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第四話 ごぶりお は 新しいスキルを手に入れた! 方法? 聞くまでもないゴブ!


 漁村の近くでオオカミの群れに襲われたニンゲンを助けるべく駆けつけた俺。

 丘を転げ落ちたのはアレだけど、なんとか間に合ったっぽい。


『ニンゲン、ここは、俺、任せる。逃げる、ゴブ!』


 片ヒザをついてショートソードを構えて言う俺。

 ピンチに助けに来たヒーローっぽいゴブ! 俺、輝いてる! いやハゲな頭が輝いてるんじゃなくてね! たしかに俺ゴブリンで髪の毛ないけどさあ!

 でも。


『え……? ゴブリン?』


 あっ。

 せっかくかぶってたフードが、転がったことで外れてたらしい。

 つまり、俺の緑色の肌も額の小さな角もむき出しだ。

 キュートなゴブリンフェイスもむき出しだ。

 まぶしい頭もむき出しだ。

 せっかくカッコつけたのに! チビでブサイクでハゲなゴブリンですいません! でも清潔にしてるんで、清潔感が一番大事らしいんで!


『ゴブリオ、いいゴブリン。ニンゲン、助ける。逃げる、ゴブ!』


 とりあえず堂々と言ってみた。

 ほら、この漁村はモンスターっぽい種族も受け入れてるって聞いたし。

 ついでに腰にくくり付けておいた一角ウサギの角をオオカミに投げる。

 当たらなかったけど、オオカミは俺を敵だって認識したみたいだ。

 ニンゲンじゃなくて俺を包囲するオオカミたち。


『ニンゲン、逃げる!』


 俺の言うことを聞いたというより、包囲が解けたからだろう。

 走り出す二人のニンゲン。

 いや、走り出す幼女と、なんか色っぽいニンゲンの女。

 きっと親子なんだろう。

 旦那がうらやましいとか思ってないゴブよ? 俺にはシニョンちゃんがいるゴブ! ニンゲンの女はなかなかのモノをお持ちだったけどシニョンちゃんの方がすごいし! でもけっこう揺れてたゴブなあ!


 思わず注意がそれた俺にオオカミが飛びかかってくる。

 おっと、甘いゴブ! ゴブリオそんなのに引っかかるようなバカなゴブリンじゃ……いってえええええ!


 一匹を斬ったら、死角からもう一匹が飛びついてきた。

 右の太ももに食いつかれて苦しむ俺。

 戦闘中に注意がそれて余裕ぶるとか! オオカミに騙されるとかダサすぎるゴブ!


『おかーさん、ゴブリンさんが!』


『気に、しない! 逃げる、ゴブ!』


 幼女の声を聞いて強がる俺。

 噛み付いてるオオカミに攻撃するけど、オオカミはしつこく俺の足に食いついたまま。

 で、また、死角から別のオオカミに飛びつかれた。

 今度は左手に。

 いってえええ! あれ、コレやばくね? 俺ピンチじゃね? オクデラ、オクデラはまだゴブ!?


 焦ってショートソードを振り回す俺を冷静に見切るオオカミたち。

 今度は左足に噛み付かれる。

 倒れる俺。


 あ、コレ終わりましたわ。

 さっそうと駆けつけたところまではよかったけど、俺しょせん雑魚ゴブリンでしたわ。

 仰向けに倒れた俺は、走ってくるオオカミと目が合った。


 あの、痛くしないでね? 俺初めてじゃないけど、優しくしてね?

 オオカミさんはオオカミだけど心は紳士だって信じてるゴブよ?

 いた、痛いって! せめてひと思いにやって欲しいゴブゥ!

 そう言えば死ぬのもひさしぶりゴブな! 死ぬのがひさしぶりって表現おかしいけど! ゴブリオ、また生き直せるって信じてるゴブ! さあて、今度はどんなスキル取ろ……うか……な…………。


「ゴブリオ! オデ、オデ……オオカミ! ジャマ!」


『ゴ、ゴブリオさん! いま行きますから! 私、回復しますから!』


 モンスターかどうかも怪しいオオカミにたかられて。


 俺は死んだ。




 俺はまたいつもの空間にいた。

 ぼんやり薄緑色に光るステージみたいな場所。

 中央には半透明のスクリーンが浮いている。


 よし、今回も復活できるみたいだ。

 いくらライフポイントが溜まってるって言ったって、今度こそ本当に死ぬんじゃないかってけっこうビクビクものなのよ?


