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いよいよ最終回です。ここまで読んでくれたみなさん、本当にありがとうございました。
12、夜道と二人の思い(最終回)
12、夜道と二人の思い(最終回)
 二人を乗せた車は暗い夜の中、国道を通り抜けていく。この道は郊外と街の中心部をつなぐ道でいつもは混雑しているが、今は休日の夜、そのせいか全くと言っていいほど車はなく、走り抜けているのは二人を乗せた車だけだった。
時計の針はもう10時に近づきつつある。明かりの少ない夜の道は暗く、僕はその暗い中に吸い込まれていくような感触を感じながら、車を走らせていた。
海水浴場を出発してから40分、車は街に近づいてきたが、ここまでなぜか二人の間に会話はない。僕は感じていた、これからおそらくホテルに行き、及ぶであろう行為を考え、彼女が少しずつ緊張を高めているのを。
そしてホテルまであと5分ほどというところで彼女が話しかけてきた。
「ねえ」
「ん」
「あと何分ぐらいで着くの?」
「5分くらいかな、もうすぐだよ」
「そう」
……
これからの興奮をよそになぜか二人の会話はそっけない感じで始まった。
「ねえ、西原君」
「何?」
「私たち、するんだよね」
「ん、何を?」
僕はその問いかけにわざと分かっていないようなフリをして返す。
「もう、分かってるんでしょ」
「……、あー、分かってるよ」
「気持ち、確認してもいい?」
「確認?」
「うん。好きなんだよね、私のこと」
「好きだよ、結婚したいくらい」
「えっ!?」
彼女は僕の言葉が予想していないものだったせいか、少し動揺したような表情を浮かべている。
しばらくして彼女は呟いた。
「冗談でしょ」
「何言ってんだよ、本気に決まってるだろ」
「ホ、ホント!?」
「うん」
「じゃあ、私も好き」
「そうか」
ここで二人の会話は途切れた。
すでに街の中に入っていた車は、ビルや店、住宅の明かりがともる中を走っていた。
会話が途切れてから2分後、ついに車は駐車場に停車した。しかし止まってもすぐに二人は車を降りようとはしない。おそらく感じているのだろう、緊張感がさっきよりの高まってきつつあるのを。
しばらくして僕が話しかける。
「降りようか」
「う、うん」
二人は車を降りる。
「さあ、行こうか」
そう言って僕は彼女に手を差し出す。
「うん」
その手を彼女はしっかりと握り締めてくれた。
(僕は感じ取った、手から彼女の僕に対する思いを。温かかった……)
並んで二人は歩き始める。そこには二人だけの空間があり、二人だけが感じている空気がある。それは二人を温かい方向へと導き、幸福へといざなっていく。愛がある、深まっていく思いがある。その先には生まれるものがあり、それこそが二人をつなげるものとなった。
~END~
最後まで読んでくれたみなさん、改めてありがとうございました。この話はここで終わりですが本編の『夕日』はまだまだ続きます。どうぞ最後までお楽しみください。
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