Another Episode16 Short Storys
Story1 飛鳥ちゃんの特技
「そう言えば、飛鳥。お前って何か特技とかあったっけ?」
ある休日の一日
何もする事の無く、暇人同士集まった俺と飛鳥。
テレビの絶え間なく流れる通販番組に耳と目を傾けていたのだが
さすがに数十分もすればあの
「じゃ〜ぱ○っと、じゃ〜ぱ○っとぉ〜、ゆめのじゃぱ○っとた○たぁ〜♪」
良く分からないオープニングに洗脳されそうになること間違いなしだったので
テレビから視線を逸らすため、何気なくそんな言葉を飛鳥にぶつけていた。
「……ぅん?いきなりどうしたのぉ、カズちゃん?そんな事を私に聞いてくるなんてぇ」
雑誌に視線を向けていた飛鳥から、何か疑うような視線と言葉が俺に向けられる。
当たり前であろう。あまりにも唐突な質問、不自然さ満載な状況である。
とは言え、またあの謎のオープニングが流れる通販を見るのも……
なので俺は
「そっ、それは……飛鳥のことがもっと、もっと知りたいからかな」
咄嗟の判断で、乙女ゲーム並みの淡い声と表情で言葉を飛鳥へと返した。
もちろん歯を光らせるのも忘れずにっ!
……おい、そこの古いなって思った奴。こんな切羽詰った状況で
これだけの演出を出来た事の方に賞賛を与えてくれ。
古いのは、分かってるからさぁ……
「かっ、カズちゃんがそこまで言うなら分かったよぉ。仕方が無いなっ、もうっ!」
なんとか説得が成功した模様
我ながら古い表現だと思ったが、なんとか及第点を飛鳥から貰えた様だ。
ただ少し飛鳥の顔が、いつもに比べて赤くなっているのが気になるが
そこまで重要な事柄でもないので大丈夫であろう。
そんなことを考えていると、その特技をついに見せてくれるのか
飛鳥が座っていたソファーから体を起し、俺に向けて視線を向けてくる。
集中した真剣な眼差し。普段とは明らかに違い
飛鳥の真面目な表情が、俺の瞳に映りこんでくる。
こんな真面目な顔……ゲームの限定版を買うために
店で開店前行列をしていた時以来であるっ!
不思議とこの雰囲気に飲まれ、俺までも真剣な、緊張した面持ちへと変わる。
部屋全体がシーンした静かな空間に変わり行く頃、飛鳥はゆっくりと
「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら
あたしの所に来なさい。以上!」
その言葉をスラスラと述べていった。
しかし、ただ述べたのではなく、まるで目の前にアニメが流れているような
そんな妙な雰囲気が……なにしろ先ほどの声は間違いなく……
「すっ、すげぇぇぇぇぇえぇぇええええええ!!!」
誰が見ても驚くほど完璧な平○綾ボイスだったのだからっ!
まさに完璧、最強!
目を瞑っていれば、疑いようのないほどの完璧なハ○ヒボイス。
ニ○ニコ関連の声マネなど、遥か彼方に霞むほどの完成度!
この感動を文章でしか伝えられない歯がゆさを、俺は持たずには入られない!
「ふっふっふっ……予想以上の驚きだね、カズちゃん」
「あぁ、信じられないほどの驚きだよ。今や世の中は馬鹿ブームだとは言え、飛鳥の将来を
心配していたんだが、こんな神懸り的な特技があるとは……やはり神は飛鳥を見捨てては
いなかったんだなっ!」
「なんか、褒め言葉の中に異様な言葉のトゲを感じたんだけどぉ……でもぉ!これだけで
驚いてちゃ早いよっ、カズちゃん!まだ私の声マネは百八式あるんだからっ!」
「なっ、なんだってぇぇぇえええ!!」
コレだけじゃない!?
