さわやかday〜穏やかな時間〜
ボーイズラブです。苦手な方はご注意ください。
「わぁーーーー!大翔すごいすごいっ。なんか緑って感じがするよっ!!」
僕──響と恋人の大翔が来ているのは、緑の沢山ある公園。人が誰もいない。二人は公園にあるベンチに一緒に座っていた。
「遠くへきてよかったよな」
「うんっ」
夏休みにはいった。
せっかくだから、遠くへ遊びに行こうということで静かな公園に来た。
町中に住んでいるから、こういう静かで緑のある公園はなかなかなく、二人きりで静かにデートというものをあまりしたことがなかったのだ。
「何か空気が澄んでる」
僕は大きく深呼吸をした。
綺麗な空気が僕の中に入ってくる。
まるで二人だけの世界みたいだ。───なーんて言ったら大翔は怒るだろうか?
「響。あのなぁ……」
「……うん?」
「そのまたここに来ような」
僕の右手に大翔の左手が重ねる。
「うん……」
下を向いていたので大翔の表情が分からない。多分僕と同じで顔が赤くなっているのだろう。
この前、大喧嘩をした時から、大翔は言葉にしてくれるようになった。言葉にすると、それよりもうれしい言葉が返ってくる。
幸せすぎて、くすぐったい。
「風が気持ちいいね」
「あぁ……」
最近、分かったことがある。
大翔はそれなりに僕に答えてくれているのだと。
僕が大翔に聞いても、「あぁ」とか「そうなんだ」としか答えなくて焦れ喧嘩をしたけど、大翔はいつでも無視しなかった。
一生懸命、僕の話に耳を傾けてくれていたんだって思えるから……僕はただ大翔と一緒にいられればいいんだ。
「大翔は、こうゆうところ好き?」
「えぇ?」
「大翔は、静かな場所好きだから、こういう緑が沢山なところ好きかなぁって聞いてみただけ」
「そうだな」
「でも」っと大翔は続ける。
「やっぱり響と一緒にいられる場所ならどこでもいいけどな」
───同じこと考えてたの?
僕は目を瞠る。大翔は罰悪そうに視線を逸らす。
「大翔もおんなじこと考えてたんだね」
そっと大翔の肩に凭れかかる。
「………」
「はぁ……」
緊張していたのか、溜息をついたら体の力が抜けた。
「響?」
「うん?」
大翔は僕の名前を呼ぶと、僕を優しく微笑んだ。
澄んだ空気。
木々たちが揺れる音。
───優しい風は、僕たちを包み込むように暖かだった。
こんにちは。彩瀬姫です。
忙しくて短いお話になってしまったのですが、どうだったでしょうか?
来月はもっと忙しくなるので、もしかしたら14日にアップできないということもあるかもしれません。
できるだけ早くアップできるようにしたいと思います。