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  秘密の退魔師 作者:夕顔
 お待たせしました。
 なんとか9月まで最低一回は更新と言うノルマを達成致しました!
 ギリギリですが。
 しかし、作者自身は今回の話にあまり満足していません。
 うーん、なんか微妙だな……っていう感じで、消化不良を起こしております。
 それはさておき、第9話 危険人物、どうぞ!
第4章 第一接点<ファーストコンタクト>
第九話 危険人物




 
 ここは、澪瀬市内の廃病院。山の中腹に建っており、市内を一望できる。かつては人の出入りが激しかったこの病院も、今では肝試しに来る若者以外には足を踏み入れる者はいない。
 殆どの窓ガラスが割れ、風雨に晒された廊下は夕日に照らされて、まさしく廃墟と呼ぶに相応しい姿を現していた。
 だが、直に夜の帳が下りて、その姿を闇が隠すだろう。
 そんな廃病院の院長室。
 窓ガラスは割れていないものの、やはり廃墟らしく、いたるところに当時の資料が散乱している。
 そこに一人の男の姿があった。
 日本人はおろか、外国人でもありえない銀髪。その髪は艶があり、染めたものでないことは一目でわかるだろう。
 その顔はやはり、外国人らしく彫りの深い顔立ちである。顔については、大層もてるだろう、とだけ言っておく。
 ここまででも十分奇妙なのだが、さらに奇妙なことに男は、真っ黒なローブを身に着けていた。夏なのに暑苦しいことこの上ない。
 そんな奇妙な男は、懐から白い15センチほどの木の棒を取り出した。そして、一言二言呟くと電話のように顔に押し当てて何やら話し出した。
「My you. It came to the miose city in Japan as you said. It seems certainly to be sealed off on this ground who it is.(我が君。あなたの言う通り日本の澪瀬市まで来ました。確かにこの地には何者かが封じられているようです)」
「Still, really? It has understood. Please shift up to the second stage of the strategy. Report as soon as it is possible to prepare it. It is good.(やはり、そうですか。分かりました。作戦の第二段階まで移行してください。準備ができ次第、報告をすること。いいですね?)」
 奇妙なことが起こった。マイクも何も付いていないはず棒から、声が聞こえるのだ。張りのあるその声は妙齢の女性のものだろうか。
「My you who consented.(了解しました、我が君。)」
 そう言うと男は、再び一言二言呟くとその棒を懐の中に仕舞った。
「Well, it is not if the examination thing is not first done based on here ……. It is likely to end on around the fifth.(さて、まずはここを拠点として、調べ物をしなければな……。5日ほどで済むだろう。)」
 男はそう呟くと、院長室から出て行った。
 太陽が舞台を降り、闇という名のカーテンが引かれた。
 男はカーテンの裏側で、暗躍を開始する。





