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うちの犬は数年前から肝臓を悪くしていて、薬と共にずっと闘病生活を続けていました。天国にいるタローに宛てた手紙です。
天国にいるタローへ
作:JUN


朝、起きたらさ。なんとなく犬の夢を見た気がしたんだ。


特に内容は覚えちゃいなかったけど、犬の夢ってのはうっすらと覚えてたんだ。


だから今となっては、あれは予知夢じゃなかったのかなって思った。


お前は朝から調子がいつもよりすごく悪くて、それを心配した母が突然俺を起こしたんだぜ?


髪やら服やらを気にせずに、もっとお前を心配してやれば良かったよ。


二十キロ近くあるお前を運ぶのはずいぶん苦労したんだぜ。母と一緒に、お前をシートの上に乗せて車に運んだんだ。


その時からお前の呼吸はすごく荒くて、さすがに俺も焦ったよ。


車の中でもお前はぐったりしていて、甲斐甲斐しく俺はよだれを拭いてやったりしたよ。そういう事したのは何度かあったけど、あれが最後だったなんて思いもしなかった。


病院に着いても手続きが妙に長くて俺はイラついてたよ。その間もお前は苦しそうにしてたよな。


獣医に見てもらってからお前の呼吸はずいぶんと穏やかになってとりあえず一安心だって思った。獣医もそんな事言ってたから、まだ死ぬのは先だなって思ったんだ。


家に帰ると俺は速攻でクーラーをつけて、お前をリビングに連れていった。今度は一人でお前を持てたよ。


小さい頃にお前を抱っこしようとして暴れられた経験から、今までしてきた事なかったけど、あれが最初で最後の抱っこだったんだな。


それから俺は朝昼兼用の飯を食ってたんだが、いつも飯の匂いがするとくれくれと吠えてたけど、お前は水を少し飲むだけで全く吠えなかったよな。


それから俺はいつも通り自分の部屋にこもった。そんな事しないでもっとお前といてやればよかった。


六時を少し過ぎた後、俺は早めの晩飯を食おうと下に降りた。お前は呼吸が変に荒々しくなってた。


俺は少し心配したが、獣医の言葉を思い出して素通りした。今となってはあの時の俺を殴ってやりたい。


犬は主人に知らせずにひっそりと死んじまうって言われてるけど、お前はまさにその通りだったよ。


息をしてない。母にそう言われ俺は半信半疑でお前の所に行ったよ。


そしたらさ、お前は横になって舌を出したままぐったりしてんじゃん。俺は信じられなかったよ。


母がタロー、タローって呼び掛けていて、俺は恐る恐るお前の横腹を撫でたんだ。


暖かかった。でも、命の鼓動が感じられなかった。俺は目の前が真っ白になって何も考えられなかった。


何度かまだ生きてるんじゃないかって、揺すってみた。でも、お前は起きなかった。


だんだんと冷たくなっていったお前を触りながら、死を実感したら涙がとめどなく溢れてきた。


母の前ではなんとなくおおっぴらに泣きたくなくって、うつむいて涙をこらえてたよ。


母が姉や父に電話している時に泣いた。こんなに涙って出るものなのかって思うくらい泣いた。


今思うとさ、俺、あんまりお前を構ってやれなかったよ。もっとお前に優しく接してやればよかった。


家族を失うのがこんなに辛いだなんて思わなかったよ。涙が止まんないんだよ。


ごめん。ごめんな。もっとお前にしてやれる事あったよな。


十三年間、本当にありがとう。最後の何年かはすごく辛かったよな。


お前はよく頑張ったよ、本当に。すごいよ。


敬老の日は年寄りを労る日なのにな。皮肉なもんだよ。人間の歳で七十歳近い年齢なのに。そんな日に逝っちまうなんてさ。


十三年間、本当にありがとう。


お前の事は、一生忘れないよ。


俺がそっち行く時は肉でも差し入れに行ってやるよ。


だから、その時まで、またな。


タロー。


人は大切な何かを失った時、必ず後悔します。それをこの小説で感じてもらえたら嬉しく思います。













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