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Chapter:2 素顔
Episode:15
「姉貴!」
「イマド、あなた無事で――ネミっ!!」
 後はもう、言うことナシのご対面だ。

「ネミ、良かった……。イマド、ほんとにありがとう」
「いいけどさ、姉貴、今度っからネミひとりで置いてくなよ?」
「ええ、もう、絶対」

 まぁ、怖くて二度と出来ねぇだろうけど。
 それから姉貴が、思い出した顔になる。

「イマド、あの子は? 無事なの?」
「あの子?
――あ、あいつか」

 きっちりルーフェイアのこと、覚えてたらしい。
 かといって、細かいこと訊かれちゃ困るし……。

「無事だけど、なんか目立ちたくないって言ってさ。
 だから、こっそり逃げて隠れてる」
「あらまぁ。困ったわ……」
 お礼するつもりだったんだろう、姉貴が考え込んだ。

「どこへ行ったか、分かるの?」
「分かるけど、来ないと思うぜ。そゆの、キライらしいし」
「あら……」
 どうにか落ち着いてきたみたいで、姉貴お得意の妙なのんびりペースが復活のきざしだ。

――これ、苦手なんだよな。

 この姉貴のスローペースに巻き込まれると、なんか抜けらんなくなる。ついでに言うと叔父さんちの姉貴三人は妙に個性的で、いつも振り回されるのがオチだった。
 つか姉貴、マイペースはいいけど、家が焼けてるの忘れてねぇか……?

「――そ、それより姉貴、ネミ病院連れてけよ。見た目だいじょぶそうだけど、ほら、一応さ。
 それに出てくっとき、こいつ濡らした毛布で包んじまったから、このままだと風邪ひくかもしんねぇだろ?」
 なんとか別の方向へ話題を持ってく。
 状況が状況だから、姉貴もすぐ乗った。
「そうね、そうよね、そうするわ」
「それがいいって。
 ほら、ちょうど救急車来てるし」

 姉貴とネミをそっちへ押しやって、救急隊にワケを話す。もちろん即刻乗せてくれて、まっすぐ病院行きだ。
「イマド、あの子によろしくね?」
「はいはい」
 ネミが元気だから、姉貴も救急隊もなんかのんびりだ。
「きゅうきゅうしゃー」
 当人、すげーはしゃいでるし。
 消防も到着して、その辺りが池になりそうな勢いで放水してるから、もうだいじょぶだろう。
 ともかく二人を見送って、やっと俺の身体が空いた。

――早くしねぇと。

 途中で迷子ってこたねぇだろうけど、ルーフェイアのやつをひとりで待たせとくのは、なんか怖い気がする。
 で、そっちへ駆け出そうとしたとき。

「イマド!」
 呼ばれて振り向くと、今度は叔父さんと姉貴のダンナだった。
「アーネストとネミはどうしたっ?!」
 仮住まいとはいえ家焼けてるうえに、姉貴とチビの姿が見えないもんだから、半分パニクってる。

「無事だよ」
「どこにいるっ!」
「どっかの病院」
「どっかって、どこだっ!!」
「いや、俺もそれは……」
 ンなの、救急隊しか知らねぇだろうし。

「すぐ探しに行くぞ! ほら、来い!」
「ちょ、ちょいタンマタンマ」
 強引に腕掴まれかけて、慌てて逃げる。
「こらっ、どこへ行く!」
「用事あるんだって! あぁもう、細かいことは姉貴に訊いてくれよな!」
 これ以上とっ捕まらないうちにと、俺は慌てて駆け出した。

お姉さん、マイペースすぎ。

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