ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
今回から、主人公を漢字では無くカタカナで書いていきます。
・・・見にくいんで。
第5話:生徒会室での戦闘

PM15:55。


隣の部屋からゾンビ化して出てきたのは4体。ケイは銃口を一番近くにいるゾンビに向けつつ、後ろで袖を掴んでいる夕日に話しかける。

「夕日さん。治療した人数は?」
「・・・7人・・・。」

夕日が震える声で告げた人数に、ケイは内心舌打ちする。部屋の中にはまだゾンビが潜んでいるため、この4体を倒しても油断が出来ないためだ。
ケイはとりあえず、目の前の敵を殲滅しようと、引き金を引こうとしたとき、不意に右肩に手が置かれた。
驚いてそちらを見ると、一文字が獰猛な笑みを浮かべていた。

「こんなザコ相手に貴重な弾使うこたあねえだろ?」

ケイは一文字の言わんとすることに気づくと、呆れたように息を吐いた。

「しゃあねえな・・・。いっちょやってやりますか!」

ケイはM4を下ろすと、夕日を後ろに下がらせてから一文字とともにゾンビへと突っ込んでいく。

「な!? バカ戻れ!?」

黄泉が2人の突然の行動に驚く。てっきりケイの狙撃で片付けると思っていたら、2人は素手で突っ込んでいったのだ。
しかし、2人は黄泉の制止を聞くことはなかった。
ケイと一文字は、1体のゾンビの近くまでくると左右に分かれ、2人は同時にゾンビの首へハイキックを繰り出した。

『ハア!!』

蹴りは真っ直ぐに首筋に直撃し、ゾンビの首からは鈍い音が聞こえた。
ゾンビが糸の切れた人形のように崩れ落ちている間に、ケイは襲い掛かってきた2体目のゾンビを避けると、ついでに足を引っ掛けて転ばせた。
転がった先には一文字がおり、一文字は躊躇うことなく倒れたゾンビを頭を踏みつけた。
ゾンビの頭はぐしゃりとスイカのように砕けた。
ケイは一切一文字の方を見ることなく次のゾンビへ向かっていく。3体目のゾンビは食いちぎられたのか指が何本か無いにもかかわらず、その手を伸ばしてきた。ケイは冷静に左横に移動してかわすと、ゾンビの腕を掴み、思い切り振り回す。
急に引っ張られたゾンビは抵抗することすら出来ずに壁に叩きつけられる。
壁に叩きつけられたゾンビは血の跡を残しながら床に崩れていくが、膝立ちになったところで、ケイが駄目押しの膝蹴りを頭部にぶち込んだ。
壁とケイの膝に挟まれ、ゾンビの頭蓋骨はあっさりと砕けた。先程より多くの血を壁に付着させながら崩れていくゾンビ。
一文字も負けていなかった。彼はゾンビへ真っ直ぐ向かっていくと、ゾンビの顔面に左フックを叩き込んだ。生来の怪力により、かなりの重さで叩き込まれたフックは、ゾンビを壁に叩きつけた。
一文字はゾンビが怯んでいる隙に傍に近づくと、ゾンビの頭部に右ストレートを叩き込んだ。
壁と拳に挟まれ、ケイに倒された3体目と同じような状況になっているが、結果は違っていた。
ケイのときは頭蓋が割れただけだが、こちらは完全に潰されていた。
コンクリートの壁に穴を開けるほどのパンチ力を持つ一文字だからこそ出来た芸当だった。

「うわ、キタネエ。」

一文字は血の付いた拳を見て顔を顰める。取りあえずゾンビの服で比較的汚れていないところで拳を拭いていた。
そこへ、膝に血が付いているケイが近づいてきた。

「まさか拳で殴りつけるとはなあ・・・。そうなることぐらい予想しとけよ。」
「う、うるせー。倒せたんだから別にいいだろ。」

直前までゾンビ相手に凄まじい戦いを繰り広げていたとは思えない軽口の応酬に、黄泉・松村・今田は呆然としていた。

「な、何て強さだ・・・。」
「す、凄い・・・。」
「ば、バカな・・・。」
「ま、当然よ。」

3人が呆然としていると、野辺がまるで自分のことのように偉そうにしていた。
今田が野辺に尋ねる。

「おい、どういうことだ。一文字の方は納得できるが、崎沼があれだけの強さを持っているのは何故だ。」

今田の疑問に、野辺はつまらなそうに答えた。

「ケイは一文字の相方で、大抵は一緒に行動してるのよ? 一文字の喧嘩に巻き込まれるなんて日常茶飯事。そんで、何度も巻き込まれてるうちに喧嘩の腕が上達してったのよ。」