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 アリカに見送られて玄関を出る。
 丁度、射しこんでくる夕日が眩しくて、紫音は目を細めた。見ると幸も眩しそうに目を細めている。
「幸。行くぞ」
 エレベーターに乗り、何時もの様に無人のエントランスを抜けて外に出る。またも射しこんでくる夕日が目に染みた。
 早苗のいる雑居ビルへと向かう。
 着いたのは10分後だった。半分廃墟の様だが、これでも機能しているらしい。
 何時ものように階段を上がり、二階にあるドアをノックした。
「はいはい。少し待ってください! 今行きますから」
 早苗とは違う声。だが、紫音には心当たりがあった。
 「ガチャリ」とドアを開ける音。
「あれ、紫音君? とその子は……」
 顔を出したのは小柄な少女。花柄のブラウス、ショートパンツ、ロングブーツという出で立ちだ。
 よく見ると、すべてに卍のロゴが付いている。これらは女性退魔師のおしゃれがしたいという願望から生まれたもので、靴底に鉄板を仕込んだり、服自体が防刃の糸で織られていたりと、そのままで戦闘が可能なのである。これらの生産は、すべて『寺院』が行っており、その製品すべてに卍のロゴが付いているのだ。
 その少女は細いウエスト、ショートヘアで少し日焼けしていて、まさしくスポーツ少女と言ったところか。明るい性格をしているのが一目で分かる。
「久しぶりだな、沙耶。こっちは俺の弟子の九湯川幸だ」
 沙耶と紫音に呼ばれた少女は、乾沙耶という。紫音の同僚――つまり退魔師だ。ランクは紫音と同じB+。紫音より2歳年下で16歳である。
「へ~、紫音君も弟子取ったんだ。初めまして、乾沙耶です。ランクは紫音君と同じでB+。よろしくね」
 自己紹介しつつ、沙耶は幸の顔をまじまじと見つめた。幸は恥ずかしいのか、ちょっと顔が赤い。
「は、初めまして、九湯川幸です。ランクはC-です。よろしくお願いします」
「紫音君たちも、早苗さんに呼ばれてきたの?」
「呼ばれて? 俺たちは単に話し相手になってくれって言われたから来たんだが」
 紫音は首をかしげる。
「まあ、いっか。取り敢えず中に入って。暑かったでしょ」
 2人は沙耶の言う通り、中に入った。
 中に入るとクーラーの効いた空気が紫音たちを出迎える。西日で若干汗をかいた2人には丁度良かった。紫音と幸がソファーに座ると、沙耶は冷たい紅茶を出してくれた。
「ありがと。早苗さんは?」
 紫音が尋ねると、沙耶は、
「ちょっと、出かけてくるって30分ぐらい前に何処かへ行っちゃったよ。もうすぐ帰って来ると思うけど……」
 その時、ドアが開き早苗が入って来た。
「あら、もう来てたのね。幸君も一緒なんだ」
「取ったんですよ。弟子」
 紫音がいやいやといった風に言う。
「未熟だとか言ってたのに?」
 とからかう早苗。
「と、とにかく! 沙耶まで呼んだ理由はなんですか?」
 紫音は不利だと悟ったのか、強引に話題を転換させる。
 早苗は、そんな紫音の様子を見てくすりと笑った後、急にまじめな顔になってしゃべりだした。
「実は、この街に『敗者の痛み』(ロストペイン)の幹部である、元魔法使いキリファ・カセデが潜伏しているという情報が入ったのよ」
「なっ……!」
 驚く紫音。それとは対照的に後の二人はぽかんとしている。
『敗者の痛み』(ロストペイン)? 元魔法使い? なんなんですか?」
 沙耶がさっぱり分からないと呟いた。
「まず、『敗者の痛み』(ロストペイン)って言うのは、まあ、簡単に言えば反退魔師グループみたいなもんだ。厳密に言えば、『教会』に対してのみ反発しているがな」
 紫音がそして、と続ける。
「――元魔法使いってのは、西洋の退魔師、特に魔術師を統括する『教会』から何らかの理由で、魔法使いの資格を剥奪された者達のことだ。魔法が使えなくなったわけじゃない。むしろ、強力すぎて『教会』から迫害を受けると解釈すれば、魔法使いでもかなり強力な者達の称号と取れるだろうな」
 紫音が説明を終えると、幸が質問した。
「師匠。なんで『教会』にだけ反発しているんですか?」
「『教会』に反発するグループは、総じて『異端』と呼ばれる。『異端』の構成員の多くは、『教会』から家族、友人、恋人を不当に奪われた者達だ。ああ、自身がつかまって拷問を受けたってのもあり得るな。……つまり、『教会』に恨みを持っているということだ。そして、『敗者の痛み』(ロストペイン)ってのはその中でも特に過激なんだ。無差別テロなんて平気でやる。『異端』でもトップクラスの危険度だろうな」
「そんな組織の幹部がこの街に潜伏してるなんてヤバいんじゃないの?」
 と沙耶。
「そうよ。だから、今日から夜間に見回りをしてもらうわ。一人じゃ危険だから3人1組で行動すること。今から大体日付が変わるころまで、6時間ぐらいはみっちり働いてもらうわよ。まあ、あと4日もすれば、大規模な捜索隊が派遣されるから、それまでの辛抱ね」
「なんで、もっと早くに来ないんですか?」
 幸が質問する。
「それは、この情報の裏が取れてないからよ。信頼できる情報ではあるんだけど……」
 結局、3人は強制労働(ボランティア)をさせられるのだった。




 
 
