挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
うろな駅係員の先の見えない日常 作者:おじぃ

駅係員たちの日常編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

19/100

夜の共同作業

 日付変わって0時。雨が上がり、雲間から星がちらちら見える。成夢、エレナ、理一、心南海を含む社員20名は、終電と降車客がすべて去ったうろな南線のホームにしゃがみながら作業着姿で古い乗車口ステッカーに剥離剤をかけていた。

 うろな南線の終電は上下線ともに23時50分着の23時55分発、うろな北線の北うろな方面、うろな温泉行きも同時刻発着。うろな本線は上りが0時5分発の商川あきないがわ行き、下りが0時55分発の宿場町行きとなっている。

「大辻くん、うろな本線のうろなより東の駅を順番に言ってみて」

 しゃがみ込みステンレスのヘラでステッカーを掻きながら剥離剤の浸透を促す一同。エレナは左隣の成夢に問うた。

「えーと、東うろな、海浜公園、西見渡川にしみとがわ、見渡川、東見渡川ひがしみとがわ西商川にしあきないがわ、商川、畑町はたまち浜百合町はまゆりちょう初橋ういはし快楽町かいらくちょう、桃源郷です」

「よくできましたー!」

 エレナは成夢の頭をポンポンして褒めた。年上の女性にこういうことされるの弱いんだよと、成夢は照れ隠しに俯いた。

『まもなく、2番線に、回送列車が、まいります』

 自動放送の男性の声が告げた。この列車を停止位置ピッタリに停め、ドア正面の黄色い点字ブロックの内側に新しい乗車口ステッカーを貼り付けるのだ。

 まもなくステンレスの車体に赤い帯を纏った4ドア車両が到着。早く貼り付けないとこの先の駅の社員に迷惑をかけるので、一同は素早く作業を終えた。4ドア10両編成、計40箇所のドアがあるため、20人で作業を行う社員のノルマはひとりあたり2ヶ所となる。

 1分後、全乗車口のステッカー貼り付けを確認し、電車はグォーングォーングォーンと高周波な音を発てて発車した。

「あれ、GTOのままなんだ…」

 成夢の左隣で作業をしていた理一が言った。

「グレートティーチャーですか?」

「『ゲート・ターン・オフ』っていうインバーターのスイッチング素子です。現在ではIGBTというものが主力で、GTOを使用していた車両も改造工事でそれに取り替えられつつあります」

 淡々と語る理一の言葉を、成夢はほとんど理解していない。

「IGBTだと、イグニッション・ブーストの略ですね!?」

 俺って冴えてるぅ! と脳内で舞い上がる成夢だが、残念ながら不正解。

「絶縁ゲート電界効果トランジスタ…だっけ?」

 理一の左隣に立つ心南海が首を傾げながら言った。

「そう。インシュレーティット・ゲート・バイポーラ・トランジスタの略」

 傍で聞いている成夢はもはや混乱状態。電車について調べるならオンナゴコロの不思議について調べようぜ! と言いたいが言えない。

「二人ともよく知ってるね!」

 エレナが理一と心南海の間に割って入った。

「鉄道の常識ですから」

「あ、う、うん、そう、かもね…」

 実はエレナ、営業関係の知識はあってもメカニック関係はあまり詳しくなく、GTOやIGBTという言葉は記憶の隅にある程度だった。鉄道会社へ入社するにあたり、鉄道関係の知識は特に必要ないのである。

「えれぴードンマイ!」

 心南海はエレナの左肩をポンポン叩いて宥めた。

「私も勉強しなきゃね。工場でも見学して車両の下に潜ってみようかしら」

 その時、成夢は『俺はエレナさんの下に潜ってみたいです』と言いとどめた。

 この後、1番線のステッカー貼り付けも無事に終了し、剥離剤が浸透した古いステッカーを剥がし、更にその痕から3ドア車用の新しいステッカーを貼り付けて業務は終了。今回の勤務はうろな本線終電後の駅の閉場、初電前の開場と、朝のラッシュアワーを残すのみとなった。
 ご覧いただき本当にありがとうございます!

 一度データを消失いたしましたが、なんとかゴールデンタイムのうちに更新できました!

 作中のGTOやIGBT、私も詳しくは知りませんwww
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