足跡のない旅人(3/58)PDFで表示縦書き表示RDF


足跡のない旅人
作:緋水 カノン



No,3  再会


「え・・・・・・?」
 シェリーは訝しげな顔をする。
「私のこと・・・憶えて、ないの・・・?」
「・・・なぜ、憶えているんですか? まずはそれからです」
 ロバートの不審な質問に、シェリーは少し迷って答える。
「昨日の夜、私は山に入ったら道に迷って、ここ、あなたの家に来たの。そしたらあなたは、その時丁寧に教えてくれた。その後私はそのまま行ったけど、後から孤児の子達があなたのもとに行った。そしたら・・・・・・。・・・これが、昨日あなたと会ったときのことよ」
 ロバートは表情を変えずに話しを聞いていた。
「・・・わかりました。確かに当たってますね。もう一度質問します。なぜ、憶えているんですか? その理由が、自分でわかりますか?」
「憶えている理由・・・? あなたは私の恩人だし、何より昨日のことだよ?忘れるわけないよ」
 ロバートは、シェリーに向けていた銃をおろす。
「そう、ですか・・・・・・。では、二つ目の質問です。なぜまたここに来たんです?」
 シェリーは、少しの間、黙り込む。
「・・・あなたに嘘は通じなさそうだし、正直に言うよ」
 銃口は降ろされたが、未だに警戒心を剥き出しにしているロバートのその目をジッと見据える。
「この間の孤児の子達・・・・・・、帰る途中にはもう、あなたの事を忘れていたの・・・・・・。今日は、その理由を聞きに来たの」
「・・・・・・」
 ロバートはしばらくシェリーを見ていたが、やがてフッと笑う。
「ずいぶんとストレートに聞いてきますね」
「答えてくれるの? ・・・嫌なら諦めるけど・・・・・・」
「ん――・・・そうですねぇ・・・・・・」
 ロバートは少し考える。
「明日・・・明日まで俺の事を憶えていたら、教えてあげますよ」
「え? なんで今は?」
「嫌な言い方だったら謝ります。今はあなたのことが信用できないからです」
「・・・明日、ですか?ホントに?」
「? ・・・何か不満でも?」
「えぇ〜っと・・・寝袋貸シテ下サイ」
 シェリーは、なぜかそこだけ棒読みで喋る。
「・・・はぁ?」
「今お金ないからホテルに泊まれなくて・・・・・・。庭の隅でいいから、居ていい? 家に泊まらせてなんて言わないから〜! お願い!」
 ロバートは慌てた様子で答えようとするが、シェリーがそれを遮る。
「いや、外だと風邪ひくから・・・」
「ねー、お願い! ・・・ダメ?」
 なんとなく、シェリーの上目遣いから思わず顔を背ける。
 やっている本人は、まったく自覚はない。
「い、良いけど・・・外だと風邪ひくから、中にしてください」
「ぃえーい!! やったぁー!! アリガトー! ロバート!」
 嬉しさのあまりシェリーがロバートに抱きつこうとするが、ひらりとそれを避けられてしまう。
『ゴンッ』
「いった・・・! ていうかひどぉ〜い!」
「さっき言ったでしょう、信用してないって」
「うわーん!!」
 いつの間にか、シェリーの喋り方に敬語が減ってきているが、これも本人まったく自覚がない。
 そんなこんなで、その日シェリーはロバートの家で一泊したのだった。












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう