第一話「水音 雨音」
――虹ノ空色町。
そこは雨上がりには当たり前の様に必ず虹が出てくる街。
だから「虹ノ空色町」と言う町名が付けられた。
でもココは|虹ノ空色学園じゃない。
そう、ココは石火山町なのだ……――。
「えっと…あの…何?」
「水音、前から思ってたんだけどよ、お前って何かとムカつくんだよな」
一人の男子が女子に見下した感じで言う。目付きは睨んでいる眼である。
一人の女子を五、六人くらいの男女が囲んでいる。それは“イジメ”をする“いじめっ子”の子供達。ちなみにココは石火山小学校。
するとその“いじめっ子”軍団の一人の女子がいじめられてる女子に近づき……。
「皆知ってる? 水音さんってさ、前まで自分の事なんて呼んでたと思う?」
と、“いじめられっ子”の過去を言おうとする。
「え? なんて言ってたの?」「教えて教えて」
等との興味心身らしきほかの女子の声。今いじめられてる女子が汗って座ってるとこを立ち上がり
「ちょ…やめてよ! なんでそんなことするの?!」
「うるせぇよ!!」
震えているいじめられてる女子を男子が突き飛ばす。
「きゃあ!」
突き飛ばされた女子は悲鳴をあげる。悲鳴と言っても小声である。
――ドゴ!!
「いて! 誰だよ、今俺殴ったの!」
「お前等人をイジメて楽しいのか? ダサいな、そんな事して。
知ってたか? イジメをする奴って結構ヘタレってコト…――」
――ピピピピピピ!!! カチ……。
「夢か……。てか今何時? ってもう八時!?」
ベッドから起き上がった少女はピンク色の目覚まし時計を見る。その時計の針は八時調度を指している。
急いで起き上がり、パジャマから制服へ着替える。
そしてとっさに一階へと階段を駆け下り、水を飲み、小さなパンを食べ顔を洗い、髪を梳いて歯を磨く。
「急がないと…(また『遅刻した』って笑われる…!)」
水音雨音 十六歳。虹ノ空色学園高等部女子部の生徒。ちなみに一年。
黒髪の茶色い瞳。
毎日毎日イジメが続く、“いじめられっ子”である。
両親は小さい頃に亡くし、今は一人暮らし。小さい頃は親戚のトコや色んな施設をまわったとの事。
雨音はまた二階に上がり、通学用鞄を持ち、玄関の扉を素早く開けて鍵を閉める。
そして学校へと走っていった。
――通学路。
「(今日こそは遅刻しない……遅刻したら笑われるから……)」
そう思いながら、広い道のすみっこを走る。
雨音はいつもいつも遅刻しているからよく同級生に笑われている。
笑われるのは人間にとって……いや、生き物全員にとって一緒の恥なのかもしれない。
――ズ……。
「え? 『ズ』? ……きゃあああ!!」
――ズザザザ……!!
道のすみを歩いてたせいか、雨音は石段から物凄い勢いで落ちていった。
普通人が何処かに落ちたら「大丈夫?」などとの声をかける。それが当たり前。
だが雨音が落ちた階段が在る場所は虹ノ空色学園高等部女子部の校舎の手前辺りだったので、廻りに居る者達は全て虹ノ空色学園高等部女子部の生徒。しかも同級生である。
そのまま止まりもせずに下の方まで雨音は転がるかの様に、落ちていった。
「いたた……、なんで私だけ……」
落ちた雨音を見た同級生の女子達は……
「ヤダ…水音さんたら石段から転げ落ちてるよ」
「ダサいね」
「目立ちたいからって普通ココまでやるかなぁ?」
「「「あははは!」」」
最後には三人で大笑いをする三人組。しかも雨音に聞こえる様に言っていた。
雨音が落ちたのは「わざと落ちた」とその三人組は考え、そのまま校舎へ向かって行く。雨音を無視して……。
「……(もう嫌だなぁ…)」
「――大丈夫か?」
「え…?(! うそ……この子私に似てる――?!)」
一人の少女が階段から落ちた雨音に手を伸ばす。その少女の髪の色と目の色はありえない色をしていたのだ。
普通ならばそれを見たら驚く。だが雨音はそんな事気にしない。
何故ならこんなドンくさい自分に話しかけてくれたのだから。嬉しくて気にしてないのかもしれない。
そして雨音の手を少女は引っ張り雨音はやっと起き上がれた。
「はい」
と、落ちた時に何処かへ飛んでしまった鞄を少女は雨音へ渡す。雨音は
「ありがとう」、とお礼を言う。
すると少女は
「じゃあね」
そう言って雨音の目の前から去ろうとする。その時雨音が……。
「ちょ…待って! 貴方は誰なの?その制服、虹ノ空色学園だよね?!」
去ろうとする突然現れた少女を雨音は呼び止めた。少女はこう返事をする。
「……(あの制服も……虹ノ空色学園のか……)大丈夫、また会えるよ」
「――本当? あ!!」
雨音は嬉しそうな顔をしたがもうさっきまで居た少女は消えていた。
その場に雨音は一人残されたまま。少し雨音はがっかりした表情をあらわしている。
――キーンコーンカーンコーン……。
校舎の方からチャイムの音が鳴る。チャイムの音を聞いた雨音は急いで女子部の校舎へ走りだす。
――教室、一年一組……、
雨音はなんとか教室に間に合った。ちょっとだけ「はぁはぁ…」と息をしている。
安心したかと思えば……
「おはよう!!!」
担任が教室のドアを思いっきり開けて教室に入り、大声で言う。
「そうだ。よく聞きな!! 今日は転校生が来るよ!!」
と続けて言う。クラスの反応は…
「転校生? どんな子だろう」
「楽しみだねー」
「早く来ないかなぁ?」
「もう来るでしょ?」
「わたしが一番先に話しかけるのよ」
等とザワザワ盛り上がる教室。雨音の反応は
「……転校生か…(でも私なんかが仲良くなれる訳ないよね。いじめられてるし近付こうとしても廻りがうるさいもんなぁ……)」
暗い反応だった。毎日毎日いじめられてる生活を送っているのだから友達になれるとは全く思っても居なかった雨音。
「入って来なさい!」
担任はさっきと同じトーンで言う。
「はい……」
教室の外から冷静で静かな声がした。それは転校生の声。
クラスの者は「わぁ…」となる。だが雨音だけは暗い。
「倉本 揺さんだ! みんな仲良くするように!!」
「――え…? 嘘……(……今朝在った女の子ーーーーーー!!!????)」 |