花見の翌日
「わー!」
魘されて目を覚ました艶子。
全身汗だくだ。 動悸も激しい。
「な、なんで今頃あの人の夢を・・・悪夢だわ。 くわばらくわばら・・・」
一体いくつなの? くわばらくわばらって、艶子さんよ。
「は! 仕事! うっ!」
その時激しい頭痛に襲われる。
「私・・・誰かに殴られたのかしら? え? なんだっけ? どこに打ったの?」
どうしても思い出せない。
「昨日はお花見で・・・・・途中まで日本酒を飲んで・・・その後どうしたっけ? あ、今日は土曜日で仕事は休みで・・・あ〜良かった。」
ふと周りを見渡すと、見たことの無い風景。
「ん?さぶっ」
ぶるっとして自分を見ると・・・・
なんと! 素っ裸だ!
「ひぃぃぃ。 どうして? ぱ、パンツも穿いてない! そして、ここはどこ?!」
ぱっと横を見ると・・・・
シュータが!
「きゃーーーーーーー!」
「ん? どうしたの?艶子さん?」
「ど、どうしたもこうしたも、なんでシュータくんがわ、私の横に・・・・あわわわわ・・・」
「だって、艶子さんが帰りたくないって泣いたじゃないですか。」
「あ・・・シュータくん、なんで裸なの? なんでなんで? あ、あたしもあなたも、なんでなのーーー。」
布団を巻きつけた。 震えながら。
「艶子さん、やっぱり憶えてないんだ。 がっかり。」
「な、な、な、何があったというの? あなたと私の間に?」
「一言じゃ言えませんよ。 とにかく、もう少し寝ませんか? まだ時間あるし。」
「何の時間があると言うの?」
「チェックアウト、10時ですよ。 ふぁ〜 おやすみなさーい。」
「ちょっと、ちょっと、シュータくん起きて。お願い、あっ頭が・・・・・」
「そこに二日酔いに効く栄養剤があるから、飲んだほうがいいですよ。」
シュータはまた寝てしまった。
[なんてことなの? 一体何があったの? 私、シュータくんとその・・・あの・・・したのかしら? どうやら・・・そうっぽい。]
「いやぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!」
10時10分前。
「あ〜あ、よく寝た。 昨日は楽しかったですね、艶子さん!」
チェックアウトぎりぎりで起き出したシュータ。
それを睨みつける艶子。
「なんで睨みつけてるの? 艶子さん。ねー、ねー、なんで? あんなに素敵だったのに〜」
「!」
「だって〜、そのぉ。へへ」
「どういうことなのよ。」
「艶子さん、一人の部屋に帰りたくない〜って、椎名林檎唄い疲れた後泣き出して、一緒にいてって言ったじゃないですか。 で、僕も男だし、いいの?って聞いたら、『うん』って。そう言ったんですよ。 あんなに酔っ払ってたから憶えてないかもしれないけど、酔ったときって本心が出たりするじゃないですか〜。」
「・・・・・・・・・」
「さ、艶子さん帰りましょう。 モーニング食べようよ。」
「きぼぢわる・・・・・」
艶子はトイレに駆け込んだ。
一頻りトイレに籠った後、二人はチェックアウトした。
「艶子さん」
「はい・・・・」
憔悴し切った顔の艶子は、精気のない声を出す。
「僕達付き合っちゃいませんか?」
「はっ!?」
「なんでそんなに驚くの? 昨日そういうことになったんだし、僕艶子さん好きだし。」
「私は、シュータくんをそんな風に思ったことない。」
「好きになるかもしれないでしょ?」
「かもしれない・・・で付き合えるような状況でもないでしょ?」
「状況? そんなものないでしょ、元々。」
「とにかく・・・私はもう嫌なのよ。 散々なの。 ごめん、昨日のことは忘れて。お願い。 じゃ。」
そういうと、ふらふらする足取りで駅を目指して歩き出した艶子。
[もう、二度と嫌なのよ。散々なの。懲り懲りなのよ、男なんて。]
いつ辿り着くかわからないスローな足取りで歩き続けた。 |