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前回の更新から〜〜〜・・・。2ヶ月経過!!
ちょっと切腹してきます。誰か、介錯を!


第11話:強きモノ
AM・0:00。

2階の客間にて仮眠を取っていた今田は、突然の銃声によって飛び起きる羽目になっていた。

「うおお!? な、何事だ!?」

銃声は階下から断続的に聞こえてくることに、今田は違和感を覚える。

(この銃声・・・・・・崎沼か? だが、それにしては随分と弾が多く使われているな・・・・。)

ここまでの道中において、ケイが無駄弾を使うことはほとんど無かった。的確にゾンビの頭部へと撃ちこみ、一発で仕留めていたのだ。 だが、今聞こえてくる銃声にはかなりの弾丸が使われている。

(まさか・・・・奴らが集まって・・・!!?)

今田はすぐに壁に立てかけられていたバットを掴むと、急いで階段へと向かい下の階に下りていった。
一階に下りると、既に銃声は止んでいて、今田の鼻に血臭と硝煙の入り混じっている匂いが入り込んでくる。
今田が視線を動かすと、リビングで眠っていた筈のメンバーが全員起きていて、皆一様に玄関へ信じられない物を見たかのように目を見開いていた。
今田もそちらへ目を向けると、何故皆が固まっていたかを知る。

「崎沼・・・・・・。」

玄関ではケイが一心不乱に撃ちすぎて弾切れになったM4のストックを、恐らくはもう絶命しているであろう片腕が異様に長いゾンビへ叩きつけている。何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。
ストックにヒビが入り、自分の顔に血しぶきが飛び散っているにもかかわらず、ケイはひたすらゾンビを殴り続ける。 既にゾンビの頭蓋骨は完全に砕かれ、床に血と頭蓋の破片が脳漿と思われるものと一緒に流れている。
だが、それでもケイは決して殴りつけるのを止めようとはしない。無感動に、無表情で、無言のまま、何も感じていないかのように殴り続けている。
・・・・頬へと流れ、床へと落ちていく、透明な雫だけが彼の心境を表していた。
誰も、ケイを止めようとはしない。いや、止めることができないでいる。
無表情のまま、ただ静かに涙を流してゾンビを殴り続けているケイを見て、彼がどれだけ辛いのかをいやでも理解してしまったからだ。
ここにいるメンバーの中で、何が起こったのかを正確に理解している者はケイ以外にはいない。あまりにも事が急に起こってしまったからだ。
だからこそ、ケイを止められない。彼がどういう苦しみを抱え込んでしまったのか、想像はできる。だが、それだけだ。彼にどう声をかければいいのか、何をしてあげればいいのか、確実にケイを救える手立てが思いつかないのだ。

「ハァ・・・・・ハァ・・・・・・・。」

いつまでそうしていたのだろうか。気が付くと、段々と血や脳漿によって湿り気を帯びていた殴打の音が聞こえなくなっていて、ただケイの荒い息遣いのみが聞こえているだけだった。
始めに動いたのは、ケイと一番長い付き合いである一文字だった。

「・・・ほらよ。」

一文字はケイの傍に近寄ると、手に持っていたタオルを頭に掛けてやる。返り血で主に顔を真紅に染めてしまっているケイは、M4から手を離し非常にゆったりとした動きで頭に乗せられたタオルに手を伸ばす。
どこか思考が麻痺しているかのような緩慢な動きでタオルを使っているケイを見て、今まで固まっていた他の面子もケイの傍へと近寄っていく。

「ちょっと大丈夫!?」
「お、おい無事か!?」

野辺と黄泉が心配そうに声を掛けるが、ケイは軽く手を上げるだけでそれ以上の反応は示さず、ただゆっくりと顔を拭くのを再開する。
少しだけ遅れて、険しい顔つきの夕日がケイの傍に近寄り彼の手を取る。

「返り血が凄い。お風呂に入って。」

そう言うと、ケイをこの家の風呂場へと連れて行く。ケイも特に抵抗は見せずに夕日に引っ張られていった。
ケイの姿が見えなくなると、その場に残っていたメンバーは顔を見合わせ、一斉にため息をついた。

「崎沼のやつ、かなりきつそうだな・・・・。」
「あんなに沈んでるの始めて見たわよ。正直に言って、見てられなかった。」
「・・・私は、彼に何も言えなかったのが非常に悔しい。」
「だからと言って、あそこで安易な励ましを与えては逆効果だった。・・・一文字? どうした?」

一文字は話には加わらずに1人床で息絶えている松村の傍でしゃがんでいる。時折松村の死体と、恐らくは外れた流れ弾によって砕かれたと思われる玄関の扉の残骸の上に転がっているゾンビの死体を見比べているようで、何かを調べているらしい。

「・・・そういえば、松村くんの弔いをしてあげないとね。」
「・・・そうだな。このままでは化けて出てくるかもしれないしな。」
「あはは、まさかぁ。」

松村の死体を見て、先ほどからずっと放って置かれていた彼のことを思い出す。未だに雰囲気が重いままの野辺を見て、珍しく黄泉が冗談を言って野辺の暗い雰囲気を少しだけ紛らわし、2人はリビングへと何か無いか探しに向かう。
今田はそんな2人をリビングに行くまで見ていたが、自分がすることを見つけられないのか、一文字へ話しかける。

「・・・これは、あくまで予想なんだがな・・・・。」
「・・・なんだ?」
「ケイは・・・・・松村を目の前で殺されたのでは、と思ってな。」
「・・・・。」

今田が静かに話しかけていても、一文字は松村の傍でしゃがみこんだまま顔を上げない。今田に自分の顔を見られないようにしている。

「だとしたら、アイツはかなり傷ついていることになる。もしかしたら立ち直れないほどに」
「それがどうしたよ。」

一文字は急に喋り出し、今田の独白を遮ってそれ以上話すことを止めさせてしまう。見ると、一文字は顔を上げていて、その表情には固い意志が見て取れる。

「俺はお前よりアイツを知ってるんだぜ? それくらい分かるさ。」
「・・・。」
「だからこそ、俺はケイが立ち上がることも確信してる。アイツは強い。昔荒れてた俺を立ち直らせてくれた時に、俺はそれを知ったからな。」
「一文字・・・・。」

今田は目に驚きを浮かべ、心中には感嘆にも似た感情が沸き起こっていた。
自分が今まで単なる問題児だとしか思っていなかった人物は、誰よりも友人を想い、誰よりも信じることのできる素晴らしい人物なのだと。
今田も、ほんの少しだけ笑みを浮かべると、一文字の言葉に同意する。

「そうだな・・・。彼は、崎沼は我々よりも遥かに強い。きっと大丈夫だろうな。」
「ま、当然でしょ。」

今田が自分の言葉に頷いていると、リビングからカーテンとして使われていたと思われる布を持ってきた野辺が当然とばかりに胸を反らしている。

「いや、お前のことじゃねんだぞ? なんでそこで自分のことのように偉そうにしてんだよ。」
「私はケイの恋人なのよ? 自分の彼氏を自慢に思うのは当然でしょ。」
「・・・お前が勝手に言ってるだけだろ!」
「大丈夫よ。世の中には『事後承諾』って言葉があるんだから。」
「それ全然大丈夫じゃねえだろ!!」

・・・何だか、いつもの言い争いになっている。罵詈雑言がかなり一方的に放たれているいつもと比べればまだおとなしめな方だが。
野辺の後ろから、彼女の代わりにカーテンを持ってきた黄泉が苦笑している。

「全く・・・。余り騒いでは外のゾンビが集まってきかねんぞ。」
「まぁ見逃してやれ。 このくらいの元気のある方が精神衛生上良いだろう?」

黄泉はカーテンを松村の死体に掛けてやると、床にしゃがみこんでから目を閉じて静かに手を合わせる。それを見た今田も同じように手を合わせ、松村の冥福を祈る。野辺と一文字は言い争いに夢中で気づかなかったりするが。
しばらくして、目を開いた黄泉は微笑を浮かべながら口を開いた。

「私も・・・彼を信じているさ。ただ、無闇にそう告げてもケイの重しになってしまうからな。」

確かに・・・。勝手に期待をしてしまって、それがケイの心労になってしまったら、徒党を組んでいる意味が無い。助け合うためにチームになっているというのに。

「だから私は、彼を支えること、それだけに集中する。彼には死んで欲しくないからな。」

そう言うと、黄泉は立ち上がってケイの入浴している風呂場へと進んでいく。それを見て、一文字とまだ言い争っていた野辺は、一文字の腹に蹴りを叩き込んで黙らせてから黄泉の前へ立ち塞がる。

「ちょっと、どこに向かってんのよ。」
「ケイの様子を確かめにいくだけだが。」
「じゃ、私がついていってもいいわよね?」
「野辺はそこで移動の準備をしていてくれ。私1人で充分だ。」
「アラ、なら私が代わりに行くから、生徒会長が準備をしててよ。」
「・・・・邪魔するのか?」
「邪魔じゃないわよ。ただちょっとだけうざったいのよ。」

段々と険悪な雰囲気になっていく。今田はこの場から立ち去りたくてたまらないのだが、あいにくと階段は2人の向こう側にあり、背後は外へ繋がる玄関しかない。ここからの逃走は不可能だったりする。

(崎沼め・・・・。俺にとばっちりを持ってくるなよ・・・・・。)

この場にいない原因を作ったヤツに心の中で悪態を吐きつつ、仕方なしに目の前の修羅場を見ていると、あることを思い出し、迂闊にもそれを口に出してしまう。

「ん? そういえば、夕日さんはケイについて行ったまま戻っていないな。」

ピタリ、と野辺と黄泉の動きが止まる。それを見て何となく自分がまずいことを言ってしまったのではとびびっている生徒会副会長。
その内に、2人から物凄く周囲に響き渡る含み笑いが聞こえてくる。

「フ、フフフフフフフフフフフフフ。」
「夕日さんたら、中々やってくれるじゃない・・・・。」

(こ、怖ぁぁ・・・・・・!!!!)

後に、この2人の笑みは今まで怖い物は無いと自負していた生徒会副会長・・・今田戒が、生涯で一番恐怖した瞬間だったとコメントする。










更新遅くなってすんません。もう土下座です。
ただ、本当に終わりまで持ってくんで、それは安心してください。
・・・年内に終われる自信すらないけど。

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