そんなことがありえるというのか、これだけでもう人間離れした領域だと言うのに……
だが、そんな俺の思いと反して飛鳥は悠々と次の準備を開始し
「先生だぞ〜!!バカにすんなぁ〜!!」
「ぱ○ぽに!?レ○ッカ宮本かっ!身体的にも飛鳥と似ているのが
相乗効果となり、瓜二つ!」
「こ、このぉ……バカ犬っ!」
「ゼ○使い魔っ!ル○ズの釘○ボイスかっ!つうかマジでなんでもアリだなっ!」
「悪人に人権はないっ!! 」
「スレイ○ーズ!?いきなり古くなったな、オイっ!」
「井上○久子、17歳でぇ〜す!」
「おいおい……ってそんなネタまで持ってんのかよっ!」
次々と怒涛のごとく押し寄せてくる飛鳥の華麗な声マネ
神業といっても、差し支えないこの技術
そこまでの完璧さを誇る声に惚れ惚れとしながらも、俺は一つの疑問が浮かび上がっていた。
俺はどうしても気になり、飛鳥へと言葉を掛ける。
「飛鳥、飛鳥はどうして、そんなにも多くの声マネを覚えようと……」
そんな質問に飛鳥は、当然とばかりに
「カズちゃん、愚問だよ。愛の足りないオタはね、ただのマニアなんだよ……どこかのお嬢様
が言った受け売りの言葉だけれどね」
なんか、オタクってすげぇ……
そう思ったある日の休日
Story2 知られざる扇山高校の秘密
「おっ、何だ?これ……」
生徒会室
昼休み、運悪く蓮に見つかった俺は、蓮の暴力的な……もとい真摯な訴えにより
生徒会室の倉庫の片付けをさせられていた。
そんな中、たまたま見つけたCDのケース……
それほど長い間置かれているわけではなく、ここ数年前置かれたと思われるほどの
新しげな雰囲気のケースを俺は手に取った。
中身は入っていないようで、暗くて良く分からないが
中々の気合の入ったジャケットのようで、誰かアーティストのCDかな?
そんなことを考えながら、ジッと目を凝らしてみるとそこには……
「蓮と……薫!?」
なぜか二人の姿がジャケットに映っていることをこの目で捕らえる。
まさか……そう思い、もう一度ジッと……
だが、何回眺めたとしてもそこには間違いなく二人の姿が!
それもまだ確実とは言えないが、アイ○ス並みの派手派手な衣装で
まるでどこぞのアイドルのような雰囲気である。
「こっ、これは真実を確かめなくては!」
掃除など、何処に行ったか
全てなかったかのように倉庫の入り口へと、いそいそと歩き始める俺
もちろんCDはこの手の中に包み込んでっ!
嬉々とした表情で、ステップを踏みながら入り口へと一歩、二歩……
そして、後残り数歩。そんな所まで近づいた瞬間
「何やってるの、和弥……掃除は、倉庫の片付けは終わったんでしょうね?」
修羅が待ち構えていました。
「ぬおぉぉぉぉぉおおお!!でたぁぁぁぁあぁあああああ!!」
「出たーって酷いわよ、和弥!そんな人に面と向かって!昔から和弥は面倒事嫌いなの
分かっているけど、こうしないと何時になったって二人きりに……あらっ?そのCD」
俺へと向けていた蓮の視線が横へと……
先ほどまで手の中に持っていたCDへと視線が注がれていた。
あまりの驚きに手放してしまったのだろう。
やっ、ヤバイ……変な汗が体中から吹き出てくる。
この状況下では、あれが俺が持ち出そうとしたことを予測するのは
蓮の頭をもってすれば、容易いことである。
それに今、あのCDに視線を向けるとやはりジャケットには蓮と薫。
それに加えてアイ○ス並のアイドル衣装装着
こんなCD、どう考えたって危険物である!
三つ葉マ−クのオマケつきである!
どうすればいい、どうすればいいんだ、俺
ここは正直に話して一発気合の拳をこの身に味わうか、それとも!
なんとか俺の言い訳スキルを用いて、逃げ切る作戦に打って出るか!?
しかし、失敗の際には世にも恐ろしいお仕置きが……
ってどっちも撲殺フラグだぁぁぁぁぁぁあああ!!!
「これ、和弥……」
「すいません、すいません!その事は記憶から抹消しますから、どうか撲殺だけは勘弁――」
「懐かしい〜!こんな所に残ってたんだ。もうどこにもないかと思っていたのにっ!」
………あっ、あれ?
