涙と雨。縦書き表示RDF


初投稿作品です

涙と雨。
作:クロロ軍曹


外では冷たい雨が降っている
暇つぶしでよく通う喫茶店でコーヒーを口にしながら、僕はザーザー降りの雨を眺めていた
この時期になるといつもあの日のことを思い出す






***涙と雨。****

ちょうど高二になって二ヶ月ほど過ぎたある日
その日は梅雨だというのに雲一つない快晴だった


僕はいつものように学校へ行き いつものように授業を受け いつものように一日の終わりを告げるベルがなった
ベルが校舎中に響いた瞬間、皆一斉に教室を飛び出す 部活動に励む者 友達と遊びに行く者 家に帰る者
これもいつも通り


僕は何故そうするのかは分からないがいつも教室に誰もいなくなってから教室を出る

そして今日も皆出ていって帰ろうとしたとき、教室には僕以外にまだ一人残っていることに気付いた


彼女は窓際のすみっこの席で座っていた
その後ろ姿には見覚えがある
当然だ 僕の好きな人だから


彼女はものすごく綺麗な顔していて彼女を見るたび僕は見惚れてしまう

少し開いた窓から入ってくる風が彼女の綺麗な髪をなびく
彼女はうっとうしそうに細くて綺麗な指で髪をかきわける
その姿にも僕は美しいと思ってしまう


心臓が激しく動くのがわかる
これが恋というやつなのだろう
出来れば彼女に話しかけてみたい 触れてみたい 所有したい
だが、それは許される事ではない

ガラガラッ 「美希 行こうぜ」

ほら来た

「うん」
そう言って彼女は彼に連れられ教室を後にした
廊下からまだ楽しそうな二人の話し声が聞こえる

分かってる 僕には出る幕がないことくらい
二人はとてもお似合いだし
彼女を所有できるほど僕は出来た男でもない
そう思うとなんだか苦しくなってきて教室を駆け出した


気がつくと屋上にいた
さっきまで晴れわたっていた空が薄暗い雲に覆われていた


彼女はこの空の下で生きている
笑って 泣いて 怒って 誰かを愛し そして誰かに抱かれているのだろう
そう思うと同時にとてつもない感情がおし寄せてきた
苦しみ 悲しみ 虚しさ 惨めさ 孤独 失望 絶望



ポツッ ポツッ

突然、雨が降り出した 雨と同時に今まで我慢していた涙が溢れ出した


6月の冷たい雨は僕の心に深く染みた



***********


コーヒーを飲みおえたころ雨はあがった

「そろそろ行くか」



6月になるたびに思い出す

あの涙と雨を。














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