『種族を選んでください』


 今回もまた、無機質な女性の声が聞こえてきた。

 もう慣れたもので、さっそく半透明のスクリーンにタッチする俺。


 左側には種族名がずらっと並ぶ。

 ちなみに俺のいまのライフポイントは32だ。

 漁村までの道中で倒したのは獣とスライムぐらいだったから、選べる種族は増えてない。

 ゴブリンリーダー10とか、ゴブリンシャーマン20・ヒーラー20とかは、ポイント溜まってるのにグレーの文字で選べないまま。


 これ、やっぱり俺が倒したモンスター以外は選択できないっぽい。

 いま俺が選べるのは、ゴブリンベイブ1、ノーマルなゴブリン1、ベビースライム10、スライム20だけ。

 ホーンラビット50、ソードディア200、ニンゲン100万は白い文字だけど、こっちはライフポイントが足りなくて選べない。

 まあ一角ウサギも剣シカも微妙だからいいんだけど! もちろんニンゲンも選べません! あと99万9968ライフポイント! 遠すぎゴブゥ!


 今回はまあいい。

 俺はライフポイントを1消費して、さっさとノーマルなゴブリンを選ぶ。

 いつも通りYES・NOの選択肢が出てきたから、迷うことなくYESを押す。


 薄暗い空間に、また無機質な女性の声が響く。


『スキルを選択してください』


 よっしゃあ、本番きました! ノーマルなゴブリンを選んでライフポイントは1減ったけど、今回は残り31もあるゴブ! 一つ10LP(ライフポイント)のスキルを取れるゴブな! 三つ取ると1しか残らないけど、余裕見ても二つ選べるゴブ!


 ズラッと並ぶスキルをスクロールする俺。

 もちろん、いままでゲットしたスキルをタップすることも忘れない。

 【夜目】【覗き見】【逃げ足】【隠密】【ゴブリン語】【人族語】。


 うん、やっぱり死ぬ前に持ってたスキルはライフポイントを消費しないみたいだ。

 よしよし、やっとチートじみてきたゴブ! さーて、今回取るスキルは決めてるゴブよ!


 目当てのスキルを見つけてタップする俺。

 コレとコレっと。


 よし、今回はここまで!

 このスキルでモンスターを殺しまくってガンガンLP溜めてやるゴブ!

 できればゴブリン上位種を殺って、節約しながら強くなりたいゴブなあ! 俺の基本種族がゴブリンなのか、ゴブリンの上位種を選ぶのがコスパいいっぽいからね!


 ゴブリオ、悪いゴブリンは殺しまくってやるゴブ! 同族意識? あるわけないよね! アイツら「男は殺せ! 女は犯せ!」だし! ゴブリン殺しまくって【小鬼を殺す者(ゴブリンスレイヤー)】って呼ばれるのもやぶさかじゃないゴブ! ゴブリオゴブリンなのに! ゲギャギャッ!


 決意を新たに拳を握りしめる俺。

 スキル選択を終了しますか? YES・NO、と出てきたのでYESを押す。

 スクリーンとステージの光がだんだん暗くなっていく。


 よし、オオカミたちはまだいるゴブな?

 復活したらさっそく試し斬りゴブ!

 俺これまでのゴブリオとは違うからね?

 さっき殺られたのはちょっと油断してただけだから!


 さあ、ついにゴブリオの無双タイムがスタートゴブゥ!



■ライフポイント:32 → 11

 ※取得したスキルについては次話で!


※前話、村の遠景から「大きな」「広い」を削除しました。

 こじんまりとした漁村のイメージです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 『おかーさん、ゴブリンさんが!』 ハーレム要員? [気になる点] スキルと種族を メモするのを忘れたね まぁ、それどころではないかw [一言] 小鬼を殺す者 ゴブリンスレイヤー
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