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うろな駅係員の先の見えない日常 作者:おじぃ

駅係員たちの日常編

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前座

 一発芸を閃かせた成夢は駅へ戻り、駅長の許可を取って嵩の深い女性用制帽を持ち出した。制帽のシリアルナンバーが示す使用者は行谷なめがやエレナ。ちなみにエレナには無断借用。

 駅前のコンビニに寄って炒り豆を買い中央公園へ戻った成夢はそれを芝生に撒いてハトを餌付けした。そう、今回の芸は帽子からハトが飛び出す定番のマジックショーである。

「マジックの明暗はおまえたちに懸かってるからな」

 ムシリと気温が上がり賑わうステージから離れた公園の隅。足元の芝生をつつく十羽のハトに言い聞かせる成夢。ぽっぽぽっぽ、ハトは夢中で炒り豆を飲み込んでいる。成夢に耳を貸す筈もなく。

「みんな行くわよお! 楽しむ準備はいーい!?」

「「「おー!!」」」

 13時58分、ステージ裏。いよいよ本番直前。黒く暑苦しいブレザータイプの制服に身を包む成夢、クールビズ制服姿の洋忠とバニーガール二人は円陣を組んで気合いを入れた。エレナはほんの1時間前までバニーの格好を嫌がっていたが、意外と早く順応したようだ。

 右から心南海、洋忠、成夢、エレナの並びでステージに立ち、100名ほどの観客に一礼した。

「皆さんこんにちはー!」

「こんにちは~」

 前座での司会進行を務める成夢がマイク片手に挨拶をするが、観客からの反応はイマイチ小さい。

「あれあれ~声が小さいな~。夏ですもんね~仕方ない」

 その流れで会社名とバンド名、メンバーそれぞれの紹介をし、さっそくマジックショーを始める。

「さあさあこちらにございますのは~、当社の女性社員が使用しております制帽でございま~す。種も仕掛けもないただの制帽で~す」

 成夢はエレナの制帽の中を客席に向けて見せる。この時点でまだハトは居ない。そのまま鳩尾みぞおちに腕を添え、深くお辞儀をする。この時に制服の袖からさきほど餌で釣った十羽ハトが制帽に進入。次に制帽を上下逆向きに持ち客席方面へ左手を伸ばす。そして制服の右ポケットから30センチメートルほどの白いステッキを取り出し、制帽のつばを軽く叩くとハトが大空へ飛び立つシナリオだが…。

「ちょっとちょっと!? まだ出ちゃダメ!」

 成夢がつばを叩く前にハトは飛び出してしまった。しかも大空へ飛び立つのではなくステージに着地してトコトコ歩いている。成夢は思わず前屈みになって手を伸ばし、ハトを追い掛ける。

「話が違うだろ! 豆あげたら芸に付き合ってくれる約束じゃないか!」

 か細い声でハトに文句を言う成夢。しかしそんな約束は成夢が一方的にしたもので、ハトには通じていない。

 メンバー一同冷や汗をかき、客席からは冷やかしの笑い声。会場がむず痒い空気に包まれる。

「さ、さぁ! 私たちのステージは音楽がメインです! 気を取り直して音楽いってみよう!」

 空気に耐えきれなくなった心南海はすかさずメインイベントへの転換をメンバーに促す。成夢は大音量の演奏でハトの体調を崩さぬよう、炒り豆でステージの裏へ誘った。

 今度こそ、最高のステージを。一同は衣装チェンジのため、一度ステージ裏へ引っ込み、素早く着替えて気まずい空気が消えないステージへ再登壇した。

 ご覧いただき本当にありがとうございます!

 遅れておりますお祭りの模様ですが、次回、ようやくメインです。
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