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トリックオアトリート(200文字小説)

作者: 高千穂 絵麻

「犯してくれないとイタズラしちゃうぞ」

「ええいやめい。人聞きの悪い。それを言うならお菓子をくれないと、だろ」


 第一声がこれだよ。


「私にならイタズラしてもいいんだよ?」


 彼女の声が耳元に甘く。


 顔が近い。


 吐息が顔をなでるくらいに。


 俺は手を伸ばして彼女の身体を抱き寄せ……られなかった。



 アイマスク型のバーチャルリアリティスクリーンには、3Dモデリングされた俺の彼女が映し出されていた。


 今時のゲームは、すげえな。

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