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艶子
作:春晴秋明



都合のいい女 エピソード1


《高校留年の年下の彼》

艶子にも若き日々は存在していた。

当たり前だが・・・何も、29歳で生まれたわけではないのだから。

普通に義務教育を終え、高校に入学しそこで知り合った一つ年下の彼、徹。
艶子が高校3年生、徹が高校2年生になったばかりの春。

共通の友人を通して何度も会うことが続き、なんとなく、どちらからともなく彼と彼女の関係になっていた。

高校2年生の男子と言ったら・・・

どうですか?! 青春を謳歌している男子諸君!!
考えることは、一つ!とまでは言わないが、まあ大概、その・・・・・

大きな声ではっきり言えないので、有耶無耶にしてみることにしよう。

徹は、当然のように艶子を求め、艶子は初めてを徹と経験した。
そして、徹が欲するがままにした。 言われる通りにした。 拒否ることなど、全く。


時は流れ、艶子は地方公務員試験に合格し、県庁に就職し、徹は高校3年生。
自動車免許を取った艶子を足にし、給料を貰うようになった途端に物や食事をせがむ。

艶子は、それでも言われる通りにした。

「徹、もう今月キツイから、贅沢できないからね。」

「じゃ、いいよ。 先輩のところに行くからさ。」

ちょっとでも艶子が抵抗しようとすると、徹は他の誰かのところへたかる。
それが怖くて、艶子はいつも極限まで我慢していたのだ。

彼と彼女になってから、1年が過ぎるまでに徹は何度も同級生や年下の子と浮気をしていた。
艶子もそれをわかっていたが、問い詰めたらどこかに言ってしまいそうで、言わずにじっと待っていた。

待っていると・・・
徹は、艶子に飼われている犬のように艶子の元に戻ってくるのだ。

だから、艶子はそれでよかった・・・らしい。


月日は流れ、2年が過ぎた。
艶子は就職して丸一年が過ぎ、徹は大学生・・・のはずが、留年した。 高校3年生やり直し。

だから・・・・・
また同じ一年を繰り返したのだ。

艶子は貯金もできず、親からの借金もどんどん嵩み首が回らなくなってきていた。

徹は、首も肩も腰も絶好調! その舌も舌切り雀のようにちょんぎるぞ。ってぐらい饒舌になるなる。


艶子は我慢した。 我慢に我慢を重ねた。

[彼もきっと高校を卒業したら変わるわ。]

そう、信じて。

徹は何度も中退を望んだが、それを止めたのも艶子だった。


無事、卒業。
ようやく合格した私立の大学にも入学できた。


ここからだ。

ここから、艶子がやっと幸せになるときが来たのだ!

[私も人生を謳歌できるのだわ!]


そんな矢先のことだった。


「艶子、別れよう。」

「は?」

謳歌・・・どころか、別れを告げられてしまったのだ。


それからしばらくは、艶子は立ち直ることができなかった。 初めての恋。初めての経験。・・・初めての失恋。



徹は、同じ大学の女性とすぐに付き合いだし・・・いや、もう付き合っていたのだが・・・親に買ってもらった新車で遊び歩く日々を謳歌しているというのに。












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