。涙をポケットに入れているハンカチで拭く。でもハンカチで拭いても吹いてもボロボロボロボロと流れ続けるのだった。
「……うぅ……うぐ………ひぐっ……ぅう………」
もう、涙は止まらないと思った。
「つーかさー、アイツが怪我して死んでくれたほうがみーんな喜んでたと思わない?」
「あ、それ言えるねー。スズ最高じゃん」
「でも聖華ほど最高なこといえてないわよ。ハハw」
「やだなぁみんな。水音の悪口は正しいことなのだからいいのよ」
「あーそうかー。やっぱもう聖華最高じゃん!!」
「「「ハハハ!!!」」」
雨音以外の女子はかなり盛り上がった。
外に雨音が居る事を知らない女子達は、てんてんと悪口・陰口を言い続けた。
「……やっぱり………“友達”なんて………できない……んだ……」
なきながら雨音はぼやいた。
そしてそのまま学校を出て、家に向かった。 |