「それじゃあ、2人とも。改めて自己紹介といこうか」
 ビルの前で、紫音が2人に言った。
「自己紹介ですか? 師匠、さっきやったんじゃ……」
 この年で痴呆とか大丈夫かな?と幸がこっそりと紫音に聞こえないように続けて呟いた。
「阿呆。痴呆なんてなってたまるか。そうじゃなくてだな、自分のバトルスタイルとか、どんな得物を使うとかってことだよ」
 思いのほか地獄耳だったらしい。
「そうね。じゃあ、あたしから。あたしの適性は霊力で、体術が得意。まあ、接近戦タイプかな」
「僕は、魔力に適性があります。僕も接近戦タイプです。得物は刀です」
 そう言うと、幸は自身の愛刀『五月雨』を呼びだす。
 いきなり手に刀が現れたのに驚きもしない沙耶。
 紫音としては一般人に見られないか心配だったので、早々に刀を仕舞わせる。
「それで、キリファの人相がこれだ」
 紫音は1枚の紙を2人に見せた。
 そこには、銀髪の外国人らしき人物の写真が描かれている。
 ただし、恐ろしく画像が粗いが。せいぜい分かるのは、上にあげた2点だけだろう。
「こんなので探せって、無茶だね……。髪なんて簡単に染められるんだから」
「その通り。まあ、銀髪のままである可能性は無きにしも非ずだからな。それと、これがキリファの詳細な情報だ。
 紫音が何やら英語で書かれた文章を2人に手渡す。
「英語は読めないんだけど……」
「し、師匠。僕も……」
 おずおずと言う2人に向かて紫音は呆れたように言う。
「お前らな……。沙耶はまあ仕方が無いとしても、幸。お前は魔術師だろう。英語ぐらい読み書きできなくてどうする……」
 紫音は、はあとため息をつくとその文章を読み上げ始めた。
「――仕方ない、長いから掻い摘んで読んでやる。……キリファ・カセデ、本名キファ・リーセ。1972年、リーセ侯爵家の三男として生まれる。リーセ侯爵家ってのは優秀な魔術師を数多く輩出していた(、、、、、、)貴族だ。1986年、『教会』から魔法使いとして認められる。そして、その翌年の1987年、“リーセの悲劇”の折に失踪。その後10年間足取りは掴めず、1997年、“アメドラスの悲劇”の主犯格である、“アリア・サルトー”の傍らに居るのを大勢の魔術師に目撃される。これにより、『教会』は魔法使いの資格を剥奪。さらに国際魔術指名手配犯の最上級ランク――レッドランクに指定した。以後、大々的な活動は行っておらず、また、“アメドラスの悲劇”の折に『敗者の痛み』(ロストペイン)のリーダーである“アリア・サルトー”の傍らに居たことから、『敗者の痛み』(ロストペイン)の幹部であると思われる」
 紫音は一息つくと、説明を再開する。
「――バトルスタイルは、召喚魔法主体の遠距離タイプ。すべての属性と、ありとあらゆる召喚魔法を操る姿から『極彩色』(パーフェクトカラー)の二つ名がついた。ただし、それらの情報は魔法使いだった頃の情報のため、現在の実力は未知数である」
 説明を終えた紫音があ、そうそうと付け加える。
「――賞金は10億円らしいぞ」
 その言葉に、沙耶が食いついた。
「じゅ、10億!? 捕まえたらそんなに……」
 うふふ、とか、あははとか気味の悪い声を漏らす沙耶。彼女の脳内では妄想劇(取らぬ狸の皮算用)が繰り広げられているようだ。幸がかなり引いているのにも気付かないほど。
 幸の脳内でのさっきまでのキャラがボロボロと崩れ去る。
「おーい、沙耶? そろそろ戻ってこーい」
 見かねた紫音が声を掛けるも、トリップしたままなかなか戻ってこない。
 結局、戻ってきたのは10分後だった。
 その時の幸の目がつらかった、と本人は後で漏らしたという。



 
 いかがでしたでしょうか。
 半分、説明回なのはご容赦ください。
 次回の更新はいつになるか分かりません。
 学校が始まるので。
 できるだけ早く更新しようとは思いますが、下手したら2週間ぐらいは更新できないかも……。
 ってこんなこと言ったら、本当に起きそうで怖いですね。
 止めとこう。
 誤字、脱字、矛盾、感想、批判、ご指摘待ってます!
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