足跡のない旅人(15/58)PDFで表示縦書き表示RDF


足跡のない旅人
作:緋水 カノン



No,15  戦いの前奏


「あ〜・・・なるほど、だから弾がもったいないわけね」
 ロバートは1人呟きながら、左手のアサルトライフルを抱えなおす。
 そして大きく息を吸うと、装備兵にも聞こえるように、大声で言う。
「みーなさーん! いつまでも茂みに隠れてると、結構危ないよ〜!?」
が、誰1人、いや、グレイ以外は姿を見せない。銃声もやまない。
 ロバートはふぅっとため息を吐き、
『ジャキッ』
アサルトライフルを敵に向け、
『ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ』
撃ちまくる。
『ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ』
少し楽しそうに撃ちまくる。
『ガガガガガガガガガガガガガガガッカララララララッ・・・』
・・・が、途中で弾切れになったようだ。
「・・・ん? あぁ、弾切れか・・・・・・」
 ロバートはいつもの無表情に戻り、空になったマガジンを入れ替える。
 茂みからはロバートの危なさ・・・ もとい、ロバートの強さを知った装備兵達が、小さくうめき声をあげながらヨロヨロと出てくる。
 全員、手や足、あるいは腹に、ロバートの撃った弾が命中している。
 ロバートはニッと笑い、1発も弾が当たっていないグレイを見る。
「グレイも相変わらず、ナイフ、使ってたんだ」
 グレイのその両手には、刃渡り30cm程のサバイバルナイフが握られている。
 おそらくそのサバイバルナイフで、アサルトライフルの弾を斬り落としたのだろう。
「当然でしょう、私はナイフしか使えないんです。それはあなたも知っているでしょう?」
「ん。知ってる。・・・で、グレイ以外みんな戦えなさそうだけど、まだ続ける?」
 グレイは少し考える。
「私の任務は脱走した被験体達の捕獲です。それができないような状況に陥れば、その任務は一時中断となります」
 ロバートは顔をしかめて言う。
「だーかーらー! グレイはその任務を一時中断して帰んの? それともー・・・・・・、グレイは戦えるって事?」
 グレイはフッと笑い、サバイバルナイフを構える。
「私は戦えますので」
 ロバートもニッと笑い、左手で抱えていたアサルトライフルをその辺に放り投げ、右手のマグナムを構える。
「・・・やっぱりな」
 ロバートは、自分の姿がグレイに見えるように、割れた窓から現れる。
 グレイは細く長く息を吸い、ピタリととめる。
 そしてサバイバルナイフを逆手に持ち、
『ダッ』
一気にロバートの下へ走りくる。
「おー、前より速くなったねー」
 ロバートは気の抜けた声で話しながらも、マグナムの銃口を正確にグレイに向ける。












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう