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Chapter:4 再会
Episode:29
「けどお前、ヤなんだろ? ガッコ行きたいんだろ?
 じゃぁ、そう親に言えよ」
「……だめ……」

 呆れる。
 ンなとこ頑固じゃなくたって、構わねぇだろうに。
 けど何度言っても、こいつは首を縦に振ろうとはしなかった。泣きながら、「だめ」の一点張りだ。

「お前、頭冷やせよ!
 今度はどうにかなったって、次はねぇかもしれねぇだろ!」
「だって、だって……」
 泣きじゃくる。
「やめて……言わないで……」
 泣きながらこう言われると、俺も弱い。

「その、だからさ、ともかく親に言ってみろよ。ちゃんと『イヤ』だって」
「………」
 そこへ、呼び鈴の音が響いた。
「お、お客さん……?」
「お客ってなぁ」

 医者に来るのはお客じゃなくて、患者だ。
――もっともそれじゃ、困んだけど。
 診てもらいに来る人に「帰れ」っつーのは、ちょい楽しくない。
 もっかい呼び鈴が鳴った。

「どなたかいらっしゃいませんー?」
「すいません、いま開けるんで」
 慌てて走ってって、ドアを開ける。
「すいません、今ここ医者が……あれ、もしかしてルーフェイアの?」

 ドアの外に立ってたのは、大人が二人。男と女だ。んで女の人のほうが、髪とか瞳の色とか顔立ちなんかが、ルーフェイアと似てる。
 これはどう考えたって、こいつの親父さんとおふくろさんだろう。

「じゃぁ、あなたが連絡くれたのね? ルーフェイアは今どこかしら?」
 おふくろさん(たぶん)が、俺にいきなり訊いてくる。
 それをルーフェイアの声がさえぎった。

「かあさん! いきなり質問攻めにしたら、だめよ」
「――なんか、元気そうね」
「うん」
 いつの間にやら涙も拭いちまって、あの落ち込んだ様子なんざ微塵も感じさせない。

――バカかよ。

 あれだけ嫌がってたってのに、親の前じゃ知らん顔してる。
 まぁもしかしたら、親子ってのはこゆもんなのかもしれねぇけど。
 ただなんせ俺、さっさと親父もおふくろもいなくなっちまったから、そのあたりはよく知らなかった。
 ンなこと考えてる間にも、ちゃっちゃと話は進んでる。

「いまね、朝ご飯……食べさせてもらってたの。
 その、太刀取ってくる」
 ルーフェイアのヤツが、ひょいと奥へ引っ込む。
 俺も思わず後を追った。

「おい、ホントに行くのか?」
「――うん。
 迎えに来てくれたのに、待たせてられないから」

 またか、そう思う。
 どう見たってこいつの本心は、そんなとこには、ない。

「いいかげんにしろよ! お前、ホントはンなこと思ってねぇだろ!」
「でも!」
 珍しく、ルーフェイアの口調が強くなった。

「でも、これはあたしの、あたしの……!」
「だから、頭おかしいってんだよっ!
 だいたい、お前が学校――」
「だめっ! それ言わな――」
「あんたたちやめなさいっ!」

 もひとつかぶった迫力の声に、思わず二人で黙る。


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