先生は17歳!?(98/100)縦書き表示RDF


今回のショートはサブキャラ重視で……
あのキャラが登場しています
先生は17歳!?
作:takuto



Another Episode20 Short Storys 参


Story6 佐藤(仮)の部活動


「そう言えば、佐藤。実はお前って、バレー部員なんだって?」


朝の登校、俺と佐藤は偶然に鉢合わせ、二人で学校へと向かう途中
ふいに俺は思い出すかのように佐藤に向け、そんなことを言い放っていたのだった。


「実は……ってのが無性に気になるが、確かにそうだけど」


少し不満げな表情で答える佐藤
さすがはツッコミの伝道師。細かな点まで見逃しはしない。


「へぇ〜。何気に部活やっていたんだな、佐藤。普段は何やっているんだ?球拾い、それとも
審判?もしかして飲み物を持ってくるパシリ的な――――」
「OK。その言葉で伝馬が考える俺の評価が分かった気がする。っていうか!
どこのマネージャーだっ!選手、俺はバレーの選手なの!」
「………えっ、マジで?」
「なっ、何?その意外すぎる表情はっ!」


当たり前である。俺の中でのイメージでは汗を流しながら、あくせくと選手のために働く姿や
日陰でポツンと球拾いする姿しか思いつかない。
意外にもほどがある事態である。


「なっ、なら毎日のように頑張って練習するけれど報われない補欠選手B的なポジション?」
「どこまでショボイポジションなんだよ、俺はっ!ちなみに言っておくが、俺は一年の時から
レギュラー選手として活躍しているよ」


またまた衝撃の事実!
レギュラー、それも一年からだとぉ!


「この前はポジション別で、県の優秀選手賞にも選ばれたんだぜ」


……………!!!?
言葉では言い表すことの出来ない驚き
まさか、そんな……佐藤が知らないところで顔に似合わない
アスリートっぷりを見せていたなんて
やはり神は全知全能。こんな地味男すらも見捨ててはいなかったということか(失礼)


「すげぇな……素直に感心したぜ、佐藤」


純粋に出てくる、屈託のない言葉


「やっぱりアタックとかするのか?プロみたいにズバーンって!それ以外にもジャンプ力を
生かしたブロックとかか!いやぁ、カッコいいじゃねぇか!」


素人的な知識ながら、テレビなどで見る光景を佐藤に被せる。
すると、佐藤が格好良く跳躍する姿が浮かび上がって……


「……いや、俺はブロックもアタックもしねぇよ。つうかできねぇ」


とは裏腹に寂しげな佐藤の言葉がポツリ


「……ぅん?それはどういう――――」
「俺のポジション、リベロ……だから」


こんな清々しい晴れた日だというのに、なぜか冷たい風が吹いた気がした。
俺と佐藤の間に流れる、沈黙の時間
リベロ……リベロとはバレーを知っている方はご存知であろうが、守備専門のポジション
であり、ネットより高い位置でボールを触れたり、トスすることが出来ない選手のこと。
簡単に言うと、リベロ経験者には言葉が悪いかもしれないが、地味なポジションである。
佐藤にぴったりすぎるくらいに……


「あぁ……えっと、でもリベロって縁の下の力持ちっていうか重要な役目だし!」


なんとかフォローを入れる、俺


「それにリベロは佐藤に合っているポジションだと俺も思うし……」


しかし、この言葉が引き金になってしまったのだろう
その言葉を聞き、佐藤はゆっくりと視線を遥か彼方へと見つめ


「分かっているさ、分かってる。俺にはお似合いの場所だってな、言われなくても……でも」


大きく一歩を踏み出し


「同情するなら、俺にスポットライトを当ててくれえぇぇぇぇぇぇえぇえええええ!!」


叫びながら、彼は走り始めたのだった。
俺はただ哀愁ある背中を眺めながら

今日はあいつ遅刻かな……

そんなことを思い、持っていた出席簿へと印をつける俺なのであった。



Story7 須藤の部活動


扇山高校敷地内
俺はある場所に向け、この広い敷地内を一人歩いていた。
その場所は吠えるような男達の声が聞こえてくる


柔道場へと………


そこが須藤が所属している部活、柔道部の練習場所であった

数日前……
昼食中、俺達三人は部活動の話となり、須藤が柔道部に所属している
かつ部長であることを、この日始めて俺は知った。
熱く語る日々の厳しい練習、他の部活とは何かが違う圧倒的な雰囲気
何故か妙に興味がそそられた自分がそこにいた。
そして今日、須藤の許可を得て、見学に至った訳である。
高まるワクワク感を抑えながら、ゆっくりと扉を開く。
すると、そこには……


