第十一話「新手」 2
「な……何を……」
焦りながら雨音は言う。
すると、由利の口からはこんな言葉が……。
「あたしらさぁ、実は都子達と仲いいんだよね」
「!!」
「都子達と仲がいい」、そんな言葉を聞いた雨音はますます怖くなってきた。
次に、実依がこう言う。
「それに、私はあんたが倉本さんを石段から落ちた所を聞いた。ちなみにこの情報はもうすっかり有名よ。男子部のほう――高等部中が騒がしくなっちゃってるくらい」
くすくす……、と笑いながら実依。
カタカタと震えている雨音を見ている由利と実依はニィ……、と薄笑いしている。
「高等部中が騒がしくなってるくらい」という言葉を聞いた雨音はもう目に今にも零れそうな涙。
もう、雨音は大泣きしそうなくらい、辛くなっている状態。
すると由利が言った。
「あーそうそう。『学園中』、と言っても先生達は知らないし知らない生徒も居る。バレたら最低でも停学よね……?」
「ッ………!!」
「この事、黙ってほしかったら、あたしと実依、都子達の言う事なんでも聞くことね」
続けて実依が
「勿論、答えはいつでもいいわ。ただし、期限は明後日まで! 遅れたら放送で言いふらしてやるわ! そうすれば知らない生徒、先生達に分かるんだから!!」
その恐ろしい迫力に、雨音は思わずひっ……、と言ってしまう。
由利と実依はくすくす笑っている。
二人以外にも、階段の影に都子達が見ていてその三人もくすくす笑っていた。
放課後。
一人、雨音は夕暮れにあたりながらトボトボ寂しそうに歩いていた。
いつも隣に居た揺は居ない。雨音は孤独な気分になってしまう。
校門前で、別のクラスの生徒達が“何か”を持って雨音を待ち構えている。
だが雨音に反応はない。その生徒達に気付かずに雨音はそのまま校門へと歩いて行く。
「来たわよ……??」
「せぃの!!」
バシャッッ!!
「――…………」
泥水がかかってきた。かなり汚い泥水。しかも臭い。
女子達はその“泥水”が大量に入ったバケツを雨音にぶっ掛けた。
おかげで雨音はベトベトに汚れている。
制服も鞄も靴も髪の毛も。全部汚れた。
「やっだー。きったなーい」
「近寄らないで!! 臭い!!」
その暴言だけ言って、二人の女子は去っていった。
二人の女子は雨音と同じ、一年の生徒。だが何処のクラスかは分からない。
――雨音はそいつらに何も言い返せなかった。
言ったところで更に酷くなったいじめがまたひどくなってしまう。
これ以上は何も言えなかった。
「………どうしよう……。制服、汚れちゃったな……」
そうぼやいて雨音は走って帰って行った。
家。
「はぁ……。どうして私、言い返せないんだろう。しかも制服汚れちゃったし、明日も学校なのにな……。私服着ていったら怒られるし……」
と、言いながら雨音はとりあえず風呂へ行き、泥水等を落とした。
髪の毛にびっちしとついた、泥水は、固まってなかなか取れない。だが雨音はなんとか取る。
何故なら虹ノ空色学園は服装等ちゃんと整ってなければ怒られてしまう。
「どうしよう……。明後日までに鈴城さん達に返事出さないと………」
悲しそうに雨音は呟いた。
でも相談する相手は居ない。
揺が居たとしても、一度怪我させてしまった自分の相談にのってくれるのだろうか――。
雨音は色んな事を考え続けた。
「さてと……、制服洗わなくちゃ……」
ぼやきながら雨音は風呂から揚り、着替えて制服を洗おうとした。
すると……。
プルルルルル………。
電話の音がした。
雨音は慌てて電話に出た。
「もしもし……」
「………」
相手は返事をしない。
何度も雨音は「もしもし」というがやはり返事はない。
そして十五回目……。
「もしもし!!!」
大声で言った。
ツーッツーッツー………。
その電話は無言電話だった。雨音はシーンとなってしまう。
『――………雨音……………』
「!! ゆ……う……??」 |