アストロノート・モンキーズ! #1(10/24)縦書き表示RDF


 
12/14 うわぁあぁ。再び誤字ほったらかしてましたあ。
   「おれ、へって死にそう〜」て! 何!?
    原さんが減るのか!? (全国の原さんゴメンなさい)
    正しくは「腹」ですね。修正しました。
    申し訳ございませんでした。
 
アストロノート・モンキーズ! #1
作:雨寺かえる



Chapter8


「ふう、もうこんなカンジでよくない? お昼にしよう」

「そうだね」

 ミキの提案に、ユウヒがゆっくりうなずいた。

「やった、飯だあ!」

 その声を聴いて、飛び跳ねる鳴沢。

 ……ん? 鳴沢?

 みんなの視線が、いっせいに鳴沢にむく。

「な、なんだよぉ、その眼は。おれ、(どっかの会員のせいで)からだじゅう傷だらけになったっていうのに、(どっかの会員の命令で)わざわざ手伝いに来たんだぞ」

 ふたつのカッコのなかを(どっかの会員には)聞こえないようにいう鳴沢。

「ていうか、おれ掃除始まってすぐここにきたけど、誰も気づかなかったんだぞ。おれ、そんなに印象薄いのか?」

 みんなの「いつからいたの?」という心の声が聞こえたのか、鳴沢のほっぺがむくっとむくれる。

「あれ? 鳴沢くん、なんでいるの?」

 不思議そうなユウヒの声。あ、そうか、あの「鳴沢 准を抹殺する会」事件のとき、ユウヒは寝てたんだっけ。そりゃ、しらないよね。

「大丈夫、キミはしらないほうがいい」

 ぼくは、ユウヒの肩にぽんと手をおく。首をかしげるユウヒ。

 そのとき――。

「やっときたか」

 そうやって声をかけたのは、思いもよらず、タクヤだった。口調は荒いけど、なんか、鳴沢を待ってた感じだった。

「こっちは人手不足で困ってたんだぞ」

 つづいて、ナオまでもがいう。ど、どどどどうしちゃったんだ、このふたりは!

 いつもなら、

「おらぁ、てめーくんの遅すぎんだよ! それとも×してほし(自主規制」

「怪我してるなんていいわけにはなんねえよそれとも×して(自主規制」

 みたいな怒涛のラッシュが鳴沢を襲うのに! そんでまた鳴沢が保健室行って、帰ってきたらまた

「今までどこいってたんだこのドあ(自主規制」

「てめー逃げられると思って(自主規制」

 とかいうすでに横車ないいがかりがきて、また鳴沢が保健室行って帰ってきたら以下略。

 とにかくものすごい殺人ループが連鎖するはずなのに! 今日はなんなんだ?!

 ――なんて考えてたら、今度はぼくが保健室行きになりそうなので、ここらで止めておきます。後が怖い。真実の意味で。なんたってあいつらは、人の心が読めるんだから。しかも、自分に都合の悪いことばっかり。

 たかがこんなことで、なんて思ったりするかもしれないけど、あのふたりは、たかがこんなことで、鬼になるやつらだ。

 ましてや、長い付き合いのぼくだ。ナオとタクヤのことは、なんでもわかる。

 そのうえで、こんな状況で、やつらが怒らないのは、世も末って感じがします。いや、大げさでなく――やっぱ大げさかな……?

「とーにーかーく!」

 あ、鳴沢怒った。

「メシにしようぜ、メシ! おれ腹へって死にそうー!」

「そのまま×ね」

 冷たく切り返すタクヤ。でも、その顔には、笑みが浮かんでいた。



 ぞろぞろと、ならんで歩いて教室にもどる。なんで縦にならんでるかは……保留ってことにしとこ。ショージキ、ぼくにもワケわからん。

 せりふの順にならんでます。以下、食い意地のランクと同じ。

「にしてもさ、松澤と花宮はさ、腹減ってねえの?」

 これは鳴沢。こんなとこでも食い意地アピールか。

「ジュンとは違うんだよ、ジュンとは。何でも自分を基準に考えるなよ」

 ショウヤのきびしいツッコミ。でもさ、自分もそういうけど、ならび順二番目ってコトは、食い意地も二番目ってことだよ。

「なあタクヤ、翁のつくってくれた弁当、おかず、何だろな? 卵焼き、はいってると嬉しいんだよな」

「翁、今日はきんぴらごぼうだっていってた」

「…………」

 この会話を解説すると、最初がナオ、次の冷静なうけこたえはタクヤ、そのあとが黙ってしまったナオとミキ。

 意外と子供っぽい食べ物が好きなんだよな、ナオ。これ、本人にいったら、「ガキあつかいするんじゃねえ!」って、怒られるけど。とりあえず、食い意地三番目。

「ぼくはきんぴらごぼう、好きだよ」

 そういったら、タクヤもうなずいた。それをみて、むくっとふくれるナオ。

 六番目を歩くぼくは、食い意地以下略。

「…………」

 最後を歩くユウヒ。もともと口数が多いほうじゃないけど、さっきから声が聞こえない。

「おーい、どうしたー?」

「……zzz」

 寝てる!? 寝てんの? 歩きながら!? すごいよ、ユウヒ! 寝ることに関しての執念は間違いなくあんたが一番だよ、ユウヒ!

 とはいったものの、寝たまま歩くのは危ないので、ユウヒを軽くゆすって起こした。

「うあっ、き、きんぴらごぼう!」

 それ寝言ですか? 夢の中で弁当の中身透視したの? ていうか何の夢をみればきんぴらごぼうが出演するの?

 いろいろつっこみたいとこだったけど、寝起きのユウヒが、ものすごく幸せそうだったから、やめた。



 教室に到着。

 と同時に、鳴沢は弁当を広げる。

「抜け駆け禁止!」

 とたんに、ナオにどつかれた。

「ごはんは、みんなで楽しく食べような」

 タクヤの声からは、どす黒い何かが感じ取れる。

 小さく縮こまった鳴沢を無視して、みんなランチの用意をしてる。あわれ、鳴沢……。

 ぼくは鳴沢の肩を、ポンとたたいた。

「つらいよな、うんうん。わかるよ、鳴沢の気持ち」

「空石……いや、ユヅキ……」

 涙目になって、ぼくの顔を見上げる鳴沢。ううん、これからはジュンって呼ぼう。

 なんか、仲間意識が芽生えてきた。

 ん? なんか、ぼくジュンにしなきゃいけないことがあったと思ったんだけど……なんだっけ。

 ま、なにはともあれ――。

「いっただっきまーす!」

 平穏無事なランチタイムが、ようやく訪れた。

 みんなで、弁当のおかずを交換したり、ご飯を口いっぱいにほうばったり。

「ごっちそうさまでしたー!」

 の後は、世間話とか、恋バナとか、教室を暗くしての怪談話とか。とにかく、無邪気に、楽しく、あごが疲れるほど話して、笑って、話して、笑った。

 この後起こる、まったく現実離れした事件のことなど、露ほども、微塵も考えずに――。













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