9、ビーチボール
9、ビーチボール
昼ご飯を食べ終わった二人は食器を返しに行き、自分のテーブルに戻ってくる。
「何しようか?」
「また海で泳ぐ?」
「うーん、それもいいけど、ビーチボールあるし、ビーチバレーでもしない?」
「いいね、そうしようか」
「うん」
すると二人は席を立ち、僕がボールを持って5メートルほど離れて向かい合う。
「いくよー!」
そう僕は彼女に声をかける。
「オッケー!」
彼女から元気な声が返ってくる。
「それっ!」
“ポンッ”
そう言って僕は勢いよく高いサーブを上げる。
「えいっ!」
“ポンッ”
「いけっ!」
“ポンッ”
こうして二人の間でしばらくラリーが続く。
10分近くの長いラリーが続いて、そこで僕は返ってきたボールを、思いっきり高い高さまで打ち上げた。ボールは風に流されて彼女の立っているところから2、3メートル右側に落ちた。
「もうっ、西原君、上げすぎだよ」
「ははっ、ごめん、ごめん」
僕は半分笑いながら頭を下げる。
「それじゃあお返しに、えーいっ!」
“ポンッ”
今度は彼女がさらに高いサーブを上げる。するとボールは案の定、風に流され僕の立っている位置から大きく左側にそれて地面に着いた。
「やるなー」
「ははっ、ほら、次、つぎー」
「よーしっ! それっ!」
“ポンッ”
そしてボールは再び空高く舞い上がった。
こんなやりとりを続けながら二人は3時過ぎまで、夢中になってビーチバレーを続けていた。
「ねえ、ちょっと休もう。」
僕は彼女にそう声をかける。
「そうだね、ちょっと疲れちゃったし」
二人はビーチバレーをやめて、再び席に戻る。
「はあっ、なんか喉が渇いたなぁー」
「ジュースでも買いに行こうか」
「そうだね」
席を立って二人は海の家にジュースを買いに行く。
5分後、それぞれ先ほどと同じコーラとメロンソーダを買ってきた二人は、席に戻り話し
始める。
「ビーチバレー、楽しかったね」
「うん。なかなか面白かったよ」
「でも西原君がすごく高くボール上げるから、私少しやりにくかったな」
「そう? 悪かったね。ごめん、ごめん」
「何か理由があるの? ボールを高く上げるの?」
「理由ね。ないわけじゃないけど…、しいていうならクセかな」
「クセ?」
「うん。高校の授業でバレーボールをやってたんだけど、そのときに高いサーブばっかり打ってたんだよね」
「上手かったの? バレーボール。」
「いや、下手だったな。何しろ同じチームのバレー部の子が、反対側にいるにもかかわらず僕のところにきたボールを取りにくるくらいだったからね」
「それは……、なんか分かる気もするけど、ちょっと失礼な話だね」
「うん。でも代わりになぜかサーブだけは上手くて、ほとんどミスしなかったな」
「そうなんだ」
「それでちょっと天井サーブみたいな感じでかなり高いサーブを打ってたんだよね」
「天井サーブか。ちょっとカッコイイね。それで上手くいったの?」
「そうでもなかったな。結局室内だしただ高く上がるだけで、特に意味はない感じだったね」
「そっかー、確かに室内じゃ風があるわけでもないし、あんまり意味、なさそうだもんね」
「うん。ただ少し楽しかったかな。まあ、単なる自己満足だけど」
「いいんじゃない、授業なんだし。楽しめたらそれでいいよね」
「そうだな」
二人はそんな楽しい話をしながらジュースを飲み干していった。
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