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うろな駅係員の先の見えない日常 作者:おじぃ

咲月と鯨の恋愛編

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夢へ駆け出す

 気温30℃を超える真夏日。なぜこんな日に江ノ島往復ジョグなどするのか。僕にとっては拷問以外の何でもない。陸上部に入部したのは、将来鉄道会社に入って、夢である電車の運転士になるため。鉄道の仕事は殆どが体力を要するもので、駅や乗務員などの運輸関係は徹夜勤務が基本。体力が持たずに退職する人もいるという。きっと僕もこのまま入社したらそうなってしまうだろう。だから前もって体力をつけて将来に備えようと思ったのだ。

 学校からサイクリングロードに移動すると、暑くて倒れてしまいそうな僕を余所に長い長いジョグが始まった。部長をはじめ長距離ランナーは最初からハイペースで、あっという間に見えなくなった。短距離や砲丸投げなど他の競技を中心に活動している部員は割とゆっくり走り、僕はその集団の最後部を走っていた。

 しかしその集団も段々と僕を引き離し、気が付けばもう追い付く気など起きない差となってしまう。それでもいつも一人、僕の三歩先に留まってくれる人がいた。片瀬咲月さん、一つ上の先輩だ。元来面倒見の良い人らしく、部で孤立している僕に構ってくれる。僕にとってそれは少しだけ嬉しくもあり、お節介でもあった。話し掛けられても殆ど肯定否定の返事しかできない僕に愛想を尽かすのではないだろうか。そう思いながらもうじき3ヶ月が経過する。そろそろだ。この人に見放されて本当に孤立するのは。教室での独りぼっちはもう慣れた。だけど集団行動の部活動での孤立はやりづらい。孤立したら部を辞めて一人で体力づくりをしよう。そう考え始めていた。

 ふと思考を止めて意識を目の前の風景に戻す。江ノ島はまだまだ先で、高湿度の猛暑による身体の渇きと自らが発する熱気と汗、海から吹き付ける潮の不快感が絶望の窮地へ追い込む。三歩先の片瀬さんが見えなくなるくらい先行してくれれば歩いてしまえるのにと、心が夢の実現とは逆方向へ走り出す。それと同時に、席に座ってハンドルを握る電車の運転がこれほど体力を削ぐものなのか? そうでもないだろう。こんなに辛いなら殆どの人が電車を安全に運転できるわけがないと、余計な分析をしてしまう。

 ただ、夢を実現するために僕にも出来そうな精一杯の努力は、目の前の片瀬さんについて行くことだ。だからせめて、ゆっくりでも夢へ向かって駆けてゆこう。胸中で言い聞かせて、僕はベタつく汗まみれの身体をひたすら揺り動かした。
 ご覧いただき誠にありがとうございます!

 作中でも述べましたが鉄道の仕事は体力が必要で、私は痩せ型体型ですがランチは800キロカロリー前後です。3時間もすればまた空腹に見舞われますw
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