第十二話「新手」 3
揺雨が現れた。
この前、雨音の気持ちを理解してくれた、たった一人の救い人。
「ずっと逢いたい」と願っていた雨音は嬉しくてたまらない。この気持ちを誰に伝えればいいか分からない。
そんな気持ちを抱えながらも雨音はさっさと話しけける。
「揺雨!!」
『残念だけれども……“今の君”とは話したくない……』
「え……?! あ!! 揺雨!! 待って!! 揺雨!!」
スゥ………。
揺雨の声はすぐに聞こえなくなった。
雨音はさっきまで今にも零れそうだった、目に溜まっている“雫”が……。
ポタ……。
とうとう落ちてしまった。
その後、何滴も何滴も、ぽたぽたぽたぽた、沢山流れてきた。
「――して……。どうして……わた……しだけ……」
次の日、学校。
いつも通り、雨音は一人でなんとか綺麗に洗った制服を着て、道をとぼとぼと歩いている。
よく見ると、目が真っ赤に腫れていた。どうやら昨日なきすぎたらしい。
もうその腫れた目は、開けるのがやっとくらいの痛みを抱えている様。
雨音はその充血した目を、何度も何度もこすってなんとか開けている。まるで朝起きる様な行動だった。
「水音ー」
ビクッ!!
雨音は後ろから誰かに声をかけられた。
その声は由利と実依の二人組。雨音は恐る恐る、返事をした。
「あんた、えらいじゃん。昨日突然呼び出してきたと思えばあのことの返事だものね」
突然雨音の後ろからやってきた由利は、見下した言い方をした。少しおどおどしながら雨音は「はぁ……」と返事。
いつも雨音をいじめている三人組の、都子、空来、麻子は最近いじめて来ない。
だが、今はこの二人に。その他全校生徒達に。雨音は目を付けられている。
しかしなれている所為か、もうどうでもいい。そう考えてるのだ。
「じゃあ水音。今日、夕方あたしらのトコに来な」
睨みながら、実依は雨音に言いつけた。雨音は「はい…」とぼやく様に返事をする。
勿論、こいつらの事だ。雨音をいじめる為に呼ぶ。いじめはそういう奴ら。
――その後、雨音は強制で由利、実依と学校へ行く事になってしまう。
断りたい。
でも、「いやだ」。そう断ればもう、「虹ノ空色学園」へは行けなくなってしまうのだから。
雨音はドンゾコへ落ちた気分になってしまった。雨音はずっと「自分の所為、自分の所為」と、悩んでいる。
「………(なんで、私だけこうなるのだろう。もう死んでしまいたい……)」
そんな事も思いながら、雨音はスタスタと道を歩いて学校へと行く。
学校。
考え込んでる内に、雨音はいつのまにか行きたいけど行きたくない場所――“学校”に居た。
もう入ってもいじめられるだけ。汚い物のような見方をされる。苦しい思いをさせられる――。色々悩みながら雨音は校門へと足を踏む。
「ほっ……」
なんとか校門へ入れた雨音は安心した。
だが、本番はこれから……――。
ヒソヒソ……。
廻りから雨音を見ながらヒソヒソと声が聞こえる。雨音は少しだけ気にしているが後は一応無視しておく。
何かを言っても、「あんたの所為でしょ」と言われれば言い返しても意味がなくなる。
追い詰められるだけだった。その後泣いてもしょうがない。これも攻められるだけだ。
「水音さんよ……??」
「えっと、たしか一組だっけ??」
「しかもいじめられてる。目立ちたいからあんな事したんじゃない??」
「あー、もう水音さん、三組でも有名だよ。鈴城さんと奈種さんが言ってたわ」
「ああ、あの二人が言ってたのはあの子か……」
色々な悪口だった。中には二年三年も居る。殆どが一年。組は関係無し。
少し、雨音はここに居辛くなってきた。
居たとしても、ただ“居るだけ”であって、存在には気付かれてない。
髪型とかは後から転校してきた揺のパクリ、と言われている時もあった。今もきっと薄々そう思われてるに違いない。
「………(私だって……別に好きでやった訳じゃないのに……)」
「そうだ水音」
小声で由利が声をかけてくる。雨音は「?」という表情を表す。
すると由利はこう言った。
「昨日、あたし言ったわよね。『まだ知らない生徒も居る』って。あれ、実は女子の中にも知らない人が居るのよ……」
そんな事を聞いた雨音は「え?」となる。
おもわず大声を出そうと思ったが、廻りに変な目線で見られるから出さないでおいた。なんとか耐える。
すると……――。
「久しぶりね水音 雨音!!」 |