アストロノート・モンキーズ! #1(5/24)縦書き表示RDF



 こんにちは、雨寺です。
 推理小説と銘打っておきながら、皆様の書かれた作品はまさに本格派ミステリー! で、こんなんみたいなアマチュアで中途半端なものは、思いっきりアウェイに思えてきました……。
 しかし、一度書き始めたものはやり遂げます! 皆様、応援してくださるとうれしいです。
 それでは、雨寺でした。

アストロノート・モンキーズ! #1
作:雨寺かえる



Chapter3


 
 ぼくらの通う、県立、樹伍条町じゅごじょうまち第一中学校は、風安堂から歩いて三十分くらいのところにある。バックに見える、浅茅山あさじさんの緑に映える、薄いクリーム色の校舎が特徴だ。

 風安堂から十五分。いつもの通学路から少し外れた、小高い丘。ぼくらはここを、「風見鶏の丘」と呼んでいる。名前の由来は、ここからだと、屋根の上に立ってる風見鶏のように、町の全体を見下ろせるから。

 樹伍条町は、この丘を境に西側から、深くえぐれてる形になるんだ。風安堂は、この丘より東にある。だから、風見鶏の丘をちょっと登るだけで、町のほとんどを見渡せる。

 この「風見鶏の丘」を登ると、学校の校舎が顔をのぞかせた。ここからだと、ちょうど校舎を見下ろす形になる。
 
 あとはここから、学校に向かって駆け下りるだけ。本気で走れば五分もかからないから、いつもより、十分は短縮できる。(まあ、転ばなければの話だけど。スピードがついて危ないから、しょっちゅう転ぶ。んで、そのままゴロゴロ学校まで転がってく。これ、めちゃめちゃ痛いんだよね……)

 遅刻しそうなときは、風見鶏の丘経由で、学校に向かう。おかげで、ここ数ヶ月、遅刻はしていない。いつもお世話になってます。

「タクヤ、今何時?」


 隣を歩くタクヤに聞く。

 タクヤは自分の右腕にした(タクヤは左利きなんだ)腕時計を見る。その顔が、スッと青ざめていく。

「おい、ヤバいぞ。寄り道のしすぎだぜ」

「どれどれ? ――!!!」

 時計を覗き込んだぼくとナオ。そして、ぼくらの顔もタクヤと同じく、真っ青になった。

「十時、五十八分……」

「…………」

「……走れぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

 風見鶏の丘を疾走するぼくら。その速さは、並みのサルをゆうに超し、もはや飛ぶように緑の急斜面を疾駆する。

「うおおおおおおおおおおお〜〜〜っ!」

「うりゃあああああああああ〜〜〜っ!」

「うわああああああああああ〜〜〜っ!」

 そして、あまりに早く駆けおりようとするあまりに――。

 風の速さで動こうとする身体に、足がついていけなくなった。

 身体が先へ先へと動き、足が遅れる。

 ゆえに、最後尾を走るぼくの身体は、どんどん前かがみになっていく。

 結果――。

 ぼくの身体は、上半身を支えきれなくなり、前に思い切りつんのめって飛んだ。

 それからは、まるで誤って倒したドミノのよう。

 前を走るタクヤの背中に、ぼくの身体がクリーンヒット。

「おがあっっっ!!?」

 突然、しかも想像しない(できない)方向からの攻撃に、タクヤは奇声をあげた。タクヤの背中は、まっすぐだったのがいっきに反り返り、足ももつれる。

「ちょ……おおっ……と、貴様……ああ!」

「黙れタクヤぁ!! 舌を噛むぞお!」

 巨大なひとつの塊となって、ゴロゴロゴロゴロ丘を疾走するぼくとタクヤ。

 後ろを走っているはずのぼくらの異変に気付いたか、ナオが止まろうとする。

「え?なに?おおい、だいじょぶかよ?」

 や……やめろ、止まるんじゃない!巻き込まれるぞ!ていうか、タスケテ〜〜。

 バシッ。

 ゴロンドカッ!

「うやあああ……」

 ナオの奇声が聞こえる。ああ、これで、坂を転がるぼくらを止められるものは、いなくなったな……。


「オマエがこけるからいけないんだろお!?」

「だからしゃべるな、タクヤ!」

「るっせえ! だいたい、二人がとつぜん俺にぶつかってきたんだ! オトシマエ、つけてくれんだろうな!」

 ナオ、口調がヤ×ザみたいだ。

「責任つったってこんな状況でとれるか――うぎゃあ!!」

 上の歯と下の歯が、ベロをはさんでがちんと鳴った。ぐわあ、マジで痛い。

「へっ、自業自得だ! ざまあみろっ!」

「俺の反り返った背中も責任取れ、ユヅキ」

「ええい、オマエらもいい加減黙れ! 口が血まみれなんだよ!」

「だいたいナオがいけないんだろうが! 俺やユヅキがオマエをなだめてるのに、オマエちっとも聞こうとしないから!」

「それはユヅキが悪い! あそこでじゃんけんに負けてなければよかったんだろ!」

「ぼくは負けてもしらないぞっていっただろっ――ぐはっ!」

 ゴロゴロゴロゴロ……。

 ぼくらは仲良く、風見鶏の丘を転がっていくのでした。












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