「………はぁ?」


見知った顔である幼馴染の姿が、瞳の中に映りこんできた。
……いや、待て待て。落ち着け、落ち着くんだ俺
何か変なものが視界に、この神聖な道場ではありえないモノが見えた気が
俺は一つ、大きな深呼吸をした後、再び


「はぁぁぁぁあぁぁぁぁああああ!!!」
「そりゃぁぁぁぁぁあああああ!!!」


気合の入った掛け声がそこら中に駆け巡り
どこかテレビなどで見かけたことのある柔道場の空間が広がる中


「なっ、なぜ飛鳥の写真が……それもあれ、奉られてるぅ?」


壁の至る所に張られている、我が幼馴染である飛鳥の写真に
呆然とした表情を浮かべずにはいられない俺。
そのまま不思議な光景を暫く眺めていると


「クッ、もうダメだっ……」


畳の上に倒れ掛かるようにして沈む、名も無き少年A
体中から汗が吹き出ており、傍から見ている俺でも限界なのがありありと分かるそんな状況
そんな彼の元へ、周りの人達とは風格が一段いや、三段くらい違うおっさん……
もとい部長である須藤が姿を現し、近づいていく。


「どうしたぁぁああ!!もう限界かっ!」
「むっ、無理です。一歩たりともここから動くことなど」


体の限界を訴える少年A
しかし、須藤は


「なにぃぃぃぃぃぃいいいい!!一歩たりとも動けんだとうぅ、弱音言ってるんじゃねぇ!」


圧倒的迫力で須藤の言葉が飛ぶ。さすがは部長、気合の入った言葉に
須藤の凄みを感じずには……


「ならぁ、飛鳥ちゃんに誓えるのかっ!」


そうそう、飛鳥に………えっ?
この場面じゃ、あまりにも場違いな言葉が須藤から聞こえた気がした。
違う、気ではなく間違いない。須藤の口からそんな言葉が放たれていた。


「飛鳥ちゃんの前でぇ、無理だと言えるのかっ!情けない言葉が吐けるのか!」
「………クッ!」


悔しそうに顔を歪める少年A……ってなんでこんな展開に
俺にどういうことか説明を小一時間


「どうなんだ、オラぁぁぁああ!!我が女神である飛鳥ちゃんの落胆した顔が見たいのか
お前はっ!!!」
「みっ、見たくない……見たくないです!」
「ならガッツを見せろぉぉぉぉぉおおお!!」
「おっ、押忍っ!うらぁぁぁあぁああ!!」


先ほどまでの疲れはどこへやら、まるで別人のごとく練習に取り組む少年A
須藤はその姿を見届けた後、皆に向け声を掛ける。


「お前らぁ!俺達には誰が付いているっ!」
「押忍っ!飛鳥ちゃんです!!」
「お前らぁ!この力、誰のために捧げるっ!」
「押忍っ!飛鳥様です!!」
「だったら気合を見せろぉぉぉおお!次の大会、飛鳥ちゃんのために絶対勝つぞぉぉおお!」
「うぉぉぉぉおおおおおお――――」


そこで俺はピシャリと扉を閉じた。
俺はゆっくりと柔道場を回れ右をし


「アイドルのコンサート会場ってこんな感じなのかな……」


そんなことを思いながら、俺は柔道部(飛鳥親衛隊)を後にするのだった



Story8 扇山高校校内新聞にて


扇山高校、生徒会副会長綾乃薫
女性顔負けのスタイルと美貌を兼ね備え
この学校に君臨する生徒会長綾月蓮と共に、圧倒的な支持率を得ている人物
それだけではなく、学校の成績も抜群であり
あらゆる学内テストで毎回のごとく一位、全国模試であってもその勢いは留まる事をしらず
全国で5本の指に入った経験もある秀才である。
生徒から、副会長について意見を求めてみると……


「綾乃さん?凄いと思います!頭も良いし、美人さんですし!女性の私が泣きたくなるくらいに……」
「薫ちゃんはスポーツも万能なんだよっ!この前の体育の時も凄かったな〜」
「彼女にしたいです!いや、マジな話で……」


と言った尊敬、羨望の声からちょっと危ない恋人にしたい発言まで飛び交い
生徒からの信頼は厚いことが伺える。
その勢いのまま、教師陣からも


「綾乃さんはとても良い生徒ですよ。仕事もきっちりこなしていて、私の方がきっちり
しなくちゃと思うくらいですし」
「綾乃は模範的かつ理想的な生徒だな。しかし、時たまに見せる憂いの帯びた表情に
ドキッとしてしまう俺が情けないが……」
「うむ、彼女は私の娘に来て欲しいくらいだ。もし何だったら嫁にでも――――」


賞賛の嵐が飛び交う。
男性教師陣、および教頭の言葉に、この学校の未来に不安を感じたが
それだけ好感を得ていると考えれば、彼女の凄さが身に染みて分かる。
彼女のことについて、もっとも知っているであろう人物
生徒会長綾月蓮さんに聞いてみた。


「薫について……ね。薫は私が一年で生徒会に入った時からの付き合いだけれど、とても信頼
できる人物だわ。それにとても優秀。一回も私、テストで薫に勝ったことないのよね〜
いつも悔しい思いを感じているわ」


その様子からすると、仲はよろしいようで……友人、そう言っても差し支えないのでは?


「う〜ん。たしかにそう言っても良いんだけれど、それよりも相棒。そう言ったほうが
しっくり来るかも」


相棒ですか。まさしく会長、副会長の連帯関係が現れているようで、良いですね。
ではプライベート的な意味合いではどうでしょうか?
あなたにとって薫さんの関係は


「…………ライバル。たった一つしかないモノを求めるライバル同士、かしらね。実は私だけ
そう思っていて、薫はそんな風には思っていないかもしれないけれど」


最後に本人に向けて、こんな質問を私達は問いかけてみた。
ずばり好きな男性のタイプである。この質問に対して、少し矛盾を感じるが
男子生徒、男性教師陣の多数の要望により、この質問が決定したことを理解して欲しい。
その質問を本人、綾乃薫さんにぶつけた所、少し戸惑った表情を浮かべながらも


「そう、ですね……何かに一生懸命頑張っている人、ですかね。たとえば、年齢にそぐわない
職業に就いてしまったとしても、必死に頑張って苦労して……でも、いつも明るいあの笑顔を
絶やす事のない、そんな人が……私は好きです」


誰もが恋に落ちてしまいそうな微笑を浮かべて、彼女はこう答えてくれた。


………今日、校内で配られた校内新聞の生徒副会長特集面の内容である


「よぉ、おはよう!須藤」


俺、伝馬和弥は普段より遅い登校で、扇山高校へと到着。
校門前に新聞を持って、立ち尽くしている須藤の姿を捕らえ、須藤に挨拶の言葉を放っていた
だが、俺の爽やかな挨拶とは対象的に須藤の表情はやけに落ち着いていて


「伝馬。今日発行の校内新聞……見たかぁ?」


そんな質問を俺に問いかけてくる。もちろん俺は


「いや、今学校に来たばかりだから見てないけど」


素直にそう答える。すると、須藤は同情を向けた視線で俺のほうを見据え


「ならぁ、俺が伝馬の今日の運勢を占ってやろうぅ」


自信満々に……


「だい、大凶だ。今日は背後に気をつけろぉ。どこでお前を狙っている輩がいるか……
分からないぞぉ」


そう言って立ち去っていった。
その須藤の予言は、数分後見事に的中するのだが
その時俺は、頭の中に疑問符を浮かべることしか出来ずにいたのであった。



Story9 親バカの原点


これは少女、九ノ宮楓が伝馬宅へとやって来た、夕食時の物語である。


その日は楓ちゃんの希望でハンバーグ
それを二人で仲良く食べている時のことであった。


「……ぅく。ハンバーグおいしいよっ!凄いね、パパっ!」


目の前には本当においしそうにハンバーグを食べている楓ちゃんの姿が見える
可愛げな表情で、俺の作ったものをおいしいと言ってくれる。
それだけでダイヤモンド級の作った価値があるというものである。


「えっと、はいっ!パパ、あ〜んしてっ!」


なんと!楓ちゃん自ら食べさせてくれるようだ
いつもなら恥ずかしがる場面であり、戸惑いを見せる所だが


「あ〜んっ!」


躊躇無く口を開く、伝馬和弥17歳
楓ちゃんにお願いされて、誰が断れようかっ!
断れると思った奴、俺の前に出て来い。全力で殴ってやるから
この光景は知り合いから見れば、ドン引きでは済まされないほどの状況であったが
この時の俺は気にする余裕が無いほど、楓ちゃんとの時間を幸福に感じていた。
良く自分の子供なら目に入れても痛くないと聞く。
その意味を表現とは言え、理解できないでいたのだが
今なら言える、断言できる。俺は楓ちゃんを目に入れても痛くないとっ!(暴走中)
その後は、今日の学校の感想、普段の楓ちゃんの小学校生活を話題にしながら談笑をする。
成績は優秀のようで、この前のテストの100点を俺に見せてくれたりしてくれる。