ま、元々の才能もあったらしいけど。野辺はそう付け加えた。
今田は驚きを浮かべて固まっている。松村は敬意に満ちた目で2人を見ており、黄泉はじっとケイを見つめていた。
夕日はケイと一文字の下に行き、怪我をしていないか調べている。

「怪我・・・無い・・・?」
「大丈夫だって。」
「そうそう。俺らがあんなノロマにやられるかっての。」

しかし、2人が無事だと分かっても、夕日の顔は暗くなっていた。
ケイはその理由に気づくと、俯いたままの夕日へ声を掛ける。

「・・・あいつらがゾンビになったのも、俺達が危険な目に遭ったのも、夕日さんのせいじゃないですよ。」

ビク、と夕日は体を震わせた。彼女は涙目になっており、今にも目から涙が流れそうだった。

「でも・・・・!」

夕日が何か言おうとすると、ケイは夕日の頭に手を置いた。一文字は既に野辺のところに退避しており、野辺と黄泉の様子を見て楽しもうとという魂胆のようだ。

「何でもかんでも背負ったって意味は無いんですよ?」

優しげに微笑したケイ。夕日はそれを見て、微かに頷く。
ケイはもう心配ないと判断し、隣の部屋へと向かう。

「私も行こう。」

今度は一文字では無く、黄泉が付いてきた。ケイは黄泉に向かって笑みを浮かべる。

「油断すんなよ?」
「ふ、君こそな。」

黄泉も同じような笑みを返すと、ケイを先頭に中へと入る。
中は比較的狭く元は倉庫として使われたのか、壁に色々なものが置かれていた。
床は血で汚れており、どのようなことが起こったかを想像させた。
黄泉は油断なく目を光らせている。

「確か、後3人は居る筈だが・・・。」
「・・・1人減ったぞ。」

黄泉より奥に行っていたケイが、ぽつりと呟いた。
耳を澄ますと、奥からは何かを咀嚼するような音が聞こえてきた。黄泉は木刀を握り直すと、ケイの隣に立った。
奥では、2体のゾンビが女子生徒の死体を一心不乱に食らっていた。
恐らくまだ正気のときに襲われたのか、食いちぎられて転がっている首には苦悶の表情が張り付いていた。

「う・・・!」

それを見て、黄泉は思わず呻いてしまう。口を押さえ、こみ上げてくる吐き気を抑える。
そのとき、黄泉の肩に手が置かれた。

「しっかりしろ。」

たった一言だけだが、それだけ聞こえれば十分だった。黄泉は何とか立ち直ると、ゾンビに向き直った。ゾンビもケイ達に気づき、死体を食らうのを止めて立ち上がる。
黄泉は黙って木刀を構えていたが、不意に喋りだした。

「ケイ・・・正直、私はあなたが居なければとっくに死んでいたでしょう。」

ケイは口を挟むようなまねはせず、黙ってゾンビを警戒していた。
黄泉も気にせず話していく。

「だから、今から私はあなたを信じ続けることにします。絶対に。」

最後まではっきり告げると、黄泉はゾンビへと向かっていった。ケイは苦笑すると、黄泉をサポートすべく黄泉の後に続く。
片方のゾンビは黄泉の木刀により、一撃で頭を割られて絶命した。
もう1体は攻撃直後の黄泉に襲いかかろうとしたが、横からケイの足刀が首に叩き込まれて頚椎を破壊された。
2体を倒した後、ケイは黄泉に告げた。

「・・・あんまり頼るなよ。結構一杯一杯なんだからよ。」
「それは分かっている。信じるだけだ。」

平然と笑って返してくる黄泉に、ケイは諦めたように頭を掻いた。













加速度的に悪化していく状況の中、強くなっていく絆。
それは希望か、それとも絶望への扉か・・・。








+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。