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どうも、作者でございます。最近、一話ごとに更新速度が下がっていっているのは一体どういうことなのか。作者自身にもわかりません(おい
スロウガでもかけられているのでしょうか?(違

とりあえず今回は、ムフフな人にはムフフな展開かも知れません!(意味不明

ではでは、どうぞ本編へお進みください~
転換29.5「見上げた夜空に彼方を映して」
 月が、この上なく綺麗だ。窓から空を見上げながら、そう思った。部屋の明かりはすでに消え、部屋を彩るのは窓から差し込むおぼろな月光だけ。
 俺の顔は今、はっきりと映っているのだろうか。ベッドから起き上がり、そっと窓を開けてみた。

「……うっ!」

 瞬間、冷風が逆流してきて顔をしかめる。だが、視界はさらに開けた。星空を眺めていると、色々考えさせられる。
 俺が、『神谷きよ』という存在だっていうことも、『神谷京』も存在していることも、そして、それにつながる人間が存在していることも。
 ……最近、不安になったり変に思うところがある。それはきっと、取るに足らないものなんだろうけど。だろうけど、こうして夜一人になると嫌でも思い出してしまう。
 身体からだには慣れてきた。環境にも慣れてきた。……慣れずにいるほうが、無理だと言えたから。今では、男の身体で生活することがどんな感じだったかさえも、いまいち思い出せないほどだ。
 じゃあ、何で俺は不安になるんだろう? 今が幸せだからかもしれない。思って、驚いて笑う。

「そっか。俺……、幸せなんだ」

 確かめるように、わざと口にした独り言。静かな部屋にはよく響き、一層深く俺の心に刻み込まれた。
 ……外へ出よう。
 そう思った。そして、そう思ったら行動は早い。俺はベッドから起きて素早く立ち上がる。パジャマを着たままだったが、今の時間を考えれば大丈夫だろう。寒さに備えるために上に軽いジャンパーを羽織り、慎重に部屋のドアを開けた。
 ギィ、と小さいが響く音を聞いて、俺は心地よい背徳感に心を躍らせた。……別に、悪いことなんてしてないんだけどな。
 そのまま音をたてないように階段を下り、玄関に手をかける。開け放てば、夜の初代はつしろ町が俺を迎えてくれた。


 普段歩いている場所も、こんな夜中に来るとどこかしら違って見える。町は眠り、まるで満月に支配されたかのよう。
 ふいに、強い風が吹きすさぶ。

「……まだ、寒いや」

 自分の体を抱いて震わせ、俺は苦く笑う。こうして違う景色を歩いていると、自分の中にも違う景色が見えてくるような気がした。理由はわからなかったが、俺はそのまましばらく散策を続けた。

「そろそろ、帰ろうかな」

 呟き、家路までの道を辿る。その途中、馴染み深い公園が目にとまる。

「…………」

 なんとなく、足がそちらへ向かった。確かな理由なんてないけれど、……本当に、なんとなく。
 入り口を抜けてベンチへ向かおうとすると、すでにそこには先客がいた。人だかり、ならぬ猫だかりに囲まれてベンチに座っている、黒い髪の少女。

「……深白」

「きよ!?」

 思わず名前がついてでて、相手も驚いたように立ち上がる。取り囲むようにして群がっていた猫たちは少し離れた。
 少女、南野深白みなみのみしろ。俺の、大切な友達の一人だ。コミュニケーションが苦手で誤解されやすいが本当は心優しい、寂しがりな少女。最初からは想像も出来ないほど仲良くなれたのが、今でも時々信じられない。
 ……それにしても。今の深白はかなり絵になっていると思った。ひざの上に乗せている黒猫、真夜中のベンチ、輝く月明かり。それら全てが混ぜ合わさり昇華し、深白の神秘的な美しさをよりいっそう強めているのだ。

「きよ、どうしてここに。何かあったのか?」

 気を抜いて見とれていると、心配そうな顔で深白が聞いてくる。

「あ、大丈夫。何か眠れなくてさ……」

「そうか……」

 慌てて俺が弁解すると、深白はほっとしたように胸を撫で下ろした。深白は、朱菜以上に心配性なのだ。

「でもきよ。パジャマのまま外を出歩くなんて無防備だぞ」

「誰もいないってこんな夜中……」

 苦笑いで俺は答え、深白の隣に座り込んだ。さっきまで俺を警戒していた猫たちがまた集まってくる。よくこんなにも集まったものだ。

「はは、可愛いー……」

 黒い猫から白い猫、三毛猫まで。俺の手のひらをぺろぺろと舐めてくるその姿は実に可愛らしい。撫でてやると甘い声でミャア、と鳴くのもツボだ。……犬もいいけど、猫もいいな。どうでもいいことだけど、そう思った。

「なぁ、きよ」

 そのまま猫たちと戯れていると、深白がぽそりと話しかけてくる。俺は深白のほうへ顔を向けた。

「なに?」

「この前の海のことだけど……」

 うつむいての言葉に、俺はハッとする。みんなで海水浴へ行ったとき、俺は危うく死にかけた。最終的には助かったものの、みんなにはかなりの心配をかけてしまったのだ。……助けを待っていたときのことは、あまり思い出したくない。

「心配、した」

「うん……」

「いなくなっちゃうのかと思った」

 深白の声は震えていた。そうだ、俺はこの少女と約束したのだ。『いなくならない、消えない』と。自分の不注意が他人を悲しくさせることがあることも、俺はもうわかっていなければならない。いや、すでにわかっていたんだ。俺だって、深白にいなくなってほしくなんてない。

「終わったことは、もう仕方ないしどうにもならない。でも、気をつけてくれ。……きよ」

「うん、ごめん」

 失うつらさを知っているからこそ、深白は怖いんだろう。俺はしっかりと深白の目を見返して答えた。風が優しく吹いて、この空間を包んだ。

「私と深白、似てるかも」

「?」

 ふと、思ったことを言った。当然深白には意味が通じず、怪訝そうな顔をされる。

「私もさ、不安なんだ。……今が幸せだから。何かが起こったら……って過敏になりすぎてるのかも。今日も、そう考えていたら眠れなくて」

「…………」

 俺の正直な気持ち。深白は真剣な面持ちで、黙って聞いていてくれた。そういえば、深白とは前もこの公園のベンチで話をしたな。……その時とは、関係がだいぶ違っているけど。俺がそう自嘲気味に笑ったとき。
 柔らかいものが俺の体に触れた。そしてそれが深白の胸だということに気が付いたときには、俺は深白の腕にすっぽりと包み込まれていた。

「み、深白!?」

「……そっか。ごめんな、きよ」

 顔を赤くして慌てふためく俺に対し、深白はいたって冷静に、優しく言った。全身に、人間の温かさを感じた。

「私ばっかりそんなこと言って。……きよも心配だったなんて、気付かなかった」

「え……」

「約束する。私も、絶対きよの前からいなくならない。……だから笑ってくれ。きよに、暗い顔はさせたくない」

「み、しろ……」

 ぎゅうっと強く抱きしめられる。心臓の鼓動とともに、気持ちまでもが伝わってくるようだった。熱いくらいに顔が火照っている。

「ありがとう……」

 なんとか、それだけは言えた。心地よい感触が俺の脳を溶かして、離れられなかった。
 しばらくはそのままだっただろう、俺はまるで赤子のように深白に身を預けたままだった。深白が自分から俺を離したことで、ようやく俺は正気に戻る。
 ……普通に恥ずかしい。

「きよ」

「あ……」

 離されたと思ったら、今度は両手で肩をがしっとつかまれる。その漆黒の瞳で真っ直ぐに見据えられ、俺は目を泳がせた。

「み、深白……?」

「きよ、私は……」

 途切れ途切れで言葉をつなぐ深白。その顔は朱に染まっており、なおかつ真剣そのもの。つられて俺も顔を赤くする。何故か、身体が石になったかのように動かせない。
 ……というか、か、顔が近いんですけどぉ!?

「私、きよのことが……」

 近くなる。一瞬、時が止まったのかと思った。だが、ガサガサッという茂みの音にそれは破られる。
 俺たちはその音にどちらもビクッと体を震わせ、なんとも言えない空気が辺りに流れる。俺は真っ赤な顔を誤魔化すように小さく咳払いをすると、できるだけ笑顔で言った。

「あ、ありがとう! 深白のおかげで元気も出たし、今日はもう帰って寝るね!」

「え、きよ……?」

「それじゃ、お休み!」

 適当に言葉をさえぎって、俺は深白の制止も振り切って一目散に駆け出した。あまりにも露骨。でも、これでいいんだ。だって、こうでもしないと何だか雰囲気に流されてしまいそうだったから。
 夜の闇に溶けるように、俺は月の下を走った。








 公園のライトが、ぼんやりと私を照らしていた。自分でも顔が赤くなってるのは重々承知している。きよが偶然ここに来たとき、せっかくチャンスだと思ったのに。
 ……最後まで言えなかった。きよが自分に甘えてきてくれた事実に浮かれて、タイミングを逃した。あまつ、逃げるように家に帰られてもしまったのだ。
 きよの顔は赤かった。それに、動揺もしていた。

「……嫌われたかなぁ」

 また集まってくる猫たちに、私は語りかけた。月はまだ光っているが、もうそろそろ本格的に遅い時間だ。
 帰ろう、私はそう思った。そして、猫たちに別れを告げ自分の家までの道を、一歩一歩歩いていった。
後書き劇場
第三十五回「作者自身方向性がわからなくなってきた」

作者です。最近、深白がもう作者の言うことを微塵も聞いてくれません。ガン無視です。やばいです。
今回だって、ほんとはこんな話にするつもりはなかったのに……何やらかしてくれちゃってんの深白さん!?
ちょっと、深白さんファンの人たちが喜ぶじゃないですか! ん? 喜ぶ、のかな……?

あぁ、もうわかんないや!!

深白「…………」

俺「そこ! 何黙ってんですか! この作品を見た新規の方々がこの小説をそういう小説だと思ってしまったらどうするんすか!?」

京「今更じゃねぇかよ……」

女神『そうですよ。それに狙ってやってたんじゃないですか?』

俺「えーい黙れ黙れぃ! 今回出番なかったからってここで出番を設けようとしやが――」ガズッ

朱菜「そんなこと言ったらあたしたちはどうなるのかしら?」

葵「最近ますます出番ねぇな~?」

緑「あんまり私たちをないがしろにすると……ね?」

美樹「怒りますよ~?」

俺「…………」

深白「返事がない、ただの屍のようだ、か」

きよ「作者が死んだので、ま、また次回ということで~」

女神『まぁ、ほんとは今のキャラ以上に出番のないキャラはいっぱいいる――』

全員『それは言うな!!」



以上、作者からでした。……御意見・御感想随時お待ちしておりまーす(あ


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