!警告!
この小説は18歳以上を対象とします。18歳未満の方は移動してください











初恋
作:MIYABI



結末


今日子とのデートから4日目の事だった。
家へ帰るといつもは妻の恵理が食事の支度をしながら待っているのに、ドアを開けると真っ暗なままだ。

リビングのソファーには恵理が泣きながら座っている。
とっさに今日子の顔が浮かんだ。
私は努めて冷静を装い恵理に声を掛けた。

「ただいま、どうしたんだ?」

恵理はただただ泣くばかりだった。
テーブルの上には一通の手紙が置いてある。
封筒には綺麗な文字で私の宛名が書かれ、裏には差出人として今日子の名前が。
しっかりと封は開いていた。


全てを悟った。
今日子から、二人のことが赤裸々に書かれた手紙が来たことを。
手紙を素早く取り上げ中身を読む。



しげる君、奥様へ

私はしげる君とお付き合いをさせて頂いていた今日子と申します。
すでに過去形での表現となります。

奥様、私のした行為を許して下さい。
知らなかったこととは言え、しげる君と身体の関係を結んでしまっていました。

昨日、しげる君に教えてもらった部屋を訪ねて全てを知りました。
どうして私を部屋へ呼んでくれなかったのか。
どうして結婚の話題に触れてくれなかったのか。

2年前に私がしげる君のプロポーズを断ったことが全ての原因になります。
あの時ちゃんと受け止めていれば、誰もこんなに辛い思いをしなくても済んだのに…
私が過去を捨てきれなかったのが原因です。
しげる君の優しさに甘えてしまっていました。

奥様、もう2度としげる君とは連絡を取らないことを誓います。
どうかお許し下さい。
そしてしげる君と幸せになって下さい。

                        今日子



読み終えた手紙を握りしめた。
今日子への申し訳ない気持ちが体中に充満するようだった。
それと同時に、妻の恵理を傷つけてしまったことに対する後悔が湧いてきた。


泣いている恵理に声をかける。

「ごめん、この手紙のことなんだけど…」



恵理が言葉を遮る。

「ねえ貴方、どうしてなの? 私じゃダメなの?」

言葉に詰まる。
私の中では恵理しかいない。
だけど、私が行った行為は…


恵理が落ち着くのひたすら待つ。
1時間ほどして恵理の泣き声が治まる。

「恵理、傷つけてごめん」
「俺には恵理しかいないと思っている。だけど…」
「とにかく、何も言わずに最後まで話を聞いて欲しい」


私は今迄のことをすべて話した。
中学生だったころ、高1での再会、恵理に出会う前の話…
そしてプロポーズを断られた話。
この時に断られた事が、二人のボタンの掛け違いになっていたことを説明した。


手紙では今日子が悪いと書いていたが、俺が結婚していることを言わずに誘ってしまったこと。
理由は俺の中でわだかまりが残っていて、その気持ちを整理したいがためだったこと。
身体の関係を結んでしまった事に対して、恵理への謝罪の気持ち。


恵理に許してもらうためには、どんなことでもすることを話した。
しかし、許してもらえないことも覚悟しているとも…


何も質問することなく、最後まで聞くだけの恵理。

沈黙が続く…




身動きひとつ出来ないような空気の中、恵理が口を開いた。

「別れることも考えた…、でも出来ないの…」
「私には帰る家なんてもう無いのよ…」

駆け落ち状態で暮らしだしたのだ。
恵理は家を捨てて来たのだった。

私は事の重大性に改めて気付いた。


「今日子さんにちゃんと謝って。そして別れをはっきりさせて」

恵理が叫ぶように言った。


私は恵理の目の前で今日子に電話を掛ける。

「手紙を見たよ…、俺が結婚していることを言わなかった」
「傷つけて本当にごめん。そしてこれが最後の電話だから…。2度と連絡をしないから」


今日子も言葉少なかった。
電話の向こうから、あの日のような泣き声が聞こえた…


こうして二人のすれ違いの初恋が終わった。
お互いに想う気持ちはあったのに…
タイミングが合わなかっただけで…


私の取った行動が、みんなの心に傷を残してしまった。



完結


中学時代の恋愛に慣れていない時のドキドキ感、大人になってからの男の狡さ、そして自業自得な結末。
私の自叙伝みたいな物です。
感想を頂ければ今後の励みになります。
よろしくお願いします。








ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0)


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP


小説家になろう