「良く頑張ったね、偉いな〜楓ちゃんは」


もちろん頭を撫でる事は忘れはしない。
楓ちゃんは頑張ったのだ。これを親が褒めないでどうするっ!(更に暴走)
しかし、楽しい日々の学校生活も悩みがあるようで


「パパ……楓の悩み聞いてくれる?」
「もちろんだ。なんでもパパに言ってみな」


高速のスピードで、真摯に耳を傾ける
娘の悩みは、俺の悩みと同類である。


「この頃学校でね、ある男の子が私にイタズラしてきて……周りの女の子達は、私のことを
好きだから、イジワルしちゃうんだって言うけれど、困ってて」
「了解、楓ちゃん。まずはそいつの家の電話番号と住所を教えてくれないか?」


えっと……確か物置に金属バットがあったような……
そんなものより、もっと一発で仕留められた方が……
よし、大丈夫だ。母さんに頼めば手榴弾やロケランの一つや二つくらいっ!!
普段の和弥らしからぬ過激かつ黒い発言。
人はこうも、一人の人間のことだけでここまで変われるというのだろうか
和弥の親バカは止まる事をしらず、クライマックスへ


「それじゃ、楓ちゃん。楓ちゃんは夢とかあるのかな?」


定番な質問を楓ちゃんへとぶつける。
これくらいの年の頃は、様々な夢を思い描いているものであり
親である俺にとって(だから違っ―――)は気になる事柄ではある。
楓ちゃんは少し恥ずかしそうな顔をして


「おっ、お嫁さん……かな」


そうポツリと述べた。
お嫁さん……所謂結婚、ウエディングドレス、バージンロード
俺の目の前にその光景が広がっていく。
成長した楓ちゃん。純白のドレスを身に纏い、女神のような彼女
今日は記念すべき日であり、旅立ちの日
その姿に成長した我が子の喜びを噛み締めながらも、手から離れていくような喪失感が
俺の心を困惑させ、素直に笑顔を作る事ができない。
そんな戸惑いの表情を浮かべる俺に、楓ちゃんは


「今まで育ててくれて、ありがとう……パパ」


その真っ直ぐな言葉に、俺は涙を流すのであった


「………っパ、パパっ!どうしたの、いきなり涙流しちゃって」


ハッと現実に戻る。いつの間にか涙を流している自分がそこにいた。
お嫁さん……その一言に、俺は先にある未来を想像してしまったようだ。
いつか来る未来、分かってはいるものの、避けられない出来事を(測定不能)


「いやぁ、楓ちゃんがお嫁さんって言うから、楓ちゃんが遠くに行ってしまう気がしてね」


正直に、ありのままの気持ちを言葉に紡ぐ。
普段とは違い、感情のコントロールができない自分に情けなさを感じるが
次の瞬間――――


「ならっ!楓がパパのお嫁さんになってあげる!それなら寂しくないし、私もパパとずっと
一緒に居られるから幸せだよっ!」


この子……良い子やわぁ


「楓ちゃんっ!」
「きゃっ、くすぐったいよぉパパっ!」


優しく抱きしめる、俺
笑い返してくれる楓ちゃん
迎えの時間が来るその時まで、和弥の暴走は留まることなく時間が過ぎていったのだった

その時、皆こう思ったであろう

将来、伝馬和弥は間違いなく!

親バカになるだろうと………


やっとこさ更新&アナザーも20話達成ですか
今回はサブキャラを中心に、要望の多かった
楓のショートストーリーを書いてみました。
作者の脳内想像では、和弥は親バカ設定なので
多分あんな風に悶え、時には人が変わったように行動してしまいます(笑)
ついでというか、お知らせですがここまで書いてきたアナザーですが、次でおしまい
いわゆる二部がようやく開始します。長らくお待たせしてしまって申し訳ありません。もう少しで始まりますので……
感想、評価お待ちしております!!ちょっとしたことでも二部、外伝への活力となりますので、どうぞよろしくお願いします!!






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