1、金曜日
1、金曜日
時間は午後8時、仕事が終わり僕はこれから家に帰るところだ。今日は残業で遅くなり、同じ部署の友人も先に帰ってしまった。そのため一人でエレベーターを降り、1階の自動扉を通り抜けた。駅へと続く歩道を歩き始めると、前に友人のユウタがいるのを見つけて声をかけた。彼は営業で部署こそ違うものの、商品の詳しい説明をするために営業の外回りについていくことが多く、かなり親しい仲だ。
「おーい、ユウター」
「ん」
彼が声に反応して後ろを振り向いた。
「おう。一緒に駅まで行こうぜ」
「うん」
二人は並んで話しながら駅まで歩いていく。
「珍しいなぁー、こんな時間に帰り道で会うなんて。もしかしておまえも残業か?」
「うん。仕事が溜まっててさ、それで遅くなっちゃったよ」
「やっぱりそうか」
「あっ! そういえば話変わるけど、おまえ今週の休日はどうするんだ?」
「どうするって……」
「言ってたじゃん、昨日の昼に。彼女と一緒にデートに行くって」
「あー、その話か」
「約束はしたの?」
「いや、それがまだなんだなぁー」
「そうなのか」
「行く場所が全然決まらなくてさ、彼女に考えておいてて言われてるんだけど……」
「それなら海とかどうだ? 8月だし」
「海か。海ってやっぱ海水浴か。」
「そりゃそうだろ。真夏の定番だし」
「うーん、彼女、オッケーしてくれるかなぁー」
「大丈夫だと思うよ」
「まあ、メールしてみれば分かるか。よしっ! 帰ったらさっそくだな」
「うん。あっ! そうだ! ついでだしオススメの海水浴場とか教えようか?」
「えっ、あるのか?」
「うん。森崎市って分かる?」
「森崎市って……、えっと、それってもしかして最近テレビ番組の特集で紹介されてた東森崎海水浴場のことか?」
「そうそう、そこ。実はつい2週間ほど前だったんだけど、同じ営業の人に誘われて行ったんだ。砂浜がきれいで、人もそんなに多くなくて、海の家のご飯もおいしくて、かなりいいところだったよ」
「そうか。じゃあ、そこにするか」
「あとは彼女がオッケーしてくれるかどうかだね」
「だな」
「セクシーな水着姿を見られるかもよ」
「水着姿か。俺の彼女、結構スタイルいいし期待できそうだな」
「あー、羨ましい」
「そんなこと言うなよ。お前にもいるじゃねぇか、彼女が」
「彼女!? 違うよ。ミカにはまだ告白してないし」
「そうだっけ。とにかくいいぜ、彼女は」
「そうか。まあ、そのうちだな」
ここで二人は駅に中宮駅に到着した。彼は僕とは逆方向のため、ここでお別れだ。互いに切符を買って改札口を通ると別々のホームへ向かった。
8時40分、家に帰ってきた僕はさっそく彼女にメールを送った。
(明日のデート、海水浴とかどう?)
(海か、いいねー。どこの海水浴場?)
(東森崎海水浴場だよ)
(あっ! テレビで特集されてとこだね。わたし、一度行きたかったんだ)
(じゃあ、決まりだね。何時に出発する?)
(8時でどう?)
(分かった。じゃあ、8時に迎えに行くね)
(うん。明日が楽しみ~)
こうして二人は明日のデートで海水浴に行くことになった。
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