第十六話「新しい友達!?」
「え……? 香咲さん、今なんて?」
桜花が言った台詞に雨音はかなり驚いた。
突然だったのだから、当たり前。
今まで「味方だよ」なんていわれた事はない雨音。だから驚いている。
「言った通り。わたしは……。水音さん、貴方の味方……」
言った通り、本当らしい。
桜花は本当に雨音の味方だ。心の底から雨音は嬉しい。
――嬉しくて、言葉に現せない程。
揺、という友達が出来た程に嬉しい。
嬉しくてたまらない。
どうしてこんな私の味方になってくれたんだろう――。
と、雨音は思っていた。
「……、香咲さ……・むぐ!?」
喋ろうとした雨音の口を、桜花は右手の人差し指で無理矢理閉じさせる。
少し雨音は焦りと驚きの感情が混じった。
「今日から“香咲さん”じゃなくて“桜花”って呼びなさい!」
桜花は言った。
「……。じゃあ、私、“桜花ちゃん”って呼ぶ!」
子供みたいに雨音ははしゃいだ。
生きていて初めて、友達に“ちゃん”付けで呼ぶ雨音。
――なんだかくすぐったい感じだ。
まだ揺の事は苗字でしか呼んだ事がないというのに。
けれども初めての友達じゃなくても嬉しかった。
「じゃあ、水音さんはわたしの呼び方はそうでね! わたしは『雨音』って呼ぶから……」
暗い感じで桜花は言った。
その後二人はそろそろ授業が始まるので教室へ戻った。
――教室へ着いた頃、ちょうどチャイムがなる。
ちなみに虹ノ空色学園高等部女子部の校舎は五階と屋上が。そして一年一組の教室が二階。
だから屋上から一年一組の教室までは少々の時間がかかる。
「……。何、水音の奴。友達出来たからっていい気になりやがってっ……――」
影で誰かは雨音の悪口をぼやくと、自分のクラスへ帰る。
どの学年でどのクラスかは不明だった。
放課後。
今日は四時間しかなかった。昼で下校。
「桜花ちゃーん!!」
大声でそう叫びながら、学校から帰ろうとする桜花を呼ぶ。
「水音さん?」
桜花はその大声に反応した。
どうどうと大声を出す雨音に対して廻りはざわざわとなる。
「一緒に帰らない?」
「…………」
一緒に帰らない?
雨音がそう言うと桜花は悩み始めた。
そして、数分の時間が経った。桜花はこう答える。
「ごめんなさい。わたし、今日用事があるのよ」
「……そっか…。じゃあ明日!」
少々ショックを受けたが雨音は素早く立ち直る。
何時も通り、雨音は一人で家へと走りながら帰ろうとしていた。
「……ミオト……アマネ……。ホントウニミツケタ………――」 |