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Episode:21
◇Rufeir
 国境を超えてすぐ、予定の駅であたしは降りた。
 改札口を抜けて、あたりを見回す。
 そして、見つけた。

「――兄さん!」
 急いで走り寄る。

「お帰り、ルーフェイア」
 兄さんはあたしと同じ髪で、瞳だけがちょっと薄い。それと、本当は従兄だ。
 でも、そんなこととは関係なしに大好きだった。何でも知ってて、すごく頼りになって……。

「太刀はどうだった?」
「えっと、これ……」
 急いで差し出す。

「すごくよく……出来てるの……」
「さて、本当かな」
「え……」
 信じてもらえない。

「でも、試し切りさせてもらって……ちゃんと石、切れたから……」
「刃こぼれするぞ?」
「ご、ごめんなさい!」
 言われてみれば、あたりまえだ。せっかく研ぎに出したのに……。

「ごめんなさい、ごめんなさいっ!」
 謝っても済まないけど、でもそれしか出来なくて、何度も謝る。
 そんなあたしの頭を、不意に兄さんが撫でた。

「分かってるよ。お前の腕は、一流だからな」
「……♪」
 褒めてもらった。

「さ、行くぞ」
「うん」
 歩き出した兄さんの後ろを、ついていく。

 あたしの面倒を見てくれるのは、いつも兄さんだった。父さんと母さんも一緒にはいるけど、任務に出てたりどっかへ行ってしまったりで、顔を合わせることがちょっと少ない。
――なにより、変わってるし。
 娘のあたしからみても、両親――特に母さん――は常識外れだった。適当な言葉が見つからないけど、あれは絶対に「普通」っては言わないだろう。

 兄さんが車を置いた場所は、少し距離があるみたいだった。駅前の広場を過ぎても、まだ着く気配がない。

「どこまで……行くの?」
「どこだろうな」
 不安になるようなことを言われる。

「車、だよね……?」
「そんなこと言ってないぞ」
「え……」

 まさかキャンプまで歩くことは、ないはずだけど……。
 けど兄さんはそれ以上何にも言ってくれなくて、あたしは困惑したまま、あとをついて行くだけだった。

「ねぇ、兄さん、ほんとにどこまで……」
「日程が決まったぞ」
 はっとする。

「いつ、なの?」
「五日後だ」
 それで十分だった。
 これでもう――遊びの時間は終わりだ。

「戻ったら、もう少し細かいことを詰めるからな」
「うん」
 日暮れて闇に包まれ始めてるあたりが、また暗くなった気がした。


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