前から書きたいと思っていたゾンビ物を書いてみようと思います。
基本的に銃を押していく傾向になると思いますが、まあ楽しんでもらえれば嬉しいです。
第1話:崩壊の序曲
PM15:10。
ここはとある県立の高校。今は帰りのHRも終わり、教室では掃除が行われていた。
その中、2−2の教室で掃除をしている1人の少年がいた。
「ふああ・・・。眠い・・・・。」
少年は箒でゴミを集めながらあくびをしていた。余程眠いのか、人目を気にせず口を大きく開けており、先程から何度もあくびをしていたのか目には涙が溜まっていた。
身長は175cmほど。中肉中背の体つきをしており、目は面倒くさそうに細められていた。髪は僅かに茶色に染められていたが、そのやる気の感じられない態度のお陰か、不良に思われることは無かった。
着ている学ランの一番上のボタンを外しており、そこから僅かに鎖が見え、彼がネックレスをつけていることが窺えた。
彼の名は崎沼敬。高校2年だ。
再度あくびをしながら掃除を続けていると、同じく掃除をしていた男子生徒が彼に親しげに話しかけてきた。
「今日は随分と眠そうだな敬?」
「ああ。お前にこの眠気を分けてやりてえぐらいだ・・・。」
敬斗は声をかけてきた男子生徒・・・敬の親友にして学校一の素行不良生徒でもある一文字錬太郎に返事をする。
身長は180cm。喧嘩で鍛えられた体はがっしりとしている。ワックスか何かでハリネズミのようになっている黒髪に、こめかみには刃物で付けられたと思われる傷跡。どこか肉食獣を彷彿させるような笑みに、両耳に付けられたピアス。学ランのボタンは全て開けられており、手には指抜き加工がされた手袋をはめていた。
明らかに危険な感じのする一文字が話しかけてきても、敬は全く態度を変えなかった。
「今日はとっとと帰って寝るわ・・・。」
「・・・普通はどっかに遊びに行くもんだろ・・・。」
「うるせえ! 俺は眠いんだー!!」
「逆切れかよ!?」
一文字が呆れると、敬は一文字が学校一の不良であることにも構わず逆ギレをする。一文字も怒ることは無く、むしろ楽しそうに騒ぎ始めた。
2人が親しくなった理由は、敬が不良である一文字に平然と教科書を借りてきたことから始まった。
それ以来2人は妙に気が合うため、校内外問わずつるんでいる。しかもかなり喧嘩っ早い性格だった一文字が、敬斗とつるみ始めてからおとなしくなったため、敬は校内で「猛獣使い」のあだ名を付けられている。
2人が遊んでいる内に掃除は終わり、箒を片付けると2人は自分の鞄を背負って帰ろうとした。
その時、教室の入り口から敬に声が掛けられた。
「敬。帰るわよ。」
敬斗を呼んだのは、綺麗な黒髪をショートカットにしている女子生徒だった。
身長は165cmほど。鋭い目つきに整った顔。制服の上からでも分かる程の抜群のプロポーションに、すらりと伸びた足。10人中10人が美人だと答えるだろう。
彼女・・・野辺深雪は教室に入ると敬斗の手を掴み、強引に引っ張っていく。
敬は引っ張られながらも何とか反論する。
「い、いきなり何だよ野辺。」
「何よ。私と帰るのは嫌なわけ?」
「そんなことは無いけど・・・。」
「じゃ、早く行くわよ。」
そのまま教室を出ようとするが、入り口で一文字が仁王立ちをして野辺の進行を妨げた。
「ちょっと、どきなさいよ。」
「じゃ、敬を置いてってくれ。俺はそいつと帰るんでな。」
「嫌よ。アンタみたいなホモと一緒に帰らせたらどうなるか分かったもんじゃないわ。」
「んだと? 誰がホモだってぇ?」
いきなりホモ呼ばわりされ、かなり機嫌を損ねた一文字。喧嘩腰になって野辺を脅すが、野辺はどこ吹く風といった様子で平然としていた。
「アンタよアンタ。敬を連れてってナニするつもりだったんでしょ?」
「このクソ売女・・・。」
もはや一触即発の状態の2人。一文字にいたっては殺気が滲み出ているほどだった。
敬はとりあえず止めに入るが・・・・。
「な、なあ2人とも。いっそのこと3人で帰ろ『黙ってて』・・・ハイ。」
2人に睨まれ、あっさりと降伏した。周りのクラスメイトは「またかよ・・・。」といった感じで3人を見ていた。
実は、一文字と野辺が敬を巡って言い争うのは日常茶飯事で、一部ではその日にどちらが敬を連れて行けるかで賭けが行われているほどだった。
因みに戦績は、野辺の方が10戦中6戦勝利している。
今も教室の外から「野辺に100円!」「一文字に200円!」といった声が聞こえてくる。
「うるせえぞ!!」「うるさいわよ!!」
2人が廊下で騒いでいる奴ら(正確には賭けを行っていた面子)へ怒鳴り、廊下にいた奴らは素早く去っていった。
・・・居なくなっただけで、賭け自体は滞りなく行われているのだが。
「いい加減にしろ! 俺はホモじゃねえって何度言ったらわかんだ!! 手前の脳みそはポンコツなのか?」
「あら、じゃあ何でしつこく敬を連れてこうとするの?」
「こいつと遊ぶのが一番楽しいんだよ!!」
「それってもうホモの気があるってことなんじゃないの?」
「んだとコラ・・・!?」
いつまでも続く言い争いに、敬はため息をついた。
(このまま帰りたいけど、そうすっと絶対鬼のような形相で追っかけられるんだよなあ・・・。)
しかし、この状況を楽しいと感じている自分もいることを、敬は自覚していた。
大切な友人と過ごす日々が、彼にとっての娯楽なのだ。・・・たとえどれだけ疲れることになっても。
しかし、このときは誰も気づいてはいなかった。いや、気づく筈も無かった。
この平和な日常が、もうすぐ壊れてしまうことを・・・。
そろそろ敬が2人を止めて、3人でどこかに行こうと思ったとき、突如として凄まじい轟音と振動が轟いた。
「!?」
「きゃ!」
「!! 何だ!?」
3人は突然のことに驚き、野辺にいたっては体勢を崩して倒れそうになった。
「おっと!」
そこへ、敬が野辺の手を掴んで引っ張り彼女の体を抱きこむ。
「ふい〜〜。危ねえ危ねえ。」
「そ、そうね・・・。」
敬に抱きかかえられ、僅かに顔を紅潮させている野辺。その間に一文字は教室の窓へと向かい、轟音の原因を調べていた。すると、向かいにある職員棟の、下駄箱がある場所の下、昇降口を見て、驚愕の表情を浮かべると、敬を呼んだ。
「おい、敬来てくれ!!」
呼ばれた敬は、すぐに窓へと近づいた。すると、とんでもないモノが目に飛び込んできた。
「嘘だろ・・・。」
「ちょ、何よこれ・・・。」
一緒に窓に近づいた野辺も呆然としている。
昇降口には、明らかに軍用と思われる装甲車が激突していた。
このときより、祭りは始まった。
血と肉と脳漿が飛び散る、死の祭りが・・・。
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