恐れていた痛みなどはやって来ることはなく、聞こえてきたのは嬉しそうな蓮の声。
ゆっくりと視線を上へと向けていくと、そこには嬉しそうにかつ懐かしそうに
CDを眺める蓮の姿が、この瞳に映りこむ。
「なっ、懐かしいって、そのCD何なんだ、蓮?」
沈黙に、好奇心に耐えかねて俺は蓮に向けて言葉を送る。
「このCD?あぁ、和弥はまだこの学校に来てなかったものね。これは去年、生徒会が
文化祭時に販売したCDよ」
「文化祭、生徒会が販売?」
意味が良く分からない、疑問だけが頭に浮かぶ。
「えっとね、毎年のことなんだけれど生徒会は、何か一つ文化祭のときにイベントを
行なわなくてはならないの。クイズ大会や歌合戦、大食い大会などなど」
「そうなんだ。それでまさか……」
「まっ、まあその時の会長の発案で、当時生徒会に所属していた私と薫でライブをやろう!
ってなってね。その時の名残がこのCDなの」
何と言うことだろうか……
まさか俺がこの学校に訪れる前にそんなイベントが行なわれていたとはっ!
蓮と薫……性別などの問題はどうでも良いとして(良くない)
あの二人の容姿だ。かなりのアイドルっぷりを見せたのだろう。
もしかしたらかなりの盛り上がりを見せたのかもしれない。
色物的な企画だが、人気も高い二人ではあるし……
そんなことを考えながら、俺は蓮にその時の状況について問いかける
「それじゃ、本番の時かなり凄かったんじゃないか?そんな大掛かりなイベントやって」
「そうね……凄かったわね、何しろ会長が無駄にお金使って、中庭にライブ会場作っちゃって
3〜4千人くらいの広さで、私達二人ともビックリしたのは良く憶えてるわ」
3〜4千人!?
いきなり自分の頭の中に構想していたライブ想像図と食い違いを見せ始める。
つうか会長!どっからそんな金を……
気合の入りすぎに俺自身が驚きを隠せない!
「最初はそんなにも入らないって私達は言ってたんだけどね会長はいつも、キミ達の魅力なら
少なすぎるくらいさっ!って目を輝かせながら語ってね、お陰で当日まで誰も止める事は
できず、日々過ぎていったんだけれど……」
会長、会長……ある意味あなたを俺は尊敬しますよ
余程はっちゃけた会長だったのだろう、いやただのバカというべきだろうか
「でも、本番!ステージに出てみたらビックリ!予想していたガラ空きとはまるで反対
立ち見が出るほどに、お客さんが私の目の前に広がっていたの!人のウェーブが自然に
出来るくらいに沢山の人が」
!!!!?
えっ……ちょっ……おまっ!
俺の想像を裏切る急展開!!
「実は会長が、ネットでの宣伝やチラシ配りなどで動きを見せていたらしくてね。会長から
すれば、想定の範囲内だったらしいわ。でも、そんな中でライブするもんだから、私達
緊張しちゃって、歌詞間違えちゃったりして恥ずかしい思いしたんだっけ」
いや、いや、いや蓮さん。そんな中で緊張して歌詞間違えるくらい可愛いもんですよ。
会長の黒幕っぷりに凄さを感じながらも、蓮&薫の度胸よさに感激を覚える俺。
やはり二人からすれば、俺がヘタレといわれても仕方が無い、そう感じる今日この頃
「それで、なんとか盛り上がりが欠けることなく最後まで終えて無事に終了!後は、会長が
考案して作ったグッズ?とかCDとかの販売で、人混みが大きくなりすぎて凄い騒ぎに
なったらしいけれど、そこら辺は詳しくは知らないわね」
見える……見えるぞっ!
コミ○のごとく人が縦横無尽に動き回り、込み合う姿が
ここまでの想像で、どこに文化祭らしい雰囲気が存在しただろうか
完璧にどこかのイベント会場の一風景である。
でも、そこまで考えた所で気になるのはやはりアレで
イヤラシイ話だが、人間この部分がよく気になる訳でありまして
「じゃあ、一つ聞きたいんだが、その売り上げとかってどれくらいだったんだ?」
俺はゆっくりと口を開き、蓮へと向けて言葉を放った。
すると、蓮は何のためらいもなしに、さらりと
「正確な数字は知らないけれど、全部完売していたから約300万くらいの儲け
じゃないかって、誰かが言ってたわ」
………えっ?
いち、じゅう、ひゃく、せん………いっぱい
俺の脳内の思考が限界に達したときであった。
庶民な俺には付いていけない話
もう文化祭とか遥か銀河に行った様な別次元の事柄
俺はボーっとしていく、思考の中
前生徒会長、あなたには誰も叶いません……
そう一言、思った
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