第三の国 「嫌いな人」
吾吏須達がなんとか教室に着いた時には、時計は既に7時59分だった。あまり運動が苦手で持久力が無い吾吏須にとっては、このタイムはかなり奇跡的なものだった。
しかし、啓太はほとんど息が上がっておらず、学校に着いた時は爽やかな笑顔で後ろから必死に走ってくる吾吏須を見ていた。
啓太は陸上部に入っている為、部活では毎回5キロは走っているので、吾吏須の家から学校までの距離など簡単なものだった。
「啓太…おま…えハァ……絶対……に!おか…しい!……ハァ…ハァ…」
教室についた時、すでに吾吏須は瀕死の状態だった。呼吸を整えながら汗一つかいていない啓太を見ながら疑問をぶつけていた。
「俺は何時も走ってるから」
「だけど、いくら秋といっても汗一つかかないのはおかしいだろ……あー疲れた」
「吾吏須って、本当に持久力無いよな……まぁ、昔から勉強熱心だからね」
「あたりまえだ、外で運動して無駄な汗かくよりは教室でパブロフの犬の条件反射の本を読んでいる方が時間を有効的に使ってる」
意味の分からない言葉を出された啓太は、お手上げかというように両手を挙げた。
「吾吏須、俺そういうパタロハだかパイフトみたいなのは分からないって」
「パブロフだよ、パ・ブ・ロ・フ! 最初のパしか合ってないだろが! いいか、これはかなり勉強になるんだぞ……ッ! って聞いてないだろ」
「だから、俺は本当にそういうのは……おい、吾吏須! 先生が来た!」
教室の外から足音が聞えた。その音が聞えると今まで別の席で友達と話していた生徒が全員自分の席へと戻った。何故かというと、この2年5組の先生である松山三月は鬼教師として桜花学園では有名だからだ。
松山の担任するクラスに入った生徒は皆、松山の恐ろしさを象徴して『鬼』と呼ぶ。何故なら松山が教室に入れば、猿のように騒がしかった生徒が一瞬で静まり。その氷点下零度の眼で睨まれれば、心臓の弱い生徒は失神してしまうほどに恐ろしい先生なのだから。
厳しく表情の読めない眼鏡の奥の瞳に、冷淡とした表情。それだけならば愛想の無い先生だけで済むことだが、鬼と恐れられる理由は勉強に対する容赦ない姿勢。もしも、松山の授業中に話でもしようものならば鋭い指摘と嫌味、そしてさらに課題というトリプル攻撃がくる。その冷淡な声は『恐怖』というものを感じさせ反論しようものならば罰としてさらに課題を山ほど課せられる。
しかも、少し余所見をしただけで松山はその生徒の机にチョークを投げつけてくる。しかもチョークは見事に粉々になるというから驚きだ。
たしかに厳しい熱血教師なのかもしれない、ただ元の性格のせいかそれは情熱を通り越して『恐怖』を感じさせるのだから困ったものだ。
コツコツという革靴の音が廊下に響き渡る、その足音はまるで死が近付いてくるような気がした。生徒達全員が顔に『恐怖』の表情を浮かべている。
しかし、どうやらそれは松山の足音ではなかったらしく2年5組の教室を素通りして隣の6組の教室の扉が開く音がした。
「よかった、先生じゃなかった……」
啓太だけではなく、他の生徒も安堵の言葉を漏らす。
「分かったか啓太、これが条件反射だ。足音が聞えただけで、たとえそれが松山のもので無くても生徒は全員席につく。パブロフは犬を使って実験した――」
「夢原吾吏須」
吾吏須がこれから、パブロフの実験方法を話そうとした時、低い声が聞こえた。それは吾吏須もよく知る松山のものだった。
教室の扉の方を見ればそこには似合わないオールバックと眼鏡の下にある氷点下零度の冷たい瞳があった。松山は黒板の上にある時計を指差しながら低い声で言った。
「すでに時計は八時を回っている。ならば席につき黙って担任が来るのを待つというのが常識というものだろう? それとも、一番時計の見える位置に居ながら時計の文字盤も読めないのならば今後の私の授業に差支えが無いように今すぐ眼鏡を買ってこい」
「すみませんでした、先生」
何故足音とドアを開ける音が聞えなかったのか、たしかにそれも気になっていたが松山の嫌味への怒りの方が今の吾吏須の感情の中では大きかった。
吾吏須の席は、最悪なことに松山の席の目の前なので、黒板の上にある時計はたしかに見やすい。
「さて、私が来ても喋り続けていたのは何回目だろうな? 私の記憶している中では、これで4回目だ」
「はい、そうです」
「物覚えが悪いのにも限度があるな低知能な生物でも4回注意されれば学ぶ、君はどうやらそれでもできないらしい。君のような子供は罰を与えなければ復習しないようだ。今度注意された場合は罰則を与える」
「……ッ!」
「返事は? どうした、言語力すら失ったのか?」
「はい、分かりました先生……ッ!」
この松山という教師は、何故か吾吏須に対してだけ厳しい。他の生徒にも厳しいのだが、吾吏須に対してだけは一段と嫌味を言ってくる。
吾吏須以外の生徒が喋ったからといって、さすがに100回もすれば罰則を与えられるだろうが、何故か吾吏須はたった5回で罰則を与えられる。隣の席に居る啓太だって最近17回目の注意を受けたが未だに罰則を与えられたことは無い。
「それでは出席をとる。赤坂!」
嫌味も終わったらしく、ようやく解放されたと思った吾吏須はふと窓の外を見た。外は晴天でとても清々しい、吾吏須の席は窓側なので日光を浴びるにはちょうどいい場所だった。
――まったく、あの陰険根暗教師がッ!
心の中で松山への愚痴を呟き何時か絶対復讐してやろうと思った時、視界に入った人物に吾吏須は口を開けたまま5秒間固まった。できれば嘘であると願いたかったが、どうやら嘘ではないらしい。
中庭に、何故かあの夢屋の主人が立っていた。しかも最初に会った時と同じようなファンタジーな格好だ。
「夢屋ッ!」
机から立ち上がりつい叫んでしまった。しまったと思った時はすでに遅かった。吾吏須の方を出席を取っていた松山が鋭い目で睨んでいる。
「そうか夢原、どうやらお前は私のHRを邪魔したいらしいな」
「ち、違います! あの、中庭に不信人物が……ッ!」
松山が窓の外を見ると主人は手を振っていた。それはあきらかに吾吏須に向けられているものだった。
「夢原、お前の知り合いか?」
「全身全霊で否定させていただきます」
すると、こちらの状況をまったく知らない主人はお気楽そうな声で二階にある吾吏須の教室に届くほど大きな声で叫んだ。
『あーりーすー! どうしたんですか? そんな恐い目をして、私と貴方の仲じゃないですか!』
嗚呼、なんであの変人はこうも俺に不利なことをするんだろう。そして何故俺の名前を知っているんだよ、と思いながらものすごい表情で吾吏須は拳を握り締めながら主人を見た。他の生徒も窓の外を見て、あの変人と吾吏須はいったいどういう関係なんだろうと考えているのか話し声が聞える。
「お前の名前を呼んでいるようだが?」
「別人ではないでしょうか?」
「このクラスに『吾吏須』という名前の人間はお前しか居ない。ちなみに私は全ての生徒の名前を覚えているが『アリス』という名前の人間はお前しか居ないな」
「あー思い出した! 従姉妹の親戚の兄嫁の友人の友人の簡単に言えば他人の大石君だね! すみません先生、ちょっと話をしてきたいので失礼いたします!」
このままでは、事態が収まらないと判断した吾吏須はすさまじいスピードで中庭へと向った。松山が何か言った気がするがこのさい気にしないことにした。
ドタドタと凄い音で中庭へと向った吾吏須は、すぐさま主人の腕を掴み目立たない場所へと連衡した。
「吾吏須、ようやく会えました! あれ、何処に向うんですか?」
「ちょっと黙っててくんないかな大石君! 今俺すごい話したいことがあるんだ!」
「私の名前は大石ではありませんよ吾吏須? まだ私は貴方に自己紹介していませんでした」
「それは俺だって同じだよ、てか何でお前は俺の名前知ってんだよ! とにかくこっちにきやがれ!」
普段ではありえないような力で主人の腕を引っ張り、そのままできるだけ目立たない場所を探そうと学校の中に入っていった。
仕方ないので階段下で話そうと足を進めた。
「おい! 夢屋、お前冗談はその服だけにしろってんだよ! 最初は外見に似合わずお前もちゃんとした思考があるんだなーと思ったけど前言撤回だッ!」
「酷いですね、そんなこと思っていたんですか?」
「今この場でアンケート採ったら90%の人間が『思う』って答えるよ! それよりなんの用だ!」
今まで思っていたことを全て破棄捨てた吾吏須は、ギロッと主人を睨んだ。その目に主人は爽やかスマイルで。
「そんな情熱的な視線で見つめられると照れますね」
後ろに薔薇とスマイル0円という文字でも出そうな主人に、吾吏須の怒りは頂点に差し掛かっていた。さすがにこの年齢で犯罪者になりたくないので必死に理性が右手の拳を主人の頬を殴らないように止めていた。
「おやおや……つれないですねー吾吏須は。さて、今一番聞きたいことがあるのは吾吏須なのではないですか?」
「え……ッ」
その言葉に吾吏須は正気に戻った。少しゴタゴタしていたせいで啓太のことや事故のことを忘れていた。
「あんた、やっぱり啓太が居るのはあの薬のせいなのか? なんで啓太が居るんだ!」
「やはり気になっていましたか」
昏睡状態で病院に居るはずの人間が、今朝自分の家の前で自分を待っていたら誰だってそう思うだろう。そう思わない方がおかしい。
すると、帽子屋はこれまたお気楽そうな声で言った。
「それではお答えしましょう、此処は貴方の夢の中です」
さて、いったいどれだけの人間が今目の前に居る謎の人物の言うことを信じられるだろうか。そもそも、夢の中まで松山に嫌味を言われるなど本当に不運だと吾吏須は自分を呪いたくなった。
「夢……?」
「はい、夢です。とはいうものの、とても現実味のある夢なのですが。さて……ではあの薬の説明をさせていただきます」
先ほどのお気楽そうな声とは裏腹に、とても重要な話をするかのような低い声になった。
「この薬の期限は一週間、来週の日曜日の午後7時までです。その期限の間までに白兎啓太と『理想の関係』になってください」
「理想の関係……って、何だよ」
「それは貴方がよく知っているとおり、恋人同士という関係です」
「こ、恋人?!」
「その間に恋人同士になれなければ、貴方は夢から目覚めて前のような白兎啓太の居ない世界に戻ってしまいます。ですが恋人同士になれた場合は……」
一瞬間を置いた主人に少し苛々しながらも、吾吏須は主人を見ていた。
「それは、その時のお楽しみです」
「はぁ?!」
「やはり、楽しみは最後まで取っておかないといけませんからね。知りたい場合は早く白兎啓太と恋人同士になってください」
まるで宝探しをさせて、その宝物を早く見つけてもらいたい子供のようなとても無邪気な笑み。しかし、それは吾吏須にとっては苛々する原因にしかならなかった。
「ですが、恋人同士になった暁には……それは必ず『幸せ』になります。しかし、失敗すればまた白兎啓太の居ない世界に戻ります」
「だから……悪夢になるか、幸せな夢になるかは俺しだいってことか」
「そうです、それではこれからの一週間……頑張ってくださいね」
すると、主人は帰ろうと玄関の方に続く廊下を歩こうとした。
「待てッ! あんた、本当に何なんだ? 薬だって、普通じゃ考えられない効果だし……ッ!」
普通の一般的思考の持ち主ならば誰もが問う質問、それは吾吏須も同じだった。だが主人は笑顔のまま意味不明なことを言い始めた。
「それは、私が夢の住人だからです。夢の住人は人間に夢を与えます、それが夢の住人の仕事なのです。あと、私のことは帽子屋とでも呼んでください」
「はぁ? 夢の住人って何だよ! あんたは毎回分けの分からないことばかり言いやがって!」
「ですから『あんた』ではなく、私のことは『帽子屋』と呼んでください。私は貴方の夢の中ではこの近くにある帽子屋を営んでおりますので」
どうやら、それだけは譲らないようだ、もうすでに本名を聞く気すらならない。吾吏須は重い溜息を零した。
「別に私の正体が何であれ、貴方には関係ないでしょう? 貴方はただ白兎啓太と理想の関係になればいいのです」
たしかにそれでいいのかもしれないが、さすがにそれだけで済ませてしまうのは何か間違っている。何故だかは分からないが、きっと普通の人間ならばこれだけの説明では納得いかないだろう。
しかし、これ以上話しても帽子屋はまた意味不明な返事をするだけだと思い。吾吏須はそれ以上質問をするのを止めた。
「そうだ、夢原吾吏須……一つ言っておきましょう。貴方はあまり他人に強気な態度や表情を出してはなりません。世の中には貴方のような強気で傲慢そうな子供を無理矢理自分の物にして泣かせてみたいと思う人間が大勢居るのですから」
「はぁ?」
吾吏須がこんな声を出してしまうのは仕方ないだろう。いきなり強気な子を泣かせてみたいなど意味の分からないことを言われても、分からないうえに混乱するに決まっている。
「忠告です。強気な子ほどマゾヒスティックに教育したくなるのがサディスティックの性というものなのですから。では……失礼いたします」
すると、帽子を採り、お辞儀をし顔を上げた瞬間――帽子屋は突然姿を消してしまった。
いったい目の前で何が起こったのか、それを頭の中で解釈した時はすでに帽子屋の姿は無かった。けっきょくあの人間は何だったのか、むしろ目の前から消えてしまったのだから人間かどうか怪しい。
しかし一つだけ分かったことがあった、それはまだ啓太に想いを伝えることができるということ。
――啓太と理想の関係になれれば、まだ俺にも希望が残ってたんだ。
このことに関しては、たしかに帽子屋にお礼を言ってもいいかなと思いながら。意味不明な『夢の住人』やら最後に言った言葉のせいで、この感謝の気持ちが少し薄れている気がした。
とりあえず、今の自分はマゾヒスティックでもなければ、そんな風に調理される気もさらさら無かった。
「夢原吾吏須」
後ろから、吾吏須が一番嫌いな人間の声が聞こえた。つい5分ほど前にも聞いた低く冷たい声の主はきっと吾吏須のことを鋭い目で睨んでいる。
「せ、先生……」
「私は君に待てと言った、しかし君は私の言葉など聞かず不信人物の場所へと向った。さてこれで5回目だな夢原吾吏須……君には学習能力が無いらしい。あまりにも呆れてしまう君の行為、私の受け持つ生徒だと思うとこれほどまでに恥じなことは無い。処罰として放課後教室に残るように」
ネチネチとした松山の攻撃に吾吏須は一瞬この人物を殴って別の場所へと逃亡を図れないものかと考えた。しかし此処は素直に謝りさっさと終わらせるのが利口だと思い渋々松山に謝罪の言葉を述べようと口を開いた。
「すみませんでした、松山先生」
その言葉にできるだけ皮肉と憎しみを込めて言うと、少し吾吏須は晴々とした気分になる。そもそも顔がいいのだから、もう少し愛想がよく優しかったらさぞモテるだろうに。
しかし、そうしなくても女子生徒からは『鬼の松山』は人気だった。女子曰く、あの冷淡な瞳にクールな性格、そして大人で知性的な表情、彼の担当するクラスに私も入りたい! らしい。
だが吾吏須にはいったい何処が良いのかさっぱり分からない、ただ少し顔がいいだけの陰険根暗教師ではないか。
「それでは、すぐさま教室に戻りなさい。その前に、あの不信人物とは知り合いなのか?」
「俺のプライバシーに関わることを何故貴方に話さなければならないんですか? 教師だからですか、ですが俺には拒否権がありますよね。だったら俺は話しません」
一瞬、吾吏須は勝ったと思った、しかし松山は自惚れるなというかのように嘲笑った。
「私は君のプライバシーについて知りたいとは思わない。むしろ聞きたくも無い。ただ、あの人物を特定する為だ。教室を出た時は大石と言ったな」
本当、松山は人を怒らせるのに長けているなと吾吏須は実感する。このまま素直に帽子屋との会話を話しても頭がおかしいと思われるだけので吾吏須は最低限のことだけを話すことにした。
「いや、大石ではありません。人違いでした……本名は分かりませんが自分のことを『帽子屋』と名乗っていました」
「帽子屋……ずいぶんと個性的な名前だな。まぁ本名ではないだろうが、とりあえず君は教室に戻りなさい」
階段の方向を指差しながら松山は言った、それに素直に従い無言で階段を上り教室までの道のりをゆっくりと歩き始める。
あの帽子屋と名乗った人間は、もしかしたらこの夢は『悪夢』になるかもしれないと言ってきた。
つまり、啓太の居る幸せな夢から辛い現実に戻される。それはたしかに『悪夢』なのかもしれない。
幸せな夢の中にずっと居たい、だけど夢には必ず終わりが来る。辛い現実に引き戻されれば幸せを味わった人間はその辛さが倍増するだろう。だから幸せなことを思い出させる『幸せな夢』は時として『悪夢』となりうるのだろう。
「だから『幸福と悪夢の薬』か……」
たしかにそれ以外に現し方が無いかもしれないと、吾吏須は苦い笑みを零しながらながら思った。
教室の扉の前に着いた時、ちょうど一時間目の開始を告げるチャイムが学校中に響き渡った。扉を開けると教室に居た生徒全員が次の科目である国語の授業で必要な道具を出している最中だった。
松山は教室に入ってきた時、準備をしていない、もしくはしている最中の場合その生徒にネチネチと嫌味を言い始める。全員それを恐れてか松山の担当する国語は叱られないように万全の体制にしてある。
吾吏須もこれ以上嫌味を言われるのはさすがに嫌なので、引き出しの中に入っている教科書を出し始める。
「吾吏須、大丈夫だったか?」
そう、吾吏須のことを気にかけてくれたのは啓太だった。
「あーまぁ、いちおな」
どうやら、あの謎の人物のことはこのクラス全員が気になるらしく視線が全て吾吏須に集まった。たしかにあのファンタジーを絵に描いたような人間と話しをしていたのだから気になるだろう。
だが、さすがに此処で本当のことを言うのも頭がおかしいと思われるだろうから、松山に言った嘘と同じことを言うことにした。
「人違いだよ、従姉妹の親戚の兄嫁の……なんだっけ、とにかく俺の知っている大石とはまったく関係ない人だった」
「お前の知っている大石って人もあんな格好してるのか?」
此処はいったいなんて誤魔化そう、いい案は無いものかと思考を廻らせていると扉が開いた。
「教科書の37ページを開きなさい」
入ってきてから一番初めに発した言葉がこの一言とは、この人はもう少し余裕のようなものを持った方がいいと、吾吏須は等の松山を睨みながら思った。
これから二時間目までこの陰険根暗オールバック教師の授業になるのかと考えるだけで吾吏須は少し欝になりそうだった。
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