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アストロノート・モンキーズ! #1
作:雨寺かえる



Chapter17


「…………」

 場は、静寂に包まれた。

 ただ、短い命を繋ごうと、必死で鳴くアブラゼミのジジジジジ……という声が聞こえるだけ。

 いつもは当然のように流れるBGMだと思って、気にも留めてなかったけど、改めて聞くとやっぱりすごい声だ。

 さて――。


「もう一回いいましょう。お話、聞かせてくださいませんか? ミノタウロスさん」

 静寂を突き破るぼくのことばにも、河和先生は不敵な笑みを浮かべているだけ。

 なにもいわないつもりか、否定も肯定もしない。

「なにいってんだ、ユヅキっ」

 ナオがとなりでどやす。

「センセはさっき、その……美濃田売るっス……だっけ?」
「ミノタウロスね」

 なんだその岐阜県の田んぼを売り飛ばすみたいなの。

「そうそう、ミノタウロス……を、プールで見たっていってたじゃんか。だから、センセとミノタウロスは別人だろ?」

 ナオの愚問・・を、ため息で吹き飛ばす。

「あのね、そんなんが推理っていうのなら、幼稚園児でも名探偵になれるよ」

「むぐ……っ」

 何かいいたげだったけど、今のぼくには敵わないと思ったのか、ちょっと呻いただけでおとなしく黙った。

 それでいいのさ。キミには、キミの出番がある。

「――では、その変装、解いていただけますか?」

「…………」

 また、だんまり。思ったより、往生際が悪いよ。紳士的じゃないな。

「やっぱり、ミノタウロスじゃないじゃんか」

 タクヤが口を挟む。

「ミノタウロスは、もっと紳士ジェントルマンだろ?」

「そうですね……。『紳士的じゃない』とは、聞き捨てなりませんね」

「ほら、ミノタウロスもそういってるよ――」


 …………。


「――え!?」

 河和先生が突然立ち上がり、盛大に拍手した。

見事ブラーヴァ! ――結槻様、よくぞ見破られた! なかなかおやりになりますね」

 その声は、ほかの誰でもない。

 ミノタウロスのものだった。


 やっぱりね――。


 そのときのみんなの反応といったら、実に多種多様だった。


 タクヤは、驚いて口をパクパクさせてる。ナオは、マンガのひとコマみたいに大げさにずっこけている。

 キャーキャー黄色い声を上げてるのは、ミキ。そのとなりで、わーおとつぶやいて、眼を見開いたユウヒ。

 ショウヤの無表情ポーカーフェイスにも、多少の引きつりが。

 ジュンは、驚きすぎて凍ってる。完全、凍結フリーズ



「それでは、お話を――」

 ぼくのことばを、ミノタウロスが遮る。

「お待ち下さいませ、結槻様。なぜ、結槻様が私の変装を見破ったのか、まだ、ほかの皆様方がご理解なさっておりませんよ。ここはひとつ、説明していただけますか?」

 それもそうだ。ぼくはうなずく。

「いいですよ」

「承知致しました。では皆様方、何か質問はございますでしょうか? 結槻様が説明して下さいますよ」

 ぼくが説明すんのかよ! (あ、当たり前か)

「ハイ」

 真っ先に手を挙げたのは、ジュン。

「なんでしょうか、准様」

「とりあえずその格好でミノタウロスさんの声を出さないで下さい。イメージが壊れます」



「では改めまして――。なにか、ご質問は?」

 ブレザーとチノパン姿に戻ったミノタウロスが、この場を仕切る。

 どうやって変装をとくのかなーと期待してたら、ベッドのカーテンを一瞬シャーと閉めて隠れただけで、河和先生はミノタウロスに戻っていた。(しかも、顔が見えない、絶妙な身のこなし)

「ハイ」

 ナオだ。

「なんでしょうか、柔巳様」

「いやあの、ユヅキに聞いてるんで……」

「失礼致しました」

 ひどいなナオ。ていうかもっと食い下がれよミノタウロス。

「いきなり核心の質問で悪いけどさ、なんでわかったんだ? センセがミノタウロスだって」

 ナオの質問に、ぼくは大学教授の気分で答える。

「先生の台詞に、いっこ決定的におかしいところがあったんだ」

 0.67秒後、ナオはこたえた。

「どこだよ」

 もっと自分で考えろよ。てか0.67秒っていくらなんでもあきらめんの早すぎだろ。

「人に頼るんじゃない!」

「ユヅキのケチ」

「うっせー!」

「…………」

 言い争うぼくらを見るみんなの視線が、若干蔑みを含んでいるっぽいのは、気のせいかな?

「でも、それ、ぼくも気になる」

 ユウヒが口を開く。それを追うように、みんな一斉にうなずいた。

「ねー、探偵さん、もったいぶらないで教えてよー」

「ほんとだよね。早くー」

「…………」

 ぼくは、小学校の先生の気分になった。


 
 こんにちは、雨寺です。
 学生の方は、冬休みに突入しましたね。もう2007年も終わりなんだと思うと、今年は時が過ぎるのがはやかったなぁとしみじみ感じます……;
 年をまたいで引っ張らせて、申し訳ございません。もっと速いペースで書けると思っていたんですが、甘かったですね; 
 それでは、おやすみなさい。雨寺でした。
 











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