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第8話:新たな生存者
PM17:40。

ケイ達は警察署へたどり着くため道幅が狭い住宅地を避けて、少し遠回りになるがゾンビが少ないと思われる通りを歩いていた。
ここに来るまでゾンビに会うことは無かったが、通りには血痕や千切れた体の一部分、放置された車や物が散乱していた。

「・・・ひどい。」

夕日は想像以上に酷い状態の通りを見て呟く。それは誰もが思っていることだった。
黄泉は歩道の血溜まりに子供の物と思しき靴が落ちていることに気づき顔をしかめる。

「・・・生存者はどれくらいだろうなのだろうか・・・。」
「・・・あまり期待は出来そうに無いな・・・。」

黄泉の呟きに、今田が悲観的な観測を述べる。
いつもは気の強い野辺も、中で血が飛び散っている車や血で出来た足跡などを見て顔色が悪くなっており、今もケイの服を掴みなが歩いていた。
ケイも野辺を振り払ったりはせず、そのまま銃を構えて歩いていた。

「くそ、何か暗い雰囲気だな。ここは俺が・・・。」
「止めておけ。絶対にすべるぞ。」
「今田、やらせとけ。たまにはイタイ思いをした方がいいんだよ。」
「何でこんなときだけ結託すんだよ!?」

一文字がボケようとするのを今田とケイが冷たい言葉で封じる。
思わず大声で突っ込むが、2人は見事にスルーしてしまったので、一文字は諦めたように肩を落とした。

「くそう・・・。松村、お前は俺の味方だよな・・・?そうだよな・・・?」
「え、え〜っと、すいません・・・・・無理です・・・。」

突然話を振られた松村だが、答える前にケイと今田に睨まれ、あえなく陥落した。
味方が0になった一文字は歩きながらいじけていた。

「どうせ俺は・・・ぶつぶつ・・・。」

しかも誰も一文字の相手をしないため、さらに一文字は拗ねていった。
ケイもそろそろ相手をあいようかと思い、声を掛けようとしたときだった。

「うあああああああーーー!!!」

突然男性のものと思しき叫び声が響いた。
ケイ達は驚きながらも声の発信源を探す。すると、夕日が少し離れたところにある、一軒だけ明かりが点いている二階建ての家屋を発見した。

「あそこ・・・!」
「む・・・あれか!」
「グッジョブ夕日さん! 皆急いで!!」
「言われなくても!!」

黄泉も続けて気づき、野辺が急ぐよう言うと、一文字が復活して走り出した。
全員が全速力で駆けつけると、家屋からはゾンビが2体出て来ていた。中にはまだいるらしく、唸り声とともにどこかのドアを叩く音がした。

「邪魔だ死人ども!!」

ケイは素早く狙いを定めると、2体のゾンビを速攻で撃ち殺した。

「ケイ! 今田!来てくれ!!残りはここで待機だ!!」
「分かったぜ!!」
「了解した!!」

黄泉が中に駆け込みながら指示を出し、ケイと今田は返事を返しながら黄泉とともに入り口へと向かっていった。
残りは家に近づくゾンビを蹴散らして脱出口を確保する。

「早くしなさいよ!!」
「分かりました!!」
「・・・気をつけて・・・!」
「油断すんなよ!!」

待機メンバーからの声を背に受けつつ、3人は中へと入った。
玄関を上がり、廊下を歩いていると、2階へ続く階段の横にあるガラス戸を突き破って老人のゾンビが飛び出してきた。
老人のゾンビは割れたガラスで体のあちこちを切っていたが、そんなことはお構いなしに向かってくる。
黄泉は素早く近づくと、階段までの道を塞いでいるゾンビへ渾身の突きをお見舞いした。
木刀は見事にゾンビの額に突き刺さった。黄泉がゾンビを倒すと、その横をケイと今田が通り過ぎていった。2人は黄泉が前に行くと、ゾンビの相手を彼女に任せて先に進むつもりでいたのだ。無論、黄泉がゾンビを素早く倒せるということが前提であったが、そのことには一切不安を抱いていなかった。
2人は今田を先頭にして階段を駆け上がり、2階に上がった。
2階では、たった今一番奥のドアが破られたところだった。廊下には4体ほどのゾンビがおり、2人に気づくとうめき声のような声を出しながら向かってきた。
今田はまるでゾンビが気にならないかのように走り出すと、ケイはM4をセミオートで連射した。弾は一発も外れることなく当たり、廊下にいたゾンビを全滅させた。
倒れていくゾンビの隙間を駆け抜け、今田はついに生存者がいると思われる部屋に入った。
部屋では壮年の男性がゾンビと掴み合いを演じており、もう少しでゾンビに首筋を噛まれそうになっていた。
今田はすぐに近づくと、体を左に一回転させ、遠心力をつけるとゾンビのこめかみの辺りに叩き込んだ。
頭蓋が割れる音とともに、ゾンビが男性から引き剥がされた。

「は、はああ・・・・。」

男性は安心して力が抜けたのか、その場に座り込んでしまった。
そのとき、他の部屋を調べていたケイが黄泉と一緒に合流した。黄泉とケイは今田と男性の無事を確認して安堵した。

「無事のようだな。怪我は無いか?」
「ああ、何とかね・・・・。君らが来てくれたお陰だ。ありがとう。」
「いいっていいって。こんな状況じゃ、助け合わなきゃ生き残れないしな。」
「こいつの言う通りだ。気にしないでくれ。」

男性は3人の言葉を聞くと、右手を伸ばしてきた。

「じゃあ、手を貸してくれないか? どうやら腰が抜けてしまったようでな。」

ケイと今田は苦笑しながら腰が抜けて立ち上がれない男性に手を貸し、立ち上がらせた。
黄泉は一旦ここで休憩することを提案し、外で待っているメンバーを呼んで来るため一階へ下りていった。












どれほどの地獄だろうとも、人はしぶとく生き残っていく。
果たして、神に嫌われ、地獄を駆け回る人間は後何人いるのか・・